ドリーム小説

気が付けば、俺はまた暗闇に立っていた。

暗い暗い闇の中に一筋の光が射し込んでいる。

ていうか、これスポットライト?!

なぜか俺だけピンポイントで照らされている。

光から逃げ惑うようにでたらめに足を運ぶと突然暗闇に誰かが立っているのが分かった。

まさかこの展開、またあのオバケ少年か?!

え?てことは、何、九死に一生事件再来ー?!

成仏したんじゃなかったのー?!

俺がパニックに陥っていると、物凄い衝撃が腹に当たって思わず呻いた。

うぅ、デジャヴ・・・!

暗闇から俺のいる明るい所へ飛び込んで来たオバケ少年は華麗にタックルを決めて俺に抱き付いた。




『ッお前、』



『・・・何で、名前』




嬉しそうな声で俺を呼んだ少年が顔を上げた瞬間、暗闇は急に草原へと姿を変えた。

え、えぇ?!てかコイツは・・・!




『お前、骸か・・・?』

『僕は会ってすぐにあなただと分かりましたよ。は僕の救世主ですから』




えと、そんなニッコリ微笑まれても・・・。

その時、初めてはっきり見えたオバケ少年の正体は骸だった。

何を言ってるのかさっぱり分からんが、あの時の少年とはかなり違う印象を受ける。

あ。そうか、敬語か!




『分からなかったのも無理はない。と出会った僕は少々昔の僕でしたし、まるで夢現のような出来事でしたから。

 だけど僕はあの時、に出会い救われた。だから今はこうして自分の意思でここにいる』

『ならあの時の闇もここも』

『幻想世界です。おそらくあの時、に影響を受けたからと僕の目がリンクしたのでしょうね』




うぅ。何だか宇宙人と話してるような気がしてきた。

何だよ、その超常現象は?!

つまりアレか?

俺はナッポー電波に引き寄せられて幻想世界に落ち、骸と友達になったから骸の右目の景色が見えたって事か?

イリュージョンすぎるだろ!!




『あの時も、そして今回も僕はに救われました。感謝しています』




骸があまりに無邪気に笑うから俺はもう何も言えなくなった。

骸達の過去を知ってる俺だから、なおさらだ。

幻想世界で誰にも見付からないように泣いていた骸。

つまりこいつは、それだけたくさん我慢して、たくさん頑張ってきたんだろう。

しかも、参ったことに歳が近いからか恭弥と被るんだもんなー・・・。

俺は骸の髪をくしゃくしゃになるまで撫で回した。

こうなったら気が済むまで付き合ってやるよ。







***







少し肌寒い空気と窓から差し込む陽の光で何となく朝だと確信した。

眠いのを追いやるように欠伸を漏らして、身体が重いのに気が付く。

何ていうか、気だるいというか、息苦しいというか。

重い目蓋を押し開けてギョッとした。

何でお前らここで寝てんの?!

俺にくっ付くように三人のガキンチョが気持ち良さそうに寝ていた。

え、昨日ちゃんとお前ら自分のベッドに戻って寝てたよな・・・?

とりあえず俺に乗っかってる犬の腕やら足やらを落とし、千種の手を解いた。

骸の頭に手を伸ばした所で俺はさっき見た夢を思い出した。




「どうして再会した時にあれは自分だと言わなかったんだ、骸」




オバケ少年は骸だった。

なのにコイツは何事もなかったように「初めまして、。六道骸です」と笑って自己紹介をした。

俺をまたあの幻想世界に連れ込むくらいには正体を知ってて欲しかった癖にだ。

ホントにコイツはガキンチョの癖に我慢ばかりしやがる。




「・・・そんな子供染みたこと言えませんよ」




うわ!ビックリした!

骸、お前、狸寝入りかよ!コノヤロー!

てか、サマ舐めんなよ?

俺はお前が泣きそうな顔をして初めましてって言ったのちゃんと覚えてんだかんな!




「子供なんだから別にいいだろうが」

「え・・・?」




キョトリとした顔で骸は俺を見上げた。

だってそうだろー?子供が子供らしいこと言って何が悪いんだ?

痛いのを痛い、悲しいのを悲しい、嬉しいのを嬉しいと言うことは別におかしな事じゃないだろ。

むしろそれは子供だけというより、大人にも言えることだ。

人間誰しも皆平等ってね!

ん?・・・なんか違うけど、まぁいいか。

俺はさ、骸達がどんな扱いを受けて、どんな風に成長したのかをほんのちょっとだけど原作で知ってる。

だから早く強くならなきゃいけなかったのも、早く大人にならなきゃいけなかったのも分かってるつもりだ。

でもさ、ちょっとくらい休憩したっていいんじゃねーの?

だってお前らボロボロだしさ、誰もいない幻想世界で一人で泣くくらいには辛かったんだろ?




「子供の癖に眉間に皺寄せて難しく考えんな。言いたい事は言え。そしたら俺がお前達を甘やかしてやる」




あースッキリした!

だってコイツら目で訴えてばっかで何も言わねーのに、態度に出てるからもどかしかったんだよね。

周りに我儘言える大人がいないなら俺が聞いてやるから、だからもっと楽に生きろよ。

俺が頬を緩ませて骸に笑いかければ、骸は小さく呟いた。




「そんなこと言ったらたくさん我儘をいいますよ」

「あぁ」

をたくさん困らせるかもしれませんよ」

「あぁ」

「本当に何を言っても呆れませんか」

「あぁ」




なかなかしぶといな、コイツ!

言えって言ってんのに、頑固な奴だ。

何だかまだ不安そうにしているけれど、骸は顔を上げて決然と俺を見た。




「・・・に出会えてよかった」




びっっくりしたー・・・。

何をそんなに覚悟して言うのかと思えば、そんなこと。

俺は思わず目を瞬いて、声を殺すように喉で笑った。

俺が笑うとショックを受けたような顔をしたが、俺は構わず骸の頭をこれでもかと撫でてやった。

嬉しいこと言ってくれるな、コイツ。

拗ねたような顔をする骸に「俺もだ」と返すと、顔を赤くした骸が目を逸らした。

うん、やっぱ子供はこうでなきゃな!


* ひとやすみ *
・あのオバケ騒動の主は骸でした。
 ついでにあの主人公の右目は病気とかではなく、ナッポーの影響で骸の右目の映像が見えてました。
 逆を言えば、骸の左目には主人公の左目の映像が見えていた事になります。
 これは契約とかそう言った類の物ではなく、単に骸の願望による一時的な繋がりみたいな物です。
 そこいらの話を纏めると気が付けば骸、陥落。何だこれー・・・?笑              (09/09/13)