ドリーム小説

さてさて、案内されたヴァリアー本部とやらに着いたはいいんだけどさ、

何だこのデカさは!!

暗殺部隊がこんな自己主張していいわけ?!

何でもないように先を歩くスクアーロに続いて屋敷に入ると、これまたとんでもないロビーが迎えてくれた。

うげー!!何だこの高そうな空間は!

照明も絨毯も何もかもが高級そうに見えるんだけど。




「チッ。あの馬鹿が。、それ踏むなよ」

「分かってる」




こんな高そうな絨毯歩けないって。

絨毯の淵を歩くように回り込むと、足元で何かがキラリと光った。

何だ、今の?

覗き込むように俯けば、頭上を何かが走り抜けて思わず振り返った。

は?!何か壁にナイフ刺さってんだけど?!

飛んできた方向を確かめるように振り返って、俺は恐怖で慄いた。




兄さーん!』




ギャー!!!!恭弥が超笑顔でスキップしながらこっち来るー!!!!

何コレ何コレ何コレぇ?!何でお前ここにいんの?!

いや、てか眩いその笑顔何?!何のホラーだよ?!

有り得ない!夢だ!夢に違いない!

うん、俺ちょっと疲れてるんだよ。これ幻覚。

そう思いながらも震える手でスクアーロに助けを求めて手を伸ばせば、手は宙を泳いで下の方で何かを掴んだ。

ん?何コレ。

左にも同じようなのが手に当たり、思わずそれを掴み上げると笑顔の恭弥が一瞬で霧散した。

えぇー・・・・。

俺に首根っこを掴まれブラブラと揺れているチビ2人に目を瞬いた。




「何だコレは・・・・?」




え、と、このちまこいのはベルフェゴールとマーモンだよね・・・?

てことは、さっきの恭弥はホントに幻覚か!!

よ、よかったー・・・!怖すぎてマジでちびる所だった。




「ゔぉぉい!ガキ共ぉ、毎回毎回罠を仕掛けやがって無駄だから止めろって言ってんだろーが!」

「不審者がいたからちょっかいかけただけじゃん。つーか、マーモン、幻術ちゃんと掛けろよ」

「僕は掛けたよ。一番怖い物が見えるようにね」

「・・・あぁ、あれは二度と見たくないな」

「「「 嘘付くなよ 」」」




何でー?!

全員に全否定され納得いかないながらも、何だか顔色が悪くなってきたチビ二人を床に降ろしてやる。




「てかスクアーロ、フーキンとかいう奴探しに行ってたんじゃないの?」

「あぁ?奴の捜索はティーに任せてきた」

「あぁ。スクアーロの部下のあの女ね」




あ。しまった・・・。

俺がフーキンって言うの忘れてた・・・。

何だかどんどん話が進んでるのを聞いてて、言い出し辛くなってきた。

むしろ名乗り出たら俺、消されちゃう?

・・・うん。黙ってようーっと。




「ボスの居場所なら王子が知ってるけど、教えてやらねー」

「テメェ、三枚にオロすぞぉ!!」




こいつらホントに仲悪いんだなぁ・・・。

てかスクアーロが遊ばれてるよ、こんなチビベルに。

でも早くしないと夜が明けちゃうんだよなー。

俺はしゃがみ込んでベルに視線を合わせた。




「ザンザスはどこにいる?」

「教えない」

「そうか。なら自力で探す。俺が知ってる他の王子はもっと器がでかかったんだが、どうやらお前は違うらしい」

「はぁ?!」




ハンカチでもハニカミでも王子がつく奴等は人が良さそうで、大物ばっかだったのに。

切り裂き王子に俺はバッサリ切り捨てられ、ブロークンハートだ。

仕方なく立ち上がってスクアーロと並んで歩き出すと、ジャケットの裾を思いっきり引っ張られた。




「待てよ!そんなに言うなら王子自ら案内してやるよ」




え?案内してくれるの?

ラッキーとか思いながらベルを見れば、胸を張って有り難く思えとか言うもんだから、

おかしくなって俺もそれらしく胸に手を当て膝を折ってみた。




「それは光栄の至り」




うーん。面白いなぁ。王子って変な生き物だ。

目をパチクリさせて俺を見ていたベルはハッと思い出したように俺の手を引いて先を歩き出した。

俺はマーモンを抱いてそのあとに続く。

てか、何、ポカンとして突っ立ってんだよ、スクアーロ。

置いてくぞー?




「アンタ、何ていう名前なの?」

だ」

「覚えといてあげるよ」






***







何だかよく分かんないけど嬉々として俺をここまで案内してくれたベルは、

俺と一緒にザンザスに会うつもりだったらしかったが、スクアーロが無理矢理引き剥がして連れて行った。

俺としては怖いからみんなも来て欲しかったんだけど。

仕方なく目の前の扉を開けるとムワッとアルコール臭が俺の鼻を突いた。

そろりそろりと中へ進むといきなり酒瓶が飛んで来た。

うわ!あっぶね!

思わず避けたらガシャンと割れ、中の酒が派手に飛び散る。

あー、顔に酒が飛んできたよ。

思わず顔を拭った指をペロリと舐めればきついアルコールが舌を痺れさせる。

鬼畜兄貴が強い酒好きだったから分かる。

これ絶対テキーラだ。




「誰だテメェ。出てけ。かっ消されたいか」




うぅ。この怖い感じ、間違いなくザンザスだよ。

声のした方に顔を向けると大きくなったザンザスがだらしなく椅子に座っていた。




「その歳で酒浸りか、ザンザス」




カーテンを締め切り、大きな奈良漬のようなザンザスが身じろいだ気配がする。

酒の飲みすぎで掠れた声がと呟いた。

てかこの空気、俺まで酔いそうだ。

荒らされたような部屋を遠慮なくツカツカと渡り、カーテンと窓を開ける。

換気しなきゃ、身体に悪いって。

月明かりすらも眩しそうに目を細めるザンザスを見下ろして俺は笑った。




「久しぶりだな、ザンザス」


* ひとやすみ *
・こうやってすぐ脱線するのが私の悪い癖ですね。
 ヴァリアーと絡みたいとか思ったのが運の尽きというか。笑
 とりあえず次はちゃんとボスとお話出来そうです。
 いやしかし、16でテキーラ好きとはなんて辛口な・・・。笑(09/09/29)