ドリーム小説

兄!」

「ふ・・・たっ、」




ギブギブギブギブ・・・ッ!!

首絞まってるから!!

椅子に座っていた俺の高さはちょうどよかったみたいで、首に回された小さな腕がギリギリと締め付けてる。

苦しくて顰めた目にイーピンが慌てて首を振りながら何か言っているのが見えた。

その直後、腕があっさり離れ、飛び込んで来た空気に咽た。




「ごめんなさい、兄!僕、うれしくて、」




喉を擦りながら後ろの犯人を見ると、しょぼーんとしているフゥ太が立っていた。

悪気があった訳じゃないのは知ってるから、俺が怒れるはずもなく・・・。

気にするなとそう言えば、フゥ太はホッと息を吐いて笑った。

それよりも、所在なさげに落ち着きのないのが他に二人。

俺を助けてくれたイーピンと離れたテーブルに隠れてこっちを窺うランボだ。




「助けてくれてありがとな、イーピン」




心の底から感謝を述べるとイーピンは首をブンブン横に振る。

ホントに謙虚だなー、イーピンは。

彼女はいつも話しかけてくる訳でもなく、気が付けば俺の傍にいて助けてくれる。

まぁ、話しかけられても俺、中国語分からないから、酷い結果になるんだけど。

今度、中国語覚えようかなぁ・・・。

何かお礼をしたいなと思っているとふと、テーブルに飾られた白い花が目に入った。

あとで花の代金払ったらいいよね?

俺は花瓶に刺さってたその花を引き抜いて、水分を拭きイーピンの髪の根元に挿した。




「あぁ、やっぱ似合うな」

「!!」




うん。イーピン髪黒いし、白が映えると思ったんだよね。

驚いたようなイーピンは顔を真っ赤に染めてランボの後ろに走って逃げた。

え゙?!俺、何かまずいことした?!

するとフゥ太が俺を見てクスクス笑った。




「イーピン、喜んでたよ。兄のこと大好きだから恥ずかしかったんじゃないかな」

「まずかったか?」

「ぜーんぜん!」




ニコッと笑ったフゥ太は正一が座っていた席に座った。

フゥ太に初めて会ったのは冬だったかな?

綱吉やら武に引っ張られて沢田家に行ったら、そこにいたんだよね。

最初は何かモジモジしてたけど、いつの間にか気兼ねなく話すようになって、気が付いたら懐かれてた。

俺が会う時、大体いつもコイツら三人一緒でこんな感じだ。

遠く離れた所で相変わらずジーと俺を睨むランボに視線を向ける。

何やら俺、ランボに嫌われてるらしい。

まぁ、初対面で脅しちゃったのが悪かったんだろうけど。

イーピンと仲良く喧嘩してても、俺に会うと借りてきた猫のように動かなくなる。

どうしたものか・・・。

小さく溜め息を吐くと、フゥ太はキョトンとして俺の視線を追った。




「あぁ、ランボ?兄だけだよ。ランボをあんなふうに黙らせちゃうの」

「・・・何とかなると思うか?」

「うーん。ランボ、兄のことすっごく怖い人って勘違いしてるからなー」




俺が怖い人?!

やっぱ脅したからかー!!

本当の俺なんてただのチキン野郎なのに!

これからちょっとランボに優しくしよう・・・。

復活したらしいイーピンとランボが何やら言い争ってるのを見ながら俺はそう誓った。




「仕方ないよ。兄は勘違いされやすい人ランキング1位だもん」

「それは良いのか、悪いのか?」

「良いに決まってるよ!僕もこのランキング見なかったら兄と喋れなかったもん!」




衝撃的な事実発覚!!

フゥ太、お前も俺が怖かったのー?!

勘違いされやすいって、俺のどこにそんな要素あるよ?!

ホントに合ってんのかそのランキング?!

ランキングの星に疑惑を持ち始めた時、ランボの泣き声と共にボフンと音がして振り返れば煙に包まれていた。

な、何があったんだ?!

尋常じゃない事態に腰を上げれば、晴れた煙の中に一組の男女が。

って、十年後のランボとイーピン!!

あー!まさかさっきの十年バズーカ?!




「あー!さん!!」

「あ!ランボ!さんから離れて!」




大人ランボにいきなり抱き着かれ、イーピンが日本語で怒りながらこっちに来る。

ど、どーなってんの、これ?!

困ってフゥ太を見れば、俺と同じくポカンと口を開いて二人を見ている。




「最近全然構ってくれないんでつい・・・。お若いさん、どうかオレを嫌わないで下さい」




え?嫌うも何もお前の方が俺を嫌ってんじゃん!!

ランボを俺から引き離したイーピンはおかもちを片手に溜め息を吐いた。




「もうランボったら!あ、そうだ、さん。さっき川平のオジサンに頼まれたんですけど、これ忘れ物だって」

「え」

「オジサンの家にこれ忘れていったって聞いたから預かったんですよ」

「嘘だぁ!イーピン、さんに会う口実に無理矢理預かったんじゃないの?」

「どうしてそんなこと言うの!ランボだって今はさんを憧れとか言ってるけど昔はビービー泣いて怖がってたじゃない」

「そういうイーピンこそ、さんと話したいから日本語覚えるってフゥ太困らせてたじゃないか」




もう何から突っ込んだらいいか分からない・・・。

言い争いが始まった十年後のランボとイーピンを呆然と見ていると向かいのフゥ太が声を上げた。




兄がアクセサリーなんて珍しいね」




イーピンが持ってきた俺の忘れ物とやらは少しゴツめの指輪だった。

俺には一切身に覚えがないけれど、何だか既視感を覚えた。

これってまさか・・・。

俺は何だか嫌な予感がして指輪を返そうとイーピンを見た瞬間、ボフンと音を立てて子供イーピンが現れた。

お、遅かった・・・。

近くにいた俺を見て逃げ出したランボをフゥ太が追い掛け、イーピンが俺に頭を下げて二人を追い、俺はまた一人になった。

ポツネンと残されたそれを一頻り睨んで、俺は恐る恐る指輪を手に取った。

いくらなんでも大事な物や危険な物を一般人の家に忘れて帰るような俺じゃない・・・と思う。

ちょっと試してみるだけだ。

何もなければ俺って恥ずかしい奴、の一言で笑って終わり。

そろりと右の中指に指輪を差し込むと、ブワッと熱さを感じない炎が遠慮なく噴き出した。

ギャー!!嘘だろぉぉぉぉ?!


* ひとやすみ *
・正解はフゥ太の生腕でしたー!笑
 首に巻きついた物へのいろんな意見なかなか面白かったです!愛故のへなちょこ鞭だとか
 愛故の委員長ヘッドロックとか、クフフの蔦とか蛇とか、危険極まりなくて!笑
 そして兄ちゃん、相変わらずの天然たらしです!イーピン可愛いから仕方ないけどさー。
 ここにきて十年バズーカの存在を思い出して使ってみました。
 もっと面白い使い方が出来るかもしれないなぁ。摩訶不思議万歳!笑           (10/07/03)