ドリーム小説

「あぁ、!無事でしたか!」

「ど、どうしたんですか、虎珀さん」




突如として屋敷に訪れ、を見るなり抱き付いてきた虎珀に目を丸くする。

いつもなら文で先触れを出す律儀な虎珀が、朝早くそれも連絡もなしに屋敷を訪ねてきたのだ。

欠伸をしながら近くに座り込んだ洛兎が代わりに説明する。




「こいつ何か怪しいのに付け回されてんだよ。何をする訳でもなく、遠くから視線を感じる程度だから捕まえられねえし

 ここに来るのに一応撒いてきたが、一体何がしたいんだか」




俺は護衛代わりだと軽く言った洛兎に、は心配そうな顔をして虎珀を見た。

一体、僧である虎珀さんをつけてどうする気だろうか。

一方の虎珀は視線を受けて苦笑すると、ゆるりと首を振った。




「目的なら分かっています」

「え?」

「貴方ですよ、




きょとんとしたに虎珀は心底真面目そうな顔をした。

洛兎は聞いていたのか驚きはしなかったが、呆れ顔で耳半分に話を聞いている。




「正確には違いますが、実は数日前、寺に怪しげな二人組の男がを探しに来たんですよ」




虎珀の話によると強面の男ががここに住んでいると聞いて訪ねてきたそうだが、何だか危険な人物だと感じた虎珀は

いつも通りは行方不明だと答えて追い払ったらしい。

そこまでは自慢げにしていた虎珀だったが、急に落ち込んで口を開く。




「それが、男が去り際にという人物を知らないかと不意に尋ねたものですから、誤魔化すのに必死になった私は

 寺にそんな若い娘は滅多に参りませんよと答えたんです。すると男はニタリと笑って

『私は若い娘だと言いましたかな?』と嫌味たらしく言って・・・!」




それ以来、監視するように見張られてるようなのだと虎珀は申し訳無さそうに答えた。

が心配で心配で思わず寺を飛び出した虎珀はふらふらしている洛兎を護衛にここまで来たそうだ。




、お前も名の売れた武将になったんだ、ちいと気を付けろや。じゃないとこれが喧しくてならん」

「私、武将になったつもりはないんですが」

「いいですか、。出掛ける時は充分注意して、右見て左見てもう一度右見て歩くのですよ!」

「まー落ち着け、虎珀。こいつには俺が付いてるから、Don't worry!」

「・・・で、何でこんな朝早くにの部屋にいらっしゃるのです、殿?」




今まで完全にない物としていたそれに虎珀が鋭い視線を向けた。

三人の会話を寝転がって聞いていた政宗に部屋中の視線が向く。




「おい、チビ殿。お前、こんな所で遊んでていいのかよ。また小十郎が鬼みたいになって怒んぞ?」

「チビ殿言うな、なまくら坊主!」

「それが・・・、小十郎さんがここまでコレを届けに来たんですよ」

「片倉殿が?!何てことです!筆頭と愉快な仲間達が碌でもないばっかりに奥州のお先真っ暗じゃないですか!」

「もう本当、邪魔なので返品したいんですけどね」

「あぁ゙?!」




心底困ったと溜め息を吐くと虎珀に政宗がドスを効かせて声を上げるが完全無視。

その様子をほんのり生暖かく見守っていた洛兎がしみじみとして言う。




「俺が言うのも何だが、お前ら言うようになったなぁ・・・」

「当たり前です。この人相手に我慢したって何の得にもならないって学びましたから」

・・・」




切なそうにを見ていた虎珀の目がとんでもなく釣り上がり政宗に向いた。

その勢いに洛兎は同情し、政宗は頬を引き攣らせる。

の言い分は政宗の心をつつくような物だったが、それでも偽らない素直なと対峙出来るのは嫌ではなかった。

過去を変えることは出来ないが、今を良い方に向かわせることは出来る。

小十郎はそのための努力をする時間をくれたのだと政宗は思う。

正直、なぜそこまでして自分がに執着してるのか分からないが、手放したくないと心が叫んでいる。

ならば素直に従うまでだ。

俺を動かすことが出来るのは俺の心だけだ。




「あーそうだ、。お前、寺に置きっ放しのあの脇差みたいな木刀、大事な物なんだろ?今度持って来てやろうか?」

「木刀?あぁ!・・・いえ、取りに伺います」




洛兎の言葉には元の世界から持ち込んだあの家宝である木刀の存在を思い出した。

小刀にしては大きく、脇差にしては短い鞘付きのおかしな家宝『泡沫』。

祖父が家宝と神棚に置いていなければ、いつ竈にくべられてもおかしくないほど古いだけの木刀だ。

それでもあの時一緒にこの世界に来た大事な相棒だから、ちゃんと自分が迎えに行こう。

それから多忙のため屋敷を後にしようとするお寺組には感謝の言葉を告げて、門前で二人を見送った。

部屋に戻ろうとしたの行く手を阻むように嘶きと共に芦毛の馬が飛び出してきた。




「閏?!」

「Hey!!出掛けるぞ、!」

「はい?」

「Dateだ!」




馬を二頭引き連れて出てきた政宗はニヤリと笑って呆けるの腰を攫った。

ギョッとしている間に閏の背に乗せられて、気が付けば二頭は走り出していた。


* ひとやすみ *
・書いてみて気付いたんですが、デートってダテって書くんですねー。笑
 本当、どうでもいいことなんですけど、書いた後にふと思って。
 さて、予兆も何もさっぱり見当りませんが、星回帰編もまもなく終了予定です。
 それもそのはず、私がどこで切るかまだ迷ってるから(え
 以前、ぶった切ったら驚いたとお声を多々いただいたのでちんまり予告です。笑        (10/05/14)