ドリーム小説
いきなり何とかしろ、と言われても状況がいまいち掴めない二人は困った顔をして互いを見た。
詳しく説明を求めてきたので、が説明しようとすると政宗がつっかかってきて一向に話が進まない。
困ったを助けようと小十郎が政宗を宥めるが、そのおかげで余計に話がこじれていく。
どうしようもなくなった頃、ついに綱元が逆ギレしてその場は治めようもなくなった。
怒鳴り散らす者に、不貞腐れる者、それを宥めている者。
カオスな現状にの怒りのボルテージは頂点に達した。
「うるさぁいッ!!」
熱気溢れていた部屋が一気に水をうったように静かになった。
は溜め息を一つ吐くと元居た場所に座りなおした。
「お咎めは後でまとめて受けますからまずは座りませんか?」
あの大混乱を渾身の怒声が平定した。
***
は小十郎と綱元との関係を話し、恥ずかしながらもと政宗の出会いをポツリポツリと語った。
するとやはり小十郎は烈火の如く怒り、を正座させた。
「政宗様に刀を向けた?!誰彼構わず刀を向けるもんじゃねぇ!大体、お前は・・」
迫力のある顔で怒鳴られてしゅんとしていると、部屋の隅に座っていた政宗が勝ち誇った顔をしていた。
殿であるにしてもあの顔は少々腹が立つ。
すると小十郎がくるりと反転した。
「政宗様!貴方もだ!見知らぬ者に料理させるとは殿にあるまじき行為・・・」
それから二人してこっ酷く絞られて足が痺れた頃にようやく許してもらえた。
そして政宗がまた空気をぶち壊す問題発言をした。
「お前らの詳しい話はよく分かった。だから、お前俺に仕えろ」
は開いた口が塞がらず、思わず彼の重臣達を見たが、みんな目を合わそうとしない。
溜め息を思いきりついて政宗を見た。
「ですから、私には記憶がないから・・・」
「そんな事は俺には関係ねぇだろーが?」
膝を立てて億劫そうに話す政宗はジッとを見ていた。
反論出来る所はいくらでもあるはずなのに、何故か声に出来ない。
ある意味理不尽なこの状況に不満げな視線を向けると、このタイミングで政宗が笑った。
「お前の記憶が在ろうが無かろうが、がである事には違いねぇはずだろ。
仇を成したかどうかは俺が決める。お前の不安も責任もお前ごと全部俺が貰い受ける。
だから俺の所へ来い、」
これがカリスマ性というものだろうか。
言葉の一つ一つに魂が揺さぶられているような感じだ。
こんなすごい告白の仕方じゃ、惚れても仕方が無いだろう。
家臣達はきっとこの伊達政宗の人間性に惚れ込んで付いて来たのだろうなとしみじみ思う。
は溜め息をついて両手を挙げた。
「分かりましたよ。降参です」
すると嬉しそうな顔をした重臣達と、長い前髪から見える左目がニヤリと笑ったのが見えた。
ここで屈しては女が廃る、と意気込んで言葉を続けた。
「会ってまだ間もないけれど、奥州を治める方が政宗公で良かったと思いました。
こんな私でも受け入れようとして下さった事、心から感謝します。
・・・・ですが、私にも譲れないものがあります」
ここまで言うと部屋の雰囲気が重いものにガラリと変わった。
は政宗の鋭い目線に対抗すべく向き直った。
「ですから
日雇いにして下さい」
「・・・は?」
一瞬にしてみんなの表情が唖然としたものになった。
はそれでも真剣に話していた。
日雇いという選択肢も、いつの日か元の世界に帰れると信じて迷惑を掛けないように、と考えたものなのだ。
「どうしても私が欲しいならそれで手をうって下さい。
日雇いなら厨番でも厩番でも小姓でも何でもしますよ」
ニッコリ笑ったの表情の裏には決意があった。
それが何なのかはその時、誰にも分からなかったが、ここで否定する者は居なかった。
「この俺を振るなんていい根性だが、その度胸に免じてお前の案に甘んじてやる」
仕方ない、と言うような顔をした政宗には微笑んだ。
しかし次の瞬間、政宗のその一言で雰囲気は丸潰れた。
「それはそうと、、どっかで会ったことねェか?」
「(え?今頃・・・?!)」
* ひとやすみ *
・とんでもない事を言い出した気がします。
私なら伊達男に睨まれればコロリと従う気がします・・・。
しかしもも家臣にしたい魅力に溢れているようです。笑 (09/03/03)