ドリーム小説
芸術的な髪型を引っさげ、スクアーロの部屋に来たは扉に手を掛けたが、すぐに引っ込めた。
勝手に入った時、鬼のように怒ったスクアーロを思い出して、小さくノックをした。
「あ゙ぁ?!こんな朝っぱらから誰だぁ!」
「ー」
やっぱり起きてたスクアーロに、はノックしてよかったと安心しながら扉が開くのを待った。
頭をガシガシと掻きながら気だるそうに出てきたスクアーロを、は満面の笑顔で迎えた。
「アーロ、おはよう!」
「あぁ、おは・・・!!
って何だその髪はぁーッ!!」
「レビとベルがやったのー!ビックリしたー?」
キャラキャラと笑うを見てスクアーロは首根っこを掴んで部屋に放り込んだ。
ソファに投げられたはキョトンとして、スクアーロを見上げコテンと首を傾げる。
「あのカスどもがぁ!くだらねぇ遊びを教えやがって!いいかぁ、。それはもうするな」
「なんで?」
「パパが悲しむぞ」
「・・・やらない」
「よし」
自分の娘がおもちゃにされたと知れば綱吉は怒り狂うだろうし、何よりこんな珍妙な髪型のを見たくないはずだ。
シュンと落ち込んだにスクアーロはの隣に座って、髪に手を伸ばす。
「ほれ。直してやるから向こう向けぇ」
「うん」
の髪に絡まっているリボンやらお菓子やらを剥ぎ取り、癖のあるの髪に櫛を入れる。
痛いと文句を言うに自業自得だと返しながら、元に戻していく。
「ねぇ、アーロ。この前のしゅくだいぜんぶできたよー」
「そうかぁ。なら空いてる奴に見てもらえ。俺は今日は駄目だぞ」
「やだ!アーロがのせんせいだもん」
「・・・・・・。」
「むぅ・・・」
「・・・・明日の夜なら見てやる」
「うん!」
大きく頷いたにもう一度動くなと言って、スクアーロは溜め息を吐いた。
に心底弱い自分に呆れたのだった。
***
つやつやになった髪を揺らして、は廊下を歩いていた。
スクアーロからボスを起こして来いとの指令を受けたのだ。
ボスの部屋に遠慮なく侵入したは、ベッドで寝ているザンザスを揺さ振った。
「ザン兄、おきてー。もうすぐご飯だよー。おーきーてー」
「・・・・・・・」
「おきてよー。ねぇ」
「・・・うるせェ」
「あ、おきた?」
目を開けたザンザスの視界いっぱいに広がるの顔。
ぼんやりとした意識の中で見えるのご機嫌そうな顔が、何だか気に食わずザンザスは目を細めた。
「黙れ。寝ろ」
「うわっ」
は急に伸びてきた腕に布団の中に引き摺り込まれた。
逃げられないように腕に閉じ込められ、ザンザスにぴったりとくっ付く。
「その内、誰か起こしに来る。それまで寝てろ」
静かな声がの耳を打ち、じんわりと温かい腕がの眠気を誘った。
ウトウトとしたまどろみが二人を包み、寝室に寝息が二つ響いた。
ザンザスが目を覚ましたのはペチリと自分の顔に振ってきた小さな腕のせいだった。
何だコレはと言わんばかりに顔にある腕を摘み上げ、
むくりと起き上がって自分のベッドで気持ち良さそうに寝ているを見下ろす。
「何でがここにいる」
いくら考えても思い出せず、とにかくを叩き起こす事にした。
ペチペチと頬を叩いて起こすと、目を擦りながらがザンザスを見る。
「あー・・・ザン兄おきたー?」
「?」
「おはよう」
「あぁ」
がやってきてからそう時間も経っていなかったようで、まだ朝食は始まっていない。
は動かないザンザスを急かして、強引に手を引き広間に向った。
中にはすでにヴァリアー幹部が揃っていて、はまだ挨拶出来ていないメンバーに元気よく挨拶した。
「きょくげん、マーモン、おはよう!」
「あぁ!極限いい朝だな!」
「おはよう。よく眠れたかい?」
は嬉しそうに二人に頷いて返して、専用の椅子に向う。
よじ登ろうとしたをザンザスはひょいと抱き上げて椅子に降ろし、自分も無言で指定席にドカリと座る。
がお礼を言った所で、美味しそうな匂いと共にルッスーリアが現れた。
「あら。やっぱりがいると賑やかねぇ。ご飯出来たわよー」
普段からあまり揃うことの無い朝食に幹部が揃うなんて事が起こるのは、のおかげだ。
何だかんだ言いつつ集まってくるメンバーの前に朝食を並べて、全員が着席した。
「手をあわせてください!」
パチンと元気よく合わせたに、みんなもしぶしぶながら合わせる。
嬉しそうに笑ったがもちろん号令をかける。
「いただきます!」
こうして、今日もの楽しい楽しい一日は全員で食べる朝食から幕を上げるのだ。
* ひとやすみ *
・私も時々忘れる10年後設定。笑
ウチの10年後はミルフィーとの戦いのかなり前、もしくは起こらない仮想未来予定です。
だからマーモン生きてるし、その内フランとかも出るかも知れません。
ぶっちゃけると、本誌が未来編入る前に考えた作品だから無理が、ね・・・?笑 (09/6/17)