ドリーム小説

気が付けば屋敷に帰って来ていた。

どうやって帰ったかなんて覚えていないけど、ちゃんと買った物を持って帰るくらいの意識はあったらしい。

実の父親が死んだ。

俺やディーノに甘くて、無駄遣いばかりするあの父さんが死んだ。

マフィアの世界がどんなものか、分かっていたつもりだった。

だけど、まさかという思いの方が強かった。

だって、俺の親父だぞ・・・?

つい数年前まで元気に生きていたあの人が、だ。

椅子にドサリと座り込んだ俺は、呆然と天井を見上げていた。

悲しく、は、ない。

だって、実感なんて、これっぽっちもないのだ。

あの人がもういないなんて信じられなかった。




「嘘だろ、親父・・・」




小さく呟いた俺の声はだだっ広い部屋に寂しく響いた。








***








「腹減ったなぁ・・・」




ベッドに埋もれてそう呟いて、身体を起こした。

何だかそれすらも久しぶりな気がした。

気だるい腕を伸ばして、ベッドサイドの時計を見て驚いた。




「そりゃ腹も減るわ・・・」




親父が死んだと知った日から3日も経っていた。

シャワーに直行し、冷蔵庫を覗いて苦笑した。




「やっぱ俺貧乏性なのか」




キチンと冷蔵庫に入れられていた食材を手にして、シンクに戻る。

コーヒーをたてながらパンを焼いて、卵やらハムやら消費期限の危なそうな物から調理していく。

伊達に浅田家で飯係やらされてないんだぞ、俺ー。

まぁ、全く自慢にもなんねーけど・・。

その時、また右目がぼやけた。




「あぁもう!何だよ、目擦りすぎか?」




パシパシと目を瞬いて、フライパンの中身を皿に移す。

朝食の準備が整った頃には目はまた元に戻っていた。

久しぶりのご飯に舌鼓を打ちながら、思案に耽る。




「ディーノが継いだって事は、やっぱ今リボーンがいるんだよなぁ」




絶対会いたくねー・・・。

だってエスパーもビックリな赤ん坊ヒットマンだぞ?!

あんな丸見え心理眼を持ってる奴になんて怖くて会いたくねぇって!


その時、どこかの路地で発砲したような音が聞こえた。

おいおい、朝っぱらから誰だよー・・・。

この屋敷はヴァリアー本部に近い所にあるので、けして治安のいい所ではない。

だけどヴァリアーの情報が欲しい俺としてはうってつけだった。

すっげー怖いけど、キャバッローネであの赤ん坊に会うよりマシ!!

俺はの弾倉を確かめて、サングラスを掛けて屋敷を飛び出した。

さっさと雑魚キャラ捕まえて情報もらって帰る!!








***








戦場は思った以上に悲惨でした。

平和な並盛で鈍っていた俺は、その血の海に朝食を戻しそうだった。

俺はてっきりヴァリアーとどっかのマフィアの抗争かと思っていたのに、どうやら予想は外れたらしい。

ヴァリアーなんて陰も形もないけど、人がゴロゴロ倒れてる。

どうなってんだ?

てか、倒れてんのこの辺のチンピラじゃね?

何だか酷い有様を見渡してると、背後からチンピラが襲い掛かって来た。

い、いきなり来るなよ!ビビるだろーが!!




「お、お前もアイツらの仲間だろ!!」

「あいつら?」




勢い余って勝手にこけたソイツの怯え様に首を傾げた。

そのあいつらとやらが、こんな事をしたんだろうか?

そんな事を考えながら怯えているチンピラを見下ろしていると、また急に右目が霞んだ。

しかも今回は様子が違った。




「ぐ・・・っ!な、何だ、」




痛ってぇ!!右目が熱くてすっごい痛い!!

傾いた身体を気力で立て直しながら、右目を力ずくで押さえる。

痛すぎて押さえてないと発狂しそうだ。

一体、何だって言うんだ?!

そして俺は違和感を覚えた。



な、んで、目を瞑ってるのに見えてるんだ・・・?

押さえた右目の目蓋の裏に確かに路地裏が映っていた。

だけど、俺に怯えるチンピラを映しているのは、開けている左目だけで。

右目の景色は後ろへと流れ続けている。

・・・違う。

これは俺じゃない。

これは誰か違う奴の目だ!!!



煩い俺の心臓の音に紛れて、背後で靴音が聞こえた。

驚愕と恐怖で振り返れない俺の閉じられた右目の裏に映し出されたのは、路地裏に立つ俺の姿だった。




「邪魔をするなら消すまでです」




それは幼い少年の声だった。

驚いて振り返った俺はその少年を見て目を見開いた。

彼もまた左目を痛そうに押さえていたからだ。

少年も赤い目を俺と同じように見開いて硬直し、俺達はただ呆然と見つめ合っていた。

悲鳴を上げてチンピラが逃げて行った時、ようやく俺は思考が動き出した。

何かよく分かんないけど、このままはヤバイよな。

この現場押さえられたら即、務所行きじゃん。

どうするかなー、と顔を上げた瞬間、少年がバタリと倒れた。

うえぇぇぇぇ?!




「おい、大丈夫か」

「あなた、だったんだ・・・」

「は?おい、気を確かに持て」

「あそ、こ、の、ダストボックス、の裏に2人・・・」

「仲間がいるのか」




痩せ細った顔を少し動かして頷いた少年はそのまま気を失った。

え、もう、どうしろと?!

俺は少年を背負ってダストボックスの裏を覗いて固まった。

犬と柿ピー!!!

ちょ、何、じゃあこれ、ナッポーかよ!!!!

この場合、ど、どーしたらいいんれすかね・・・?!


* ひとやすみ *
・絡んでくれる人がいないから名前変換がない!!!
 そしてようやく絡めた三人組!待ってましたよ!
 この三人好きすぎる。話が伸びたらどうしてくれよう!!笑
 とにもかくにも可愛い子犬を三匹拾いました。笑                (09/09/05)