ドリーム小説

嘘だろ?

気が付いたら原作入りしてましたってどんだけ鈍いんだよ俺ー!!

あの仔牛はどう見てもランボだったし、家庭教師ってやっぱアレだよな?!

美人なお姉さんは多分ビアンキだろーし。

もう!何で俺、身近に迫ってた危機に気付かなかったかな?!

沢田家から離れようと必死に走っていた俺はふと自分が手ぶらな事に気付いた。

あ、本、奈々さんに預けたままだ。

みっともないけど、奈々さんの荷物は玄関先に放ってきてしまった。

だってあそこは危険地帯だ。

ごめん奈々さん、と心の中で謝って角を曲がるとドンと人とぶつかった。

俺より小さいソイツは吹き飛ばされ、慌てて腕を掴んで助ける。




「十代目!」

「大丈夫か、ツナ」




・・・・察してくれ、俺の心境を。

ダラダラダラと冷や汗を流しながら、掴んでいる少年を見下ろす。

癖の強い髪に、奈々さん譲りの大きな目、細い腕に、並中の制服。

ガッデム!!沢田綱吉ミーツ俺!!!

うわーん!!!俺が何したってんだよー!!

平穏を望んで何が悪い?!

だってチキンだもん!!!

原作入りでテンパってる俺にこの三人組は痛い。痛すぎる。




「あぁ?!テメー、余所見してんじゃねェぞ!十代目に謝りやがれ!!」

「まあまあ落ち着けって獄寺・・・ってあれ?さん?」

「え?!山本、知ってるのこの人?!」




あ、れ・・・?

やいのやいの騒いでる三人はあまりにも普通の中学生で俺はキョトンとしてしまった。

何ていうか、仲いいなぁ、お前ら。




さんはウチの店の常連客でさ、小さい頃はよく遊んでもらったんだ」

「外国の人、だよね?」

「テメー何モンだ?!」

「ちょっ・・獄寺くん!!」




あまりに予想通りの反応で俺は思わず笑ってしまった。

俺が笑ったのが気に食わないのか、三人とも黙り込んで俺を見上げていたけど止まりそうにない。

怒りすぎてか三人とも顔を赤くし始めたので、咳払いをして少年三人に向き直った。

・・・うん。

何で俺、あんなに焦ってたんだろう?

原作入りしたから何だって言うんだ?

キャラが並盛に集結したくらいでビビってたら雲雀恭弥の兄なんかやってられないっての!




「悪い。怪我はないか、綱吉」

「ふえぇ?!な、何で俺の名前・・・!」

「何だ、ツナもさんと知り合いだったのなー」




あ、そうか。

俺はしょっちゅう綱吉の話を奈々さんから聞いてるから忘れてた。

楽しそうに笑う武に俺は頷いて言葉を付け足した。




「奈々さんとは親しくさせてもらってるが、昔、綱吉と遊んだことがある」

「えぇ?!覚えてないよ!てか何でこんな綺麗な人と遊んだ事忘れてんの俺ー?!」

「はは!だよなー、さん綺麗だよな!なぁ獄寺?」

「・・・・ッチ」




これは、誉められてんのか?

何だか楽しそうにしているのを見て俺は嬉しくなって武と綱吉、隼人の頭を撫でた。

ピシリと固まった隼人に俺は知ってるんだけど一応名前を聞いた。




「名前聞いてなかったな」

「・・・獄寺隼人」

「隼人、な」




漫画と区別するため、俺は出来る限り名前で呼ぶようにしている。

俺が生きてるこの世界だ。

やっぱ作り物の世界だなんて思いたくないから。

ふいと照れたように視線を外した隼人が、ビアンキの父親の愛情を掻っ攫っていったあの隼人だと思うと

少し不思議な気分だ。

月日の経過と奇妙な縁に笑って俺は三人に別れを告げた。







***







原作入りした事を確かめたい。

知ってどうなるって訳でもないけど、それはやっぱ心構えってもんがいると思うんだよな。

ヘンだ!ビビリでもチキンでも何とでも言えばいい!

ただ、これから俺はどうしたらいいのか考えたいんだよ。

そのためにはアイツの協力がいる。

俺は目の前の並盛中学校を見上げ、溜め息交じりに校舎に足を踏み入れた。

勝手知ったる並中を歩いて、懐かしい応接室の前で無駄な足掻きの深呼吸を一つ。




さん?!」




ビッ、ビックリしたー!!

大きな声で名前を呼ばれて振り返ればそこに草壁Jrがいた。

酷く慌てたJrがファイルを落とし、いそいそと俺も手伝ってそれを拾う。




「恭弥は中か?」

「あ、いえ、委員長は今、見回りに」




あー。この時間なら外さないと思ったんだけどなぁ。

いないなら別にいいか。

Jrに伝言を頼もう。




「悪いが、恭弥に今日は帰らないと伝えてくれるか?」

「わ、私が?!無理です!!無謀です!!どうかあと少しお待ち下さい!!」




何で無謀?!しかも全拒否!!

そんな泣きそうになりながら縋られたら、怖くて帰れないよ、俺!!

Jrに拒まれて俺はほぼ強制的に応接室に詰め込まれ、そこで見た物に思考が停止した。

何だ、アレはー?!




「Jr、あれは、誰だ・・・?」

さんです」

「・・・聞き方を間違えたな。あれは、何だ・・・?」

さんの肖像画です」




何で俺があんな馬鹿デカく引き伸ばされてんだー!!!

しかも似てるから手に負えない。

何だよそのレモンとキザなポージングは!!

そこには昔、父さんの写真があったはず・・・って恭弥が替えただと?!

ちょっと恭弥とそこんとこ詳しく話さないといけないよな。

キラキラと輝く俺に見られるなんて耐えられず、俺はすぐに並中を出た。

Jrに鬼気迫る勢いで念押しされたので恭弥に電話しながらだけど。

数回のコールで出た恭弥にこれを伝えておかないと後が怖い。




「恭弥、今外だよな?」

『そうだけど』

「悪い。今日は帰れない」

『ちょ、兄さん?!』




反対されるのは目に見えているので俺はすぐに電話を切って足早に慣れた道を歩く。

この際、肖像画についてはまた今度だ。

家とは反対へ向かい、俺は目の前の何度見てもデカすぎるマンションへ入った。

ここに来るのも慣れたもので、目の前のチャイムを押すのに抵抗はない。

中から物音がして開いた扉の向こうには真っ赤なスーツを着た彼女が笑顔で俺を出迎えてくれた。

俺はそんな彼女に苦笑して部屋に入り静かに玄関の扉を閉めた。

まさかその様子を見られていたとはこの時の俺は全然知らなかった。


* ひとやすみ *
・ちょっと遊びすぎました。笑
 ようやく主役組と会えて、これからって感じです。
 悩みに悩んだ末に原作沿いではなく、原作軸でのオリジナル路線を走りそうです。
 主人公も「俺なんで逃げてたんだっけ?」という無茶苦茶な自己解決を図ったようですし
 私もオッケー!と意味不明なテンションで参りたいと思います!!                  (10/01/28)