ドリーム小説

は、昔から俺の一回りも二回りも上を行く野郎だった。

6年前にあんなとんでもない事件を起こした上に俺には何も言わずアイツは行方を晦ました。

そしてまた俺の前に立ったは容姿に磨きをかけたものの、

中身は昔と変わらず全てを見透かしたようないけ好かない野郎のままだった。

いつもいつも俺の周りが騒がしい時に限っては現れる。

俺を心配しているつもりか?このドカスが!

その有難迷惑にイライラしながらも、悪い気がしない自分がどうしようもなく愚かに思えた。

あんまり飄々としているので腹が立ち、気が付けば八つ当たりのようにぶん殴って文句を浴びせていた。

そしたら殴り返された。

それが当然なんだが、いつも淡々としていたが怒鳴っているのを見て反応が鈍る。

しかも殴った事ではなく、俺が自分を貶した事に怒っているらしい。

変な奴。

怒鳴りながら俺を睨むに悪い気がせず、気が付けば口元が緩んでいた。

それでは一体、俺がボンゴレの血を引いていない事を知りながら何しにここへ来たのか。

コイツもカス鮫のようにクーデターを止めに来たのか、それとも追い出したボンゴレを憎み俺に手を貸しに来たのか?

だが、の答えはそのどちらでもなかった。




「お前の好きなようにやればいい」




その言葉で俺は全てを許されたような気がした。

たとえ自分の出自が何であれ、俺は俺という個人であり、何を考え、何を行おうとも

は全てを受け入れるとそう言ってくれたのだ。

悲しいような嬉しいような何だか分からない気持ちでを見ていると、奴は唇を軽く吊り上げて薄く笑った。

何だかその顔に腹が立ち、気付いたらに足払いを掛けてすっ転ばしていた。

すかした顔しやがってザマアミロ。

清々した顔で見下ろしたのも束の間、同じように足を薙ぎ払われ無様にも隣に倒れる羽目になった。

それでも俺の気持ちは浮上したままで、酒に沈んでいたさっきまでの感情が嘘みたいに晴れていた。

相変わらず、可笑しな野郎だ。

だが、またお前に会えてよかったと素直に思ってやる。






***






昨晩、と話た時、俺は本当にジジイを一発殴るだけにしといてやるとそう思っていたのだ。

それをと一緒に酒の肴にして笑い話に出来たら傑作だと、そう思っていた。

どこの部隊のカスかは知らねーが、いきなり広間に飛び込んで来て発砲したせいで望まずとも乱闘が起こってしまった。

状況把握が出来ていない俺とジジイを狙って無差別に鉛玉が飛び交う。

一体、何がどうなってやがる。

取引相手も部下もボンゴレ側もほぼ全滅。

壁を壊して隣の部屋へ向かうとジジイまで付いて来た。

あんまり俺を見る目がウザかったから、攻撃してやった。




「一体これはどういうことだい、ザンザス」

「テメェの仕業だろーが!」

「私ではない。君でもないなら他に誰が?」




これは仕組まれた物だ。

不自然なまでに統率された奇襲に、通信機器の妨害、おまけに部下にスパイを潜り込ませる周到さ。

全部テメェの落ち度だ、カス鮫が!!

ジジイの猿芝居か、第三者の存在が浮き彫りになった瞬間、広間から人が転がり込んで来た。




「何をしてるんだ、ザンザス!」

君?!まさか・・・!そういう事なの、か?」




ジジイの疑いの声に背筋がゾッとした。

怨まれてもおかしくないと自覚してるのか、を見て第三者と結び付けやがった。

が疑われている。

んな訳があるか!

絶対に違うと俺の直感が、の目がそう言っていた。

こんなくだらない事にコイツを巻き込む訳にはいくか!

笑える事に、誤魔化すのに最良の策は自分を引っ張り出す事だった。




「黙れ老いぼれが!こんなカスの手なんか借りなくてもテメェをカッ消すなんて訳ねーんだよ!」




存外に俺が犯人だと言ってやれば、ジジイは俺に意識を向けた。

再びジジイとやり合っている間になぜかカス鮫が部下と斬り合っているのが見えた。

なるほど。この女が真犯人だな。

近かったため女の声がここまで届き、その内容がまるで自分の事のようだった。

それ相応の裁き、か。

中止したとはいえ、元々これは俺が計画していたことだ。

この責任をに押し付けられて堪るか。

これは俺の“親子喧嘩”なんだろ?

そう思った瞬間、から凄まじい殺気が爆発して誰もが奴を見た。

カスが!今テメェが動くと俺のしてる事が無駄になるだろーが!

俺はホルスターから専用のピストルを抜いて、に向かって引き金を引いた。

テメェならこのくらい避けられるだろう?

に向かって攻撃したことでジジイは完全に俺とは無関係と判断したようだった。

もう事は動き出した。

止めようがないなら最後まで演じ抜いてやる。

楽しみにしてたのに悪いが、お前に俺の拳、見せてやれそうにないな。








を撒くように地下へと逃げた後、俺はジジイに不満や恨みを全て吐き出した。

相変わらずジジイは胡散臭いいい訳を言っていたが、が追い着いた時にはもう決着はついていた。

奴は初代が編み出したという死ぬ気の零地点突破とやらを俺に使った。

正直、このジジイがそんなもん使えるとは思ってなかっただけに驚いた。

その様子をただ黙って見ていたの顔が酷く歪んでいて思わず吹き出しそうになる。

不細工な面だ。

足元から氷が這い上がってくるのを感じながら不機嫌そうに近付いてきたを見遣る。

コイツのことだ。

もう、俺の小細工なんか見抜いてんだろ。

最期なんだから隠す必要もないと、自分の尻拭いは自分でやると言えば呆れたような視線を向けてきやがった。

たとえこれが自分の見栄であったとしても、最期までと対等でいれた事が誇らしかった。

そう思った俺を見透かすようには小さく呟いた。




「・・・ジャッポーネだ」

「あ?」

「俺はお前が目覚めるまで日本で待っててやるから、絶対会いに来い。寝坊は許さないからな」




それは、俺が死なないということなのか?

目覚めると言ったの目が力強く光を放っていて、たとえそれが気休めだろうと信じてみたくなった。

面白い物を見せてやると言ったはあろう事か俺の代わりだと言ってジジイを思いっきりぶん殴った。

喉元まで氷が来ているというのに俺はそれをすっかり忘れて腹が捩れるほど笑い転げた。

不思議だ。

死ぬかもしれないというのに、悪くない気がしてる。

冷たさを感じない氷が口元に届いた時、俺は最後の言葉を皮肉で締め括った。




「怨むぜ、親父」




ジジイの歪んだ顔に満足した俺は背を向けたままのに視線を向けた。

もう口は凍って動かないから何も言えやしないが・・・


またな、


* ひとやすみ *
・生温いよ・・・!いつのまに牙が折られたのボス!
 どうも私は有り得ない事とか見るのが好きらしい。マブダチマブダチ☆笑
 あえてここまで他人視点を避けてた感があるんですが、これでゆりかごは終了かな?
 あとは今後の話とかをちまこら。あ、あと三話で終わるかなぁ・・・。うーん。
 今回ホント寄り道が多くて本気で反省。                           (09/11/15)