ドリーム小説

何かよく分からんが、風紀委員の野郎共に俺、好かれた。

これが可愛い女の子なら両手を広げてドンと来い!なのだが、何せ強面リーゼンツだ。

ムサ苦しすぎて凹む。

しかも最近、普通の髪型だった奴までリーゼントにしだした。

何でリーゼントで一致団結してんの?!

俺だけ仲間外れかよー!!!

・・・いや、まぁ、誘われてもやらないけど。


問題はまだある。

委員会に出席して気付いたんだけど、委員会活動費の割り当てが異常に少ない。

部活動費も同じように小額でこれはおかしいだろうと校長に直談判したら、

学校の運営要綱と予算編成表などドッサリと資料持って来やがった。

つまり丸投げされた。

何で俺が学校運営しなきゃいけねーんだよ!!!!

無駄を減らすために、風紀委員を使って妥当予算を弾き出すために現在奔走中だ。

真面目なのに全然授業に出れず、応接室に籠っている俺って何なんだろねー・・・。

授業終了のチャイムが鳴って数分した時、応接室の戸が叩かれた。




さん、ようやく出来ました!」

「俺達、風紀委員みんなで考えて作りました!」




一体何をだ・・・?

大きな箱を抱えて入って来た奴等に首を傾げる。

目の前に置かれた箱を開けろと言わんばかりの目で見られて、蓋を取った。




「腕章と学ラン、か・・・?」

「「 はいッ! 」」




別に特別でも何でもないそれらを見て、嬉しそうな彼等を見る。

まだ、何かあるのか・・・?

俺は腕章を取り出して、次に黒い学ランを手にして驚いた。

何か、重くね?

てか、長ッ!!!これ長ランじゃん!!!




さんに似合うと思って長ランにしてみました!!」

「ホントは白の長ランが一番似合うと思うんですけど、それだと校則違反ですから」




えぇ?!俺、こんな目立つの着るの?!

何か一人応援団みたいじゃん!!

俺いつの間に風紀委員長から応援団長になったわけ?!

うぅ・・・!目をキラキラさせて着てくれと訴えるの止めろー!

仕方なく学ランを羽織れば凄い勢いで拍手された・・・。

着たくないなんてとてもじゃないが、言えない雰囲気。

・・・もう、何ていうか、白の長ランじゃなくてよかったよ。







***






もう黒いコートを着てると思うことにした。

じゃなきゃ、並盛商店街をこんな堂々と歩けない。

草壁と二人で見回り中なんだけど、ものすごい視線を感じる。




「おぉ!君もやっぱり学ラン似合うねェ!ほら祝いにウチの林檎持って行きな!」

「ちょっと奥さん!聞きました?雲雀さん家の君が風紀委員の委員長さんになったんですって」

「まぁ!それで最近風紀委員の悪い噂を聞かなくなったのね!」

「あ、様、見回りご苦労様ですー!!」




学ランの威力はすごかった。

普段から気さくな人が多い商店街だが、いろんな人に学ランを褒められ、声を掛けられた。

怯えて誰も話し掛けてこなかった数年前が少々懐かしい。

俺が雲雀だと知った途端にみんな逃げたんだよなー。

そんな事を思っていたらどこからか甲高い声が聞こえた。

キョロキョロと辺りを見渡すと小さな男の子二人が喧嘩をしていた。




「ずるいよ、兄ちゃんばっか!」

「お前なんかにやるもんか!」




どうやらお菓子の取り合いでもしてるようだけど、雰囲気がものすごい険悪な感じ。

兄ちゃんが怒りに任せてプラスチック製のフィギュアを振り上げたのを見た瞬間、俺の身体は勝手に動いていた。

二人の間に割り込んで、兄ちゃんの小さな腕をパシリと掴むと二人とも目を瞬いていた。




「そんな物で人を叩けば怪我をするだろう?」




それ、頭に当たると痛いどころか切れるんだぜー?

