ドリーム小説

気が付けば俺、風紀委員長。

おまけに父さんが初代委員長で悪の総裁と呼ばれた伝説の不良だった事を知った。

てか、父さん何でこんなおっかない不良集団作ったかなぁー・・・。




さん、今日の委員会がまもなく始まります」




俺は声を掛けてきたリーゼント君、基、草壁副委員長に返事を返して立ち上がった。

彼は入学して半日で俺に委員長の座を奪われたというのに、俺にこんな風によくしてくれる。

いい友達になれると思ったのに、むしろ専属秘書みたいになってるのは何でだ?

しかも草壁の弟はあのくわえ葉っぱの草壁哲矢だった!

分かりにくいから弟をJr、兄を草壁と俺は呼んでいる。




「草壁、Jrは元気か」

「哲矢ですか?はい。最近では何でも俺の真似して、髪型まで一緒ですよ」




えぇー?!Jr、お前2歳からリーゼントかよ?!

リーゼントパワーすげぇ!!!

てか一度、草壁家を訪問してみたい・・・。

俺がそんなどうでもいい事を考えていると、ノックもそこそこに風紀委員の誰かが飛び込んで来た。




「委員長!校舎裏でまた揉めて・・・!」




俺は本日何度目かのその報せに溜め息を吐いて、応接室を出た。

ホントにどうしてこうも荒くれ集団なんだろう。

雲雀恭弥が率いてた風紀委員はこんな暴力集団じゃなかったはずなのに。

俺か?俺が悪いのか・・・?!

委員長に俺がなった時から、無駄な喧嘩、暴力を一切禁止した。

そしたらそれが気に入らなかったみたいで、一部の奴が風紀委員内で暴れるようになった。

その鎮圧に俺は朝からずっと借り出されている。

極道の抗争みたいなそれは見ていて怖いけど、俺まだ一般人よりは強いはず・・・・。

ビクビクしながらも、校舎裏の野次馬を掻き分けて中に入る。




「風紀委員の伝統を壊しやがって!!」

「俺等から暴力を取ったら何が残んだよ!!」




同じ風紀委員をボコボコにしていた奴等と目が合った瞬間、奴等は俺に殴りかかって来た!

わーん!だから俺こういうの