ドリーム小説
「うむ。では必ず伝えるから後は俺達に任せておけ!」
「お願いします」
ボンゴレ10代目と晴の守護者、笹川了平が並んでエントランスに向かっていた。
了平の手には黒いアタッシュケース、綱吉の手には白いクマのリュックが持たれていた。
これから向かう仕事は返答次第では長期の仕事になる。
了平はボンゴレの意思を携えて綱吉に頷いた。
「それから。ちゃんと了平さんの言う事聞くんだよ?」
「はーい」
は元気よく返事を返して笑う。
了平のアタッシュケースを持った手とは反対の手はの手と繋がっている。
了平の向かう仕事先は危険はなく、の知っている場所なため一緒に行く事になったのだ。
何だかいつもよりニコニコしてるに綱吉は笑ってリュックを背負わせた。
自分でも親馬鹿だと思うが、こんなにクマさんリュックが似合う子はしかいないんじゃないだろうか。
それほど背中の白いクマさんを背負う娘が可愛い。
緩んだ顔でを見ていると頭上から声が掛かって振り向いた。
大階段の上から声を掛けてきたのは隼人と武だった。
この二人も何だかんだ言いながらもを溺愛しているため見送りに来たのだろう。
「楽しんでこいなー」
「しっかし、どう見ても人攫いじゃねーか、芝生頭」
言いたい放題の隼人に了平とは頬を膨らまして怒った。
了平まで可愛く見えるのはマジックだろうか。
「何を言う!仲良し親子ではないか、なー?」
「なー!」
お互いに顔を見て首を傾げて頷き合う二人は親子というより兄妹みたいだ、と綱吉は苦笑した。
長い間エントランスに居たため、痺れを切らしたが了平の手を引いた。
「ねぇ、きょくげん!早くいこッ」
「こら。了平さんの事を極限って呼ぶのやめなさいって言ってるだろ?」
相変わらずおかしな呼び名で呼ぶ娘を注意しながら綱吉は麦わら帽子を被せてやる。
帽子を確かめては嬉しそうに待っていた車に向かって走り出した。
その途中、が振り向いて面白そうに笑った。
「きょくげーん!置いてくよー!」
「よぉし!!極限競争だ!!」
「きゃーッ!」
に向かって走り出した了平の背中を見ながら綱吉は溜め息をついた。
「だから極限って呼ぶなって言ってるのに」
「ま。二人とも楽しそうだからいいんじゃね?」
「に物教えるのは大変ッスよ・・」
車に乗り込んだ茶目っ気溢れる了平とに、残された三人は手を振って車を送り出した。
***
二人を乗せた車は市外を数分走り、は後部座席で鼻歌を歌っていた。
天気ものようにご機嫌で太陽の光が眩しい。
久しぶりの外出なのもあるが、大好きな人たちに会えるのが楽しみで仕方ない様子では窓に張り付いている。
了平はその姿に苦笑しながら角を曲がった。
その勢いでは後部座席にコロンと転がり、驚いていた。
「さあ着いたぞ!」
了平の声には慌てて窓を覗き込むと見覚えのある屋敷が目に入った。
嬉しそうな歓声を上げるを乗せた車は屋敷内に入り、二人は車を降りて扉を叩いた。
ボンゴレの屋敷に比べるとすごく小さい屋敷ではあるが、
住人とすぐ顔を合わせられるこの屋敷がは大好きだった。
ガチャっと大きく開けられた扉から見知った住人が顔を出した。
「ルシー!!」
「、お久しぶりねェ!」
目が合った瞬間に抱き着いて来たを抱き上げてルッスーリアは笑った。
独創的なのネーミングセンスでルッスーリアはにルシーと呼ばれていた。
他にもに命名された者はたくさんいるが、誰もがそれを寛容している辺りへの愛情が分かるという物だ。
そんなを抱きながら相変わらずクネクネしてるルッスーリアを見て了平も笑う。
「変わらんようだな」
「あらん。アナタも相変わらずいい身体してんじゃなーい」
を抱いたルッスーリアと屋敷内を歩きながら奥へと進む。
今回の仕事はヴァリアーの助けが必要なため了平はボンゴレの使者として商談を持ち込んできたのだ。
「ではの事を頼んだぞ」
「うふ、任せて」
了平と別れてルッスーリアとはキッチンに入った。
そこには作り掛けのお菓子があった。
その瞬間、の目が輝いた。
お菓子とルッスーリアの顔を何度も見比べているにルッスーリアは苦笑する。
「、もうすぐお茶の時間だからお茶請けを一緒に作りましょう」
「わかったー!」
ルッスーリアは用の可愛らしいエプロンを取ってくるとエプロンをに被せた。
わたわたと腕を通すを見て笑みを零すと今日のの服を見る。
最近、がよく来ているお気に入りの服で、セーラータイプの服だった。
まるで小さな船乗りのようだが、白と青のコントラストがによく似合っていた。
「アタシが作った服着てくれてるのねェ」
「うん!ルシーのおようふくがいちばんかわいいもん」
「まぁ!が一番可愛いのよ!」
きつく抱き締めたから痛いと言われるまでルッスーリアはを離さなかった。
素晴らしい程の上腕二等筋にメリメリと締め上げられてはすぐに悲鳴を上げたけれど。
気を取り直してキッチンに立ち少し経った頃、ちらりと覗き見たは一生懸命生地を捏ねていた。
顔も手も粉で真っ白のを見てルッスーリアは小さく笑った。
すぐにでも油で揚げればドーナツになってしまえそうなくらいだ。
「全く晴男のせいで追い出されちゃった・・・てあれ?じゃん」
愚痴りながら入ってきたベルを見ては目を輝かせてベルの元へ走った。
小さい足で走ってくるが足に抱き着いて来たのでベルは苦笑した。
ニパッと笑って足に縋り付いてる少女が顔を上げれば真っ白で驚くも、気が付けば自分の足も白くなっていた。
「げ」
「あはは!ベルまっしろー!」
拭うように擦り付けてくるはものすごく楽しそうである。
それを見ていたルッスーリアだけがただただ恐怖に身を竦ませていた。
「あー・・・姫の歓迎は嬉しいけど王子粉まみれじゃん」
あり得ない事にベルは白くなった自分の足に吹き出して、を抱き上げた。
ペタペタとベルの服や顔に小さな手形を付けるにストップを掛けたのは焦ったルッスーリアだった。
「ひ、!それくらいにしてあげて」
あの切り裂き王子のベルフェゴールを粉まみれにして笑ってられる人物はそうはいない。
ベルにしてもだから許しているのだ。
二人して真っ白になればルッスーリアに着替えてこいと追い出されてしまった。
「着替えたらお茶にしましょ。、みんなを呼んで来て」
「らじゃー!」
とベルはニッコリと笑い合って、粉だらけの手を繋いでキッチンを出た。
* ひとやすみ *
・ある意味のヴァリアー編。笑
私がヴァリアー好きなので当分暗殺部隊でしょうねー・・(09/3/23)