ドリーム小説

それは唐突だった。

緊急事態を知らせる鉦の音が村に響き、誰もが状況を確認しようと外へ飛び出した。

日が落ちて暗い空を見渡すと、遠く微かに見える狼煙。

あれは敵襲の合図だ。

緊張が走り誰もが息を呑む中、組隊長は大声で指示を出す。




「松明を増やしなさい!匠衆と女衆に伝令を!」

「隊長!ろは両組出撃準備整いました!」

「そうですか。念のため周辺警備を増やしておいて正解でしたね。まさか東に引っ掛かるとは・・・」




普段はあまり村の周辺は派手に警備することはないのだが、慌しくなり始めた頃から隊長は兵を増やした。

それもこれも織田が動き出してからなのだが、西を重点的に増員していたのを見たが「東をもっと固めた方がいい」と

助言してきたので怪訝に思いながらも分散させておいたのだが、そのおかげで助かった。

すると兵が息を切らして隊長の元に飛び込んできた。




「伝令!東の木蔭の森にて奇襲を受けています!敵兵凡そ三百!」

「三百も一体どこから・・・!敵将は誰ですか!」

「そ、それが・・・!五木瓜に鶴丸の紋が掲げられております!」

「森蘭丸ですか!」




隊長は単独で奇襲を掛けて来た子供武将に目を見開いたが、逆にその機動力の有意差に納得がいった。

人数も機動力も相手が上となると、純粋に武力で上回るしかない。

織田軍は蘭丸だけじゃないのだ。

これだけ先読みしてもらって当主に任されているのにここで負ける訳にはいかない。




「直ちに両組を向かわせなさい!私も出ます!」

「はっ」

「・・・本当に姫の予想通りになりましたね」




この暗い空の下のどこかにいるはずの当主に向けて、隊長は小さく笑った。







***







一方、ひたすら暗闇を進む達にも狼煙は見えていた。

村の危急に、い組部隊は声を荒げて騒ぎ出した。

も狼煙をしばらく睨んでいたが、跨る閏の足を止めることはなかった。




「姫様!村が危ないんですよ!引き返しましょう!」

「そうだぜ!今ならまだ間に合うって!」

「見捨てる気ですか?!」




閏の行く手を阻まれ、自然と足が止まる。

暗闇に紛れるように出立した達は身を隠しながら前田の援軍に向かっていた。

理由はまだ戦が始まっていなかったからである。

おおっぴらに出撃して挟まれたらこの少数部隊では目も当てられない。

だが、隠れて前田と合流出来れば明智と魔王の嫁の両軍に備えることが出来るし、

たとえ移動中に戦が始まっても前田と交戦中の敵を挟むことが出来る。

援軍を出した後、村に奇襲があるのは予想の範疇だ。

だからこそ兵の半数以上を残し、予測不能な事態にも対応出来る様に屋代を残してきたのだ。

情報交換を優先させ鷹文部隊も準備している。

屋代からの救援要請がない限り、達が引き返すことはない。

動揺する部隊にが口を開く前に、同行していた己鉄と靭太が一喝した。




「ウルサイ!君達、敵に見付かりたいの?」

「奇襲ごときで狼狽するとはみっともない。仲間を信用出来ないのか?」

「で、でも!もし、あの奇襲が囮で今度は魔王自身が攻めて来たら・・・!」

「有り得ないよ」




騒がしい部隊の中に、の声が凛と響く。

自信に溢れる声に全員が口を閉じてを見上げた。

月を背負ったの優しい表情に誰もが息を呑む。




「あの三国同盟が信長を逃がすはずない。そんなことしたら私が三国に殴り込んでやる」




馬上の主の顔を見ればそれが冗談だと誰もが気付いたが、元甲斐の姫軍師の言葉だけに信憑性があった。

それにさっさと勝って戻ればいい話だと不敵に笑うに皆が活気付く。

暗に、お前達にはそれだけの力があるだろう?と言っているのだ。

大声を上げて意気揚々と暗闇を進み始めた部隊に「隠密中ー!」と己鉄の馬鹿でかい怒声が響くのはこのすぐ後の話。







***







叔父夫婦が相手の出方など待ってられんと飛び出したと報告を受けて、慶次は持ち場を任せて馬を走らせていた。

あの最強夫婦が負けるとは思わないが、考えなしにも程がある。

拠点にしていた末森城へ駆け込むと、青い顔をした男が慌てて近寄ってきた。




「慶次!よかった!殿とお方様が『ずっと睨み合いばかりでは飯が不味くなる』と飛び出して行かれて」

「・・・そりゃまた。なぁ、助右衛門、他に何か聞いてるか?途中、松根城にも寄ったんだが空っぽでさ」

「それが、長頼が『死ぬ時は殿と一緒ですー!』と後を追って」

「あちゃー・・・」




利家の家臣である奥村助右衛門永福は疲れた顔をして大きな溜め息を吐いた。

松根城にいたはずの村井長頼がいなかった理由を聞いた慶次も思わず額を覆う。

そんな無鉄砲な所、主と似なくていいのに・・・。

慶次と奥村の気持ちがシンクロした瞬間だった。

そこに伝令が二人同時に飛び込んできて、慶次と奥村は目を瞬いた。




「申し上げます!殿の奇襲が失敗に終わり、明智・魔王嫁の両軍と開戦した模様!」

「言わんこっちゃない!」

「こちらも申し上げます!!南より武装した兵が接近中!旗が見当らず、所属は分かりません!」

「「何だそれは?!」」




怒声を張り上げた慶次と奥村に伝令係は飛び跳ねた。

面倒なことになった。

ただでさえ前田だけで明智と濃姫を抑えなければならないのに・・・!

最強夫婦はアンポンタン、ジリジリと迫る謎の集団。

どうする・・・・?!

慶次と奥村は冷や汗を流して奥歯を噛み締めた。


* ひとやすみ *
・真夜中に書いたからか、文章乱れてるわ、キャラおかしいわで首を捻りましたよ。あれー?
 というか、それでいいのか前田軍!助右衛門さん、凄い人なんだよ本当は!焦
 BSRだから深く考えずに有名人出したはいいが、胃痛持ちと体力馬鹿みたくなったのは何故?
 おかしいなぁ。かぶいてるはずの慶ちゃんが一番まともに見えるイリュージョン・・・。
 まぁそれはさておき、本格的に織田攻略にいざ参らん!!                       (10/12/12)