ドリーム小説

報告を受けた黒脛巾の頭領は悪い方へと転がる現状に額を押さえた。

頭領は溜め息を吐いて目の前で情報をねだる政宗に最悪の結果を伝える。




「What?!もう一度言ってみろ!!」

は甲斐と繋がってる。事実、昨夜の家から猿飛が出てきている」

「・・何かの間違いじゃねぇのか」

「繋がりは否定できない。黒脛巾の信用はあの件で失墜、偵察が他にもいたからすでに知られていると思うべきだな。

 本当の所はどうせが猿飛を拾ったとかだろうが時期が悪すぎる。どうにもならん」

「Shit!!」




政宗は畳を無造作に蹴り上げ、悪態を吐いた後に隻眼でギロリと頭領を睨んだ。




「今回の謀反の密告、本当に黒脛巾じゃねぇんだな、お蘭?」




黒脛巾の頭領である蘭は窘める様な目付きで政宗を見返した。

いつもの煙管は持っていないものの、蘭はいつもの通りだった。




「言っただろ。アタシはが気に入っていると。そんな勝手なこと許しちゃいないよ」

「そうか」




政宗はそれだけ言うと足音荒く、部屋を出て行った。

蘭はもう一つ溜め息を吐いて自分の失態に眉根を寄せた。

をここまで追い込んだのは自分だ。

面白がっての二役をやらせたが、それがどう影響を与えるのか深く考えていなかった結果がコレ。

今にも溢れそうな泉の水面に石を投げ込んだのは間違いなくアタシなのだ。

今更すぎる後悔を抱え、蘭は部屋に入って来た篠を目の端に入れながら香に手を伸ばした。




「篠」

「はい」




その名を呼べば、いつものように返事があり嬉しそうに蘭を見返している。

蘭は悔しさを抑えるように深く息を吐いて、再び状況を嘆いた。




はね、やりたくてになった訳でも、行きたくて菊華屋にいた訳でもないんだよ」

「・・・え?」

「最初は嫌っていたアタシに懐いてくれたり、アンタに憧れたり、素直で馬鹿正直な子だからの存在に悩んでた」

「・・・・・」

「だからあの子の助けになるならと手を差し出したんだが。まぁある意味これはこれでよかったのかもしれないね」




蘭の独白を聞いているかのような感覚に篠は戸惑うように耳を傾けていた。

普段、こんな風に話をする事がないだけにどこか落ち着かずただ蘭に目を向ける。

その途端にピリッと肌を刺す空気になり身体が跳ね、背中を冷や汗が流れた。




「反対派が徒党を組んで急に活発になったり、を追い込んだり、裏で誰かが糸を引いている」

「・・・前々からを嫌っていた討伐を任されたあの」

「違うね。きっかけを与えたり、情報操作していた奴が別にいる」




怒りのオーラを滲ませている蘭に篠はゴクリと喉を鳴らす。

伊達に黒脛巾の頭領をやっていないのだと、肌で感じさせられた。

蘭が急に立ち上がり、その一挙一動に心臓が鷲掴みされたように痛くなる。

鋭い目付きの蘭に見下ろされながらも篠はしっかりと蘭の眼を見た。




「犯人は誰だと思う、篠?」

「わ、私には・・」

「誰だ?」

「・・・・ッ、」

「アンタが菊華屋や黒脛巾を大事に思ってるのは知ってる。だけどね、勝手は許さないよ」




篠の体がビクリと揺れた。

すでに蘭から出ている溢れんばかりの威圧感で視線は床に縫い付けられている。

ガタガタと恐怖で震えながら座り込んでいる畳には篠の額から落ちる汗で染みが出来ていた。




に嫉妬して手を回したんだろうが、これ以上黒脛巾に泥を塗るなら容赦はしない」

「・・・・は、いッ、」




蘭の覇気に押し潰される様に地面に額を付けた篠を射殺すように見てから、蘭はそのまま奥の部屋に入って行った。



* ひとやすみ *
・一挙ネタバレ。
 黒脛巾ならぬ赤脛巾もいたそうなので女頭領もありかなー、なんて。
 て、アレ?ヒロイン出てなくね?んんん?            (09/06/01)