ドリーム小説

最早一戸建てとそう違いのない広いマンションの一室に入ると俺は見慣れたソファーに腰を降ろした。

まず何から話せばいいのか、うんうん唸っていると目の前に赤いスーツが立ち塞がっていた。




「主人、ふらふらしているのもいいですが仕事していただかないと困ります」

「主人じゃなくてと呼べって言っただろ、執事」




真っ赤なスーツを着た執事は肩を竦め、ちくわで書類が山盛りになった机を指した。

あーあー、またちょっと見ない内に仕事溜まってるよ・・・。

小さく溜め息を吐くと、執事は何かを思い出したように振り返って言葉を続けた。




「それと様。最近周りをチョロチョロしてるのが・・・、いえ、やはり何でもありません」

「・・・大丈夫なのか?」

「はい。害はないと思いますので、適当にあしらっておきます」




相変わらずスゲーなこの人・・・。

バッサリと言い切った執事に俺は苦笑して山積みの書類の元へ向かった。




帰国後、本当にいろんな事があった。

数年前、俺の生活をガラリと変えた大事件が起きた。

あのレディが消えた。

事故だったらしいが、俺はあの真っ赤な魔女が死んだなんて絶対に信じない。

だけどレディの最後の予言と遺言を持って執事が俺の元へやって来た事で事態は急速に変わっていった。

俺は拒否権もなく突然レディの遺産全てを押し付けられたのだ。

気が付けば俺、億万長者。

実際には億どころじゃないらしいが、俺が全部を把握出来るはずもない。

レディめ!どこにいるんだか知らないが、面倒なことしてくれやがって!!


大金持ちになったからって何をすればいいのか分からんと言えば、

執事はニコリと笑ってこんな事も出来ますとパソコンを使ってほんの数時間で並盛を殆んど牛耳ってしまった!!

いや、これマジで・・・!!

殆んどの会社の取締役やら理事の名前が雲雀に変わっていた。

面倒事を避けるため俺の名前は重役にしか知らされていないらしく、実際は執事チクワが表立っている。

並盛の有力会社の代表者リストを占めるのが執事チクワ代理とかいうふざけた名前なのだ。

しかも全ては俺のもんだから焼くなり煮るなりお好きにどうぞと権利書を投げ渡された時はマジで泣きたくなった。

俺は現在、並盛の分だけ管理しているんだけど、執事は有能で仕事と言ってもこの部屋で出来る事ばかりだ。

おかげでふらふら出歩く暇があったりするせいで、俺は周りからプー扱い。

何か間抜けすぎて嫌なんだけどさー・・・。


ポンポンと判子を押して、会社の事業内容などを自分なりにファイリングする。

ひと段落した所で俺は当初の目的を思い出した。




「執事、もうリボーンは並盛に来てるんだよな?」

「はい。毒サソリ、スモーキンボム、Dr.シャマル、イーピンなど続々と並盛に集結してます」

「そうか」




俺、原作に係わっていいのかな。

・・・とか悩めたらいいんだけどさ、俺、キャバッローネで生まれて、今雲雀の人間なんだよねー。

係わるも何も、のめり込んじゃってるから原作変えるかもとか悩む必要も筋合いもない。

ようするに俺の覚悟一つな訳で。

未来はたくさんあって絶対はないとレディも言ってた。

うん。

俺は俺の人生を楽しもう。

レディを真似て真っ赤なスーツを着るようになった執事を見て、俺は小さく笑ってファイルを閉じた。






***






翌朝、仕事を片付けて家に帰ってみると腹を抱えて大爆笑中の父さんに会った。

な、何だぁ?

説明を求めて母さんを見ると困ったように笑って答えてくれた。




「実はね、恭弥が入院したの」

「恭弥が入院?!」




それって一大事だろ?!

何笑ってんだよ、馬鹿親父!!

恭弥が入院ってやっぱ喧嘩か?!

そんな強い奴、並盛に居たか?!

何かに巻き込まれたなら兄ちゃんが仇を討ってやるからな!

母さんは俺を見て何かを覚ったのか首を横に振った。




「やぁね。違うわよ。風邪よ」

「は?」

「ふふっ・・・しかも仮病だよ」




はぁ?!仮病ー?!

ようやく笑いを治めた父さんがそんな事を言うので眉根を寄せれば母さんが説明してくれた。




「恭弥ったら昨日から寝ずにずっとここに座ってたと思ったら今朝突然不機嫌そうに出て行っちゃって」

「しかも風邪をこじらせたから入院してくるって言ってね」




わけがわからん。

何だそれ?

不機嫌になったと思えば自力入院って、何が気に食わなかったんだ、恭弥?

またクスクスやりだした父さんを横目に、母さんが俺を見て首を傾げた。




「恭弥のあれはを待ってたんだと思うの」

「帰れないと連絡してあったが」

「いや、恭弥がああなるのは絡みに違いないよ。何したんだい?」




え、何、この俺のせいみたいな雰囲気は?

全く、見当もつかず俺は刺さる空気から逃れるように、恭弥の見舞いに行く事にした。

・・・俺、ホント、何かしたっけ?





病院ではお静かに。

それが常識だと思っていた俺は間違っていたのか?

病棟へ上ってみれば慌しい看護師に、喧しい見舞い客、他の病室からの野次馬。

理由はその病室のネームプレートを見てすぐに分かった。

雲雀恭弥様、沢田綱吉。

おいおい、いきなりこれかよ・・・。

とりあえず俺は執事に電話して憐れな綱吉のためにどこかマシな個室を用意してもらう事にした。


* ひとやすみ *
・時間やら何やらいろいろすっ飛ばしてますが原作軸だと言い張ります!笑
 例の赤スーツは彼女でした!本当はいろいろ語りたい所ですが
 赤の魔女の出番はここまで。突如現れた赤い彗星に(違)たくさんのラブコール
 とても嬉しかったです!!これからも応援よろしく願いますー!!               (10/02/17)