ドリーム小説


「お前、今何考えてるんだ、ザンザス」

「あぁ?んなもん、テメェの方がよく分かってんだろーが」




分かんねーから聞いてんじゃん。

何で作戦を中止にしたのか未だに俺には全く分からん。

このザンザスが高だか俺に殴られたくらいで意見を変えるとは思えないし。

だけど一つ言える事は、コイツは本気でキレイサッパリ作戦を諦めたらしい。

さっきからずっと明日の九代目護衛の任務についてぼやいている。

何でこの俺が憎いジジイを護らないといけねーんだ、とか何とか。

確かに。

あんななりして強いんだから自分で何とかしろよー。

明日の調印は極秘裏に行われるものだから九代目と相手先マフィアがヴァリアーに来る。

一応、九代目直属という形をとる暗殺部隊だから護衛という大義名分を与えておいたのだろう。




「まさかとは思うが、会見中に九代目殴ったりしないだろうな」

「終われば文句ねーんだろ」




コイツ、本気で九代目殴る気だー!!!

ちょっとワクワクした俺を見透かすようにザンザスは口の端を吊り上げた。

あ、バレてる?




、明日の警備に参加しろ。式には入れてやれねーが、終わったら面白い物が見れるぞ」

「楽しみにしとく」




込み上げてくる笑いを抑えながらそう言えば、ザンザスの乾いた笑い声が耳を打った。

さてさて、明日が楽しみだ。

貫徹2日目、眠気はMAX。

ザンザスのベッドを陣取って俺は夢の中へと旅立った。







***







目が覚めると珍しく隊服を着たザンザスがそこに立っていた。

ぼんやりとそれを眺めていると、突然思いっきり殴られた。

曰く、「何でテメェにベッド貸さなきゃなんねーんだ!」だとさ。

いってー・・・・。

何も殴らなくても・・・、てか殴る相手が違うだろー!!




屋敷内がピリピリとした緊張感に包まれている中、俺は暢気に朝食を食べ、見回りという名の散歩をしていた。

調印式が終わるまで俺は暇だし、何の調印だとか別に興味もない。

ただザンザス達の親子喧嘩を見られて、あとでそれを笑い話にザンザスと話せたらそれでいい。




「あ、アイツら確かティエラと一緒にいた・・・」




二階からロビーを見下ろしていると、ゾロゾロと歩く黒スーツの集団の中に見知った顔を見付けた。

中心にいる九代目の前を歩いている護衛は、初めてティエラに会った時に俺を襲ってきた奴等だった。

アイツらどこにもいないと思ったらあんな所にいたのか。

その集団を何の感慨もなく見送っていると背後から誰かが近付いてきた。




、お前、ジッとしてられねぇのかぁ」

「暇すぎる」




呆れたような視線を向けてくるスクアーロに不貞腐れるように俺はそう呟いた。

だって俺ホントにすることねーんだぜ?

暇潰しを探しながら拗ねるように溜め息を吐いた瞬間、俺はふと思い出した。

うん、やっぱあれは2日間だったよな。

じゃあ、何であんな事を言って回ってるんだ?




「お前と剣帝の話、あれ嘘だよな」

「なッ」




あー・・・、何てか、お前さぁ、少し真っ直ぐすぎないか?

鎌かけただけなんだけど、明らかに動揺しているスクアーロに俺は確信した。

何か違和感が残っててずっと考えてたんだけど、あの話、やっぱどこか無理があった。

俺のうろ覚え原作知識メモによると剣帝との戦いは3日間じゃなくて2日間だ。

ならその増えた1日は何をしていたのか?

大体、剣帝が上手で情報が消された後だったっていうのも嘘臭い。

消すにしたって実行犯がいるだろうし、そいつからあのヴァリアーが情報を割り出せないはずがない。

全部話せよ、俺、今暇なんだよ、とスクアーロを睨むと何だか可笑しな顔をしながら渋々口を開いた。




「俺は、剣士の誇りに懸けてテュールとの約束は守ると誓ったんだぁ」

「それで決闘の日数を誤魔化したのか」

「・・・、やっぱり鈍ってなかったかぁ」

「は?」




フルフルと首を振ったスクアーロに首を傾げる。

何だか複雑そうにしていたスクアーロが言うには、誤魔化したその1日でテュールの情報を消して回ったそうだ。

テュールを倒した事が知られれば、ヴァリアーは血縁者を間違いなく消す。

そのための1日だったらしいが、何で剣帝を倒してヴァリアーに入ったスクアーロがそんな事をしたのか?




「テュールは負ければ命とヴァリアーをくれてやると言った。だが、もしそうなれば俺の家族にだけは手を出すなと

 決闘の前に奴はその条件を出してきた。俺はそれを呑んだんだぁ」

「それが約束か。それで結局、剣帝の家族は守れたのか?」

「知るか。俺が守ったのは奴の家族じゃねぇ、奴の誇りだ」




ぷいっと不満そうに顔を逸らしたスクアーロになるほどと俺はようやく納得した。

剣帝の情報を消されたとスクアーロが笑われるのを容認しているのは、剣帝のその条件を隠すためか。

その条件こそヴァリアーには笑い種であり、剣士にとっては名折れなのかもしれない。

剣帝が笑い者になれば奴を倒した俺の名に傷が付くだろうが、と顔を赤くしたスクアーロに俺は小さく笑った。

お前、ホントにいい奴だなぁ。




「それに奴の妹がどうなろうと俺の知ったことじゃねぇ」

「妹?」








***









既に始まっている調印式に屋敷は不思議な静けさを帯びていた。

スクアーロは仕事に戻り、俺は頭の中に鳴り響く警鐘に嫌な予感を覚えながら慌ててその部屋に飛び込んだ。

薄暗いその部屋は前に来た時と同じようにダンボールが積まれている。

本棚から分厚いファイルを取り出して、そのページを必死に捲って写真の男と目を合わせる。

テュールと出会った事があるような既視感の正体がようやく分かった。

この鮮やかな緑の瞳は間違いなく彼女の物だ。

ギィィと鈍い音を立てて開いた扉の向こうには光を背負った彼女が、翡翠の瞳をギラつかせて立っていた。


* ひとやすみ *
・あぁ。ようやくここまで!あと数話でせむい編も終わりです。多分(え
 ここから急に展開スピードが上がるので付いて来てやって下さいー!!
 もう何ていうか、ボスとの絡みが楽しくて仕方ない!!仲良し仲良しー。笑
 殴り合いにワクワクしているのはきっとだけじゃないはず!笑
 さーて、ラストスパートですよ!                              (09/11/09)