ドリーム小説

あー、眠い・・・。

なのに何で俺はこんな早起きなのか。

それは昨夜からバンバン鳴り続ける携帯のせいだ。

まぁ、何時でもいいから報告しろと俺が言ったからなんだけどさー。

俺は欠伸を噛み殺しながら、カップにコーヒーを注ぐ。

月曜の朝とは言え、まだ起床には早いので家族は誰も起きてこない。

この土日だけで被害者が八人、全部合わせりゃこれで二十人もやられたことになる。

あれ?二十人目ってことは次狙われるのって何位だ?

眠すぎて頭の回転が遅く、唸っていると部屋の扉が開いた。




兄さん、帰ってたの?」




相変わらず朝から隙もなくピシッと制服を着こなしている恭弥がそこにいた。

だが僅かに光沢を失くした黒髪と重そうな目蓋が疲れと寝不足を訴えてるぞ。

大体、俺が家に居たことにすら気付かないとか、らしくないって。

おそらく、お前の事だからまた朝飯も食わず犯人探しに行くんだろうが、そうはさせないぞ。




「恭弥、話がある」

「悪いけど、やることがあるから」




えぇー!!待て待て!話くらい聞いてよ!

俺、お前と話すために喧しい電話我慢して家に帰ってきたんだからなー?!

っていうか、朝飯作るから行かないで、恭弥様!!

俺は恭弥を引き止めようと口を開いたが、動揺して出てきた声は皺枯れた声だった。




「恭弥」




・・・情けない声。

それを察してか、何とも言えない顔をして振り向いた恭弥は眉根を寄せた。

行かないでと心の中で祈っていると、恭弥は不機嫌そうにしながらも向かいの席に座ってくれた。

うぅ、何て優しい弟でしょう!

俺は朝飯の材料を探しながら、大人しく座っている恭弥に話しかけた。




「お前に渡したい物があるんだが、今手元にない」

「急ぎ?」

「結構な」




桜クラ病の処方箋はこの後すぐに取りにいくつもりだ。

二十人ってことは次は5位?だろ・・・。

ここまで上位にくるといろいろヤバイしさ、大体5位って誰だっけ?

それでと声を上げた恭弥に俺は思考を戻した。




「手に入れたらすぐに連絡する。それまで動くな」

「動くなって何それ」

「犯人が見付かっても勝手に乗り込むなってことだ」

「・・・・・・」




黙り込んだ恭弥に俺は満足した。

ここまで言っとけば処方箋受け取る前に敵地に乗り込むなんてことはないだろう。

簡単に作った朝飯を恭弥の目の前に置くと黙々と食べ始めたが、どこか様子がおかしい事に気付いた。




「ねぇ、兄さん。犯人についてどう思う?」

「・・・一筋縄でいく相手ではないな」

「・・・、兄さんから連絡貰った後は僕の好きにするよ」

「え、あぁ」




恭弥はそれだけ言うと、一度も俺と目を合わさず出て行ってしまった。

何だぁ?

どこかおかしいと感じながらも見当も付かなかった俺は、恭弥と同じ朝飯を口に放り込んで同じように家を出た。

残りがあと5人しかいないってことはマジで処方箋急がないとヤバイ。

足早に角を曲がった所で俺は大声を上げた。

そうだ!5位は・・・!




「笹川了平・・・!」




道端に蹲るように倒れていたその芝生頭は間違いなく笹川了平その人だった。







***







俺とコイツは面識がない。

だけど道端で怪我して倒れてたら誰だって救急車を呼ぶだろう。

もちろん俺もそうした。

そうしたが、あれよあれよと付き添いとして救急車に乗せられ、了平共々病院へ搬送。

おまけに警察まで呼ばれて事情聴取という名の取調べまで受けた。

どうやら、俺が犯人だと思われたらしい。

ドラマとかではこういう時、大体冤罪の人が捕まるんだよな?!

パニックになった俺は問われる前に自分から経歴と事情を語った。

それはもうマシンガントーク並みに。

そのおかげか疑いは晴れて、若い警察官は真っ青になりながら泣いて土下座して謝ってくれた。

最近の警察は随分腰が低いんだなぁ・・・。

そんなこんなで俺が解放された時には八時を回っていた。

やっべー!恭弥にこれ報告しなきゃ!

