ドリーム小説
連絡が来たのは数日前の事だった。

まさかこんな事になるなんて聞いてない。




「まさかアンタが新しいコーチ?俺にはいらねぇよアンタなんか」




こんなにやりにくいとは聞いてねェ!!







***









あまり鳴らない携帯が音を立てたので、出てみるとアメリカの友人だった。

教えてもないのに掛けてくるなんてよっぽど必死だったんだと思う。

ロスにいる彼に代わって神奈川のテニスクラブのコーチをして欲しいそうだ。

何でまたそんな面倒な事を・・・。




『それが恩師に頼まれてさぁ、、カナガワにいるんだろ?』

「いるけどなんで私が・・」

『結構強いみたいだがいろいろ難しい奴らしくて、同い年くらいなら打ち解けられるって』

「んー。まぁ気晴らしくらいなら」

『サンキュー!!よろしくな、!』

「待て!誰も引き受けるとは・・・ッ」

『ツーツーツー・・・』




で。今に至る訳だ。






***





「あー。一応テニスしてくれって頼まれたんだけど、やる?切原・・・赤目くんだっけ?」

赤也だっての!!」




そして今、私は彼のテニスを見学しています。

なぜなら、あれ以降、無視され続けたから。

最初こそ話が出来たものの、私は完全に馬鹿にされてます。

ははは、一応、1個年上なんだぞ、このワカメが。



プレーに関してはそこらの学生よか断然上手い。

観ていて気持ちいいプレーじゃないのが気になるけど、あそこまで自信が溢れてるのも分かる気がする。

でもまぁ、断然、弦とかの方が上だケド。

時々どーだ!って顔してこっち見てくるの止めてくれないかなー。

苛めたくなるから。

でも才能あるプレーヤーだから、育てば良い選手になるだろな。

あー。何だか弦にぶつけてみたくてウズウズしてきた。

お。試合が終わってようやく話をする気になったみたい。




「どうよ!!俺にアンタなんか必要ねぇだろ」

「そうだな。確かに上手いよ赤目くん。でも全然ダメダメ」

「はぁッ?!マジうざいんだけど!」

「また来るよ、赤目くん」

「赤也だっての!!てか、くんな!!」

「( 打てば響く奴だなー。ちょっと面白くなってきた )」




これが私と赤也の出会いだった。







***







「あいつらまとめて倒して俺がテニス部のエースになってやる!」




私がそれを聞いたのは偶然だった。

職員室で偶然会ったジャッカルと今晩のメニューについて語っていたらさっきの声が聞こえた。

階段から下の階を見下ろせば、1年生が三人ほど階段を降りようとしていた。

しかもその中のもじゃには見覚えがあった。

あの赤目も立海生だったのか。

そんな事を思っていたら爆弾発言が聞こえてきた。




「それで真田副部長の鼻を明かしてやる」

「お前、すげえ事言うなぁ」

「普通、幸村部長じゃないの?」

「そっちは後。だって副部長にはいっぱい借りがあるからな」

「それは赤也がいい加減だからだろー」




楽しそうに歩いていく三人の後姿を私は階段に立って見ていた。

ヤバイよー、弦。

あんた狙われてるよー?

あの1年もじゃ、やっぱ面白い奴だなぁ。

弦を狙うなんていい根性してるよ、ホント。

思わず可笑しくて腹を抱えて笑っちゃった。




「おいおい。笑ってる場合かよ。アイツ1年の切原だろ」

「何、ジャック知ってんの?」

「あぁ。今の1年で飛び抜けて強いがマナーが悪いから、いつも真田に怒られてるな」

「やっぱ馬鹿だな赤目くん」

「てかヤバいだろ。真田なんかに突っ掛って無事な訳ねーし」

「ジャックも分かってないなー。弦が同じ立海の有望株を叩き潰す訳ないじゃん」




・・・・・半分くらいしか。

内心でそう付け加えておく事にする。






***






雅が部活に行った後、私は時々空き教室からテニスコートを眺めている。

奇特な人間ではないので毎日なんて事はありえない。

ホントに時々だ。

転入手続きをしに来た日以来、テニスコートには行っていない。

これにはちょっと理由があるのだけど、とりあえずあそこには行きたくないのだ。

ひと際目立つ黄色いジャージ達が黄色いボールを追い掛けている。

何だか可笑しくて小さく笑うと、ある一人の部員が目に入った。

レギュラージャージを着てる訳でもないのに、いやに目立つ。

見間違えるはずもないあのもじゃもじゃワカメに思わず吹き出してしまった。




「上から見るとまるでヒジキだな」




ホントどこに行っても目立つ奴。

相変わらずチラチラとレギュラーを窺っているけど、みんな無視だ。

小憎たらしいし、馬鹿な奴だけど、憎めないから気になって覗きにきたのだ。

赤目とは別にレギュラー陣に視線がいく。

前から気にはなっていたが、あれは何だ。

これが王者と呼ばれるテニスなのか・・・?

私は溜め息を吐いて教室を出る事にした。

小さな呟きを一つ零して。




「このままなら、王者立海は自滅していくな」



* ひとやすみ *
・ようやく出せましたよ、もじゃ!笑
 何故だか赤也はリョーマと同い年だと思い込んでました。
 何だか暗ーい香りが漂っていてイヤな感じ。。。   (09/01/05)