前に鬼畜兄貴に全力で投げられてパックリ頬を切った事がある。

驚いたからか泣き出した弟の背を叩いて慰めてやると、兄ちゃんも泣きそうな顔をして不貞腐れていた。




「だってコイツが俺のとろうとするんだもん!」

「欲しいのは分かるが、殴るのは止めとけ。殴られた方も殴る方も痛いからな」




俯いた兄ちゃんの頭を撫でて、さっき駄菓子屋の婆ちゃんに押し付けられた金平糖を半分に分けて兄弟に渡した。

こんなので機嫌よくなるか分かんないけど、とりあえずな。




「これやるから、今日のところは半分こしてやれ」




カッコいい男はそんなくだらない事で手を出さないぞって言ってやれば、兄ちゃんは目を瞬かせて頷いてくれた。

その後、息子達の喧嘩に気付いた母親が飛んで来て、俺に物凄い勢いで謝って帰って行った。

うーん。そういや兄弟喧嘩なんてした事ないんだよなー、俺。

恭弥もディーノも物分りが良かったし、俺は中身一応大人だったから。

そう思うと何だかさっきの兄弟が微笑ましくて、小さく笑うと足に衝撃を受けて見下ろして驚いた。




「恭弥・・・・?」




しっかりと俺の足にしがみ付いてる恭弥に首を傾げる。

お前、何でここにいるの?

その答えに答えたのは後ろからやってきた父さんで、散歩中だったらしい。

草壁はと言うと物凄い顔をして父さんを見ている。

そういや、憧れだとか何とか言ってたなぁ。




にいさんの弟はぼくだけなのにっ」




ぎゅうと足を痛いほど抱き締めてくる恭弥は搾り出すようにそう言ったが、全く意味が理解できん。

そりゃそうだろう、と困ったように草壁を見ると、苦笑された。




「先ほどの兄弟にさんを取られたと思ってるみたいですね」

「・・・きみ、だれ?かみころすよ」




ギャー!!!恭弥、キミそんな言葉どこで覚えたの?!

恭弥が不良になっちゃった!!

こんな言葉を教えるなんて絶対父さんしかいない!!




「恭弥、咬み殺すなんて言葉・・・」

「カッコいいでしょ?」




キラキラした目で下から見上げられて、俺は言葉を切るしかなかった。

もう二度と言っちゃダメだなんて言ったら、今度こそ泣いちゃいそうなんだもん。

俺は弟の無邪気な視線に耐えかねてそっと視線を外した。




「・・・、あぁ、そうだな」




うわーん!俺のヘタレー!!

こうなったら父さんが使うなって言ってやって!

俺が父さんに促すように視線を向けると、父さんは一つ頷いて口を開いた。




「うん。恭弥に似合ういい言葉だよね」




使えねーな、この親父!!!

諦めた俺は拗ねてたらしい恭弥を抱き上げた。




「さっきの兄弟の喧嘩を見ていて、少し羨ましかっただけだ。俺と恭弥はあんな風に喧嘩出来ないからな」

「けんかしたかったの?」




正確にはちょっと違うけど、喧嘩が出来る兄弟って素直で率直で少し羨ましかった。

俺や恭弥は大人びてて、本音で対峙する事が出来なくなってる分、

いつかそんな風に恭弥が素直に気持ちを話してくれたらいいなと思った。

恭弥の視線を受けて俺は小さく笑って誤魔化した。




「悪いが、草壁、今日はこのまま帰る」

「分かりました。では」




ペコリと頭を下げて去って行った草壁を見送って、俺と恭弥、父さんの三人は家へと歩き出した。

そして帰ったらなぜか恭弥に殴られた!!

何でー?!


* ひとやすみ *
・てなわけで、主人公黒長ランです。笑
 皆さんの予想をニマニマしながら聞かせていただきましたー!!
 白ラン予想してくれた方にはドキリとしましたが、皆さんは予想通りだったでしょうか?
 リーゼント集団はこうした一致団結から始まっていきます。テゴワイデス。笑      (09/08/21)