俺は慌てて携帯を掴んだ。




「恭弥、俺だ。並中の笹川了平がやられた。歯を五本持っていかれてる」

『そう』

「今朝の話覚えてるな?今からそっちに行く。動くなよ」

『・・・ツーツーツー』

「勝手に切るなよ」




強制終了させられた通話に溜め息を吐いて了平の病室に戻った。

目を覚ましていた了平は無い歯を見せて笑う。




「おぉ!どこの誰だか知らんが助けてくれたらしいな。極限礼を言うぞ!」

「雲雀だ。いや、気にするな」

「ん?ヒバリ?うちの学校にいる怒りんぼと同じ名前だが」

「・・・そいつは俺の弟だ」

「おぉ!そうか!」




何かスゲーなコイツ・・・。

気が抜けるというか、緩むというか。

まさかあの恭弥を怒りんぼと表現する奴がいるとは、大物だなお前。

・・・って処方箋!

俺はようやくそれを思い出して病室を出ようとした瞬間、扉が勝手に開いた。




「お兄さん!大丈夫ですか?・・・ってさん?!」

「ちゃおッス、

「おー、何だお前達知り合いか?」




病室に飛び込んできた綱吉、リボーン、了平の視線が向けられて、俺は完全に部屋を出るタイミングを逃した。

俺は仕方なく壁際の椅子に腰を降ろした。

落ち着きなく怪我の様子を尋ねる綱吉を見守っているとリボーンの円らな瞳がギロリとこっちを向いた。

うわー!俺、疑われてる?!




「俺はただの第一発見者だ」

「そうか」




それだけ?!何か、こう、言ってくれなきゃ逆に不安になるじゃん!

俺がオロオロしてる間に了平は心配性の妹の為に口うらを合わせてくれと綱吉に頼んでいた。

ちなみに俺はそれを断った。

綱吉が首を傾げていると涙目の女の子が病室に飛び込んできた。

おぉ、生京子ちゃんだー。




「お兄ちゃん!どうして銭湯の煙突なんて登ったの?」




うん、初っ端から強烈なインパクトありがとう。

壮絶な顔をしてる綱吉の気持ちはよく分かる。

だから俺は了平の頼みを断ったんだよ。

煙突登って捻挫とかむちゃ言うなよな。

その怪我で捻挫とか明らかな嘘吐かれたら逆にもっと心配するっての。




「入院はするが命に別状はないし、了平は丈夫だからすぐに退院出来る」

「・・・え、あの?」

「コイツはだ!倒れていた俺を助けてくれたのだ!」

「そうなの?さん、お兄ちゃんを助けてくれて本当にありがとうございました!」




あー可愛いなぁ。

少しは安心出来たのかホッとしたようにまた涙を浮べた京子に俺は綱吉の背を押して退室を促した。

あとは家族でどうぞ。

外に出てみると並中生ばかりで俺は顔を引き攣らせた。

何だよコレ?!

綱吉が友達らしき少年と何か話しているのを聞きながら俺は周りを見渡して黒い奴等を見付けた。




「「さん!」」

「Jr。・・・酷いなこれは」

「はい。それと委員長から伝言を預かってるんですが『あとは好きにするよ』と」

「何だ、それは?」

「いえ、それだけ言えば分かると。ただ委員長の姿が見えないのでおそらく犯人を見付けたのではないでしょうか」




その一言で俺は全てを理解した。

あんの馬鹿!処方箋待たずに乗り込みやがったな・・・!!

確かに連絡貰った後は好きにしていいとは言ってたけどさ、あれは処方箋渡した後って意味なのに!!

恭弥のバカヤロー!!

綱吉の喜ぶ声を聞きながら俺は慌てて病院を飛び出した。


* ひとやすみ *
・びっくりした!一ヶ月近く放置してたんだ・・・!
 物凄いものすごい難産でした。まさかここまで笹川兄妹が扱い難いとは。笑
 でもようやくここまで来ました!結局兄ちゃんの処方箋奮闘記は無駄というね。笑
 恭弥視点を入れてバビューンと行きたいものです。                                 (10/08/22)