ドリーム小説

「カスがッ!!何ならここでクタばるか!」

「あ゙ぁ?腰抜けはテメェだろーがッ!お゙ぉい!」




目の前で殺気を飛ばし合うザンザスとスクアーロに了平は頭を掻いた。

商談は成立して一安心と思いきや、今度はその構成で揉める事になった。

ヴァリアーの協力を得たので当分の間この屋敷に滞在する事が確定事項となったのだが、幸先が悪そうだ。

了平は軽く息を吐いて二人を止めに入った。

このままだと屋敷が崩壊してしまう。




「まぁ、落ち着け二人とも。あの任務には・・・」

「「引っ込んでろッ!!」」




殺気と共に殴られて了平は身体ごとぶっ飛んだ。

部屋の扉にぶち当たってもその勢いは衰えず、扉の方が壊れて了平は廊下に転がった。

了平を受け止めた廊下のデッキは壊れ、乗っていた花瓶は遠慮なく床に叩きつけられて甲高い悲鳴を上げて砕け散った。

瓦礫を背もたれにして大の字になっていた了平は壊れた扉から攫み合いを始めた二人を見て溜め息をついた。




「(面倒な事になった・・)」




了平は寝転がったままで天を仰ぎ見て目を瞑った。

どうしようか、と頭を働かせているとパタパタと足音が聞こえた。

音からしてとヴァリアーの誰かだろうと予測して首だけを動かして廊下を見た。

廊下の角から飛び出してきたとベルに今度は眉根を寄せた。




「(最悪の組み合わせではないか)」




心配そうにして走り来ると、楽しそうに顔を歪めるベルに了平は頭が痛くなった。

そうこうしてる内に二人が辿り着いてしまった。




「きょくげん!どうしたの?!」

「しっしっし!派手にやられたね」

「・・・そうでもないが」




不安そうな了平の目は部屋の中を凝視しているに向けられていた。

ベルはこれから起こる事が分かっていて、攫み合うザンザスとスクアーロをあえて放置しているようだった。

は黙って部屋の中を見つめながら小さく聞いた。




「これあのふたりがやったの?」

「いや、まぁ、そうなるのだが、これには・・」

「けんか?」

「いや、ただの意見の食い違いというか、それより早く止めなきゃにも被害が・・」

よし!まかせろ!!

「は?!待て、そうじゃない!!」




しどろもどろな了平には笑顔でガッツポーズを見せて渦中に飛び込んでいった。

了平の嫌な予感は当たったようで、止める声も空しくは突撃して行った。




「ザン兄!アーロ!何でケンカしてるの!!」




小さな手を腰に当てて叫んだ高い声は、殴り合っていた二人にも聞こえたようで視線を下に向けた。




・・」

「あ゙?来てたのか」




二人はようやく状況を把握しようと部屋を見渡した。

調度品は壊れて部屋はボロボロ、吹っ飛んだ扉の向こうでは

困ったような晴の守護者と楽しそうな王子が立っていた。

再び目の前の少女に目を落とせば、ものすごく怒っているようだった。




「だからどうして!ケンカ、し・て・る・の?!」




少女に指を差されながら怒られ、ヴァリアー二人は冷や汗をかいた。

普段なら文句を言おうものなら有無を言わさず息の根を止めるのだが、この少女だけはそうもいかなかった。

第一、今まで理由を諭される事なんてなかったし、何より二人がを気に入っていたのが大きい。




「チッ、喧嘩なんかしてない」

「これはァ・・遊んでただけだ」

「じゃ、その手はなぁに?」




ザンザスとスクアーロは自分の手を見てバツが悪そうに相手の襟元を投げ捨てるように放した。

堪えきれなかったベルの小さな笑いが聞こえてきて二人はベルを睨む。




「もう!また大人のりゆう?に言えないんだったら仲直りしてきょくげんにあやまってそれでおしまい!」




はマフィアの中枢で育ってきて、いつも「大人の理由があるんだ」と言われ丸め込まれてきた。

5歳になったは慣れと諦めを知って妥協するようになったが、気分のいい物ではない。

イライラしているに後ろから声がかかった。




、仲直りの儀式は?」

「あ、そっか!」




一気に嬉しそうに笑ったにザンザスとスクアーロはホッと息を吐いたが、了平の引き攣った顔が気になった。

何よりあのベルが言い出した事であることなのだ。

何だかそこはかとなく、嫌な予感がした。


* ひとやすみ *
・毎回言ってますが、かーなーり、久々更新ですいませーん!!
 破天荒な娘を生かしきれない私が悪いんですが、いろいろ迷ってしまいます。
 結局、おバカ連載な感じになりそうです。笑                 (09/6/13)