ドリーム小説

打ちひしがれるブン太には少し罪悪感を持ったが、心を鬼にして目を逸らした。

試合が終わりコートの外に視線を送ると楽しそうな雰囲気にイライラが募る。

私がブン太に挑んだのは何のためだと思ってるの?

ラケットをクルクルと回転させながらコートから出ると目を輝かせて赤也がすっ飛んできた。




「すっげェ!!先輩めちゃくちゃ強いッスね!」

「ふふ、ありがとう」




今までの小憎たらしい赤也はどこへ行った・・・?

実家で飼ってるレトリバー犬そっくりで尻尾をブンブン振っているように見える。

は苦笑いしてラケットを赤也に預けた。

それよりも何とかしなきゃいけないのはあっちの方だ。

は鋭い目でレギュラー陣を睨み付けた。

スタスタと彼らの前に歩み出たは腰に手を当てて口を開いた。




「私がブン太に言った事は君達にも当てはまるはずだが、何故笑ってられる?

 まるで仲間みたいに集まってるけど、ホントは自分が一番だと自惚れて嘲笑ってるようにしか見えない」

、そこまでお前に言われる筋合いは・・・」

「弦だってそうだ。私の知ってる弦は心身共に強くなる事を目指してる奴だ。

 ただ単に技術や力の強さだけを求めてもどうにもならないことだってある。今の弦は“たるんどる”だ」

「・・・・・・っ」




今度こそ黙りこんだ一同には溜め息を吐いた。

何でこんな事を部外者が言っているのだろう。

はそんな事を思いながら部長の幸村を見た。

もともとそういう顔なのかもしれないが、どう見ても笑っているようにしか見えない。

全部部長が言うことなのに私は何やってんだ、と考えた所でハタリと思考が止まった。

あ。

そうか。

私はみんなが好きだから。

好きだから放って置けなくてこんな面倒な事やってるのか・・・。




「私だってこんな事言いたくて言ってるんじゃない。別にみんなが今のままでいいならそれもいいと思う。

 だけど今のままじゃ必ず強さを求め続けていく内に内側から壊れていく。

 自分が今してること、周りに誰がいるのか、何で強くなりたいのか、よく考えて。

 先輩達がそうしてきたからこそ王者立海は不動の地位を得られてきたんじゃないの?」




違う?そんな顔を向けられてレギュラー陣は居心地の悪さを感じていた。

一人静かに背を向けて歩き出したは、それを分かった上でコートを離れていったように見えた。









***









それから数日たった今、私の傍には雅がいない。

それどころかテニス部メンバーとあれから一言も話していない。

自分でも嫌われるような事したな、と思うので仕方ないが、ポッカリ穴が開いたような寂しさを感じる。

だけど私は私のしたい事をしたまで。

後悔はしていない。

雅がいなくなった事でさらに周りに多くなった女の子達に少々困りながら廊下を歩いていると

まるで海が割れるように女の子の群が二つに割れた。

廊下の向こうから現れた人には溜め息を吐いた。




「十戒かよ・・」

さん。少し話、いいかな?」









やっぱり日本人のセオリーらしい屋上に来たは常に楽しそうなテニス部部長に視線をやった。

一体、何しにきたんだろう。

一向に話し出そうとしない幸村に帰りたくなってきた。

そんなの心を読んでか、幸村が振り返った。




さんは面白いね」

「・・・は?」




よりによってそれ。

はニコニコしている幸村に頭を抱えたくなった。




「突き放すような言葉でしかみんなを救えないと思ったんだよね」

「・・・何が言いたい?」

「ふふ。そんな不器用な所は跡部に似てるよ」




は幸村の言葉に拳を握り締めてカッとなった。

誰もが知っているはずの禁句の“跡部”。

憤慨しているは怒鳴ろうとしていたが、何故か一層笑っている幸村に口を閉じてしまった。




「ありがとう」

「・・・は?」




は突然の礼の言葉に今度こそ放心した。

幸村の真意が全くわからないのだ。

一体、何なんだ・・・。




「本当はあれは俺の仕事だったんだけど、さんがしてくれた」

「やっぱり全部知ってて・・・!」

「うん。俺も言いあぐねてたんだ」

「・・・・ッ」

「君がいなくなったあの後、真田がね言ったんだ。

はどうでもいい奴になら忠告なんぞせず心中で舌を出して貶す奴だが、

 大事だと思う奴にはたとえ嫌われてもそいつのためになる事ならば口にする奴だ』って」

「弦が・・・?」

さんには本当に感謝しているよ。おかげでアイツ等も変わった。

 君が思っているほどアイツ等は馬鹿じゃない。さんを嫌ってる奴なんていないよ」

「でも実際誰にも会わないし、話なんて・・・」

「ふふ。きっと恥ずかしいだけだと思うけど」

「???」

「今日、部活見においでよ。面白いものが見られるよ」




相変わらずのニコニコ顔にやられっぱなしのは成すすべなく頷いた。

やっぱり、この人、何考えてるのかわかんない・・・。



* ひとやすみ *
・何だかどんどん可哀想な連載になってきた。。。
 これが解決したら他校と絡ませよう。そうしよう・・・!(09/03/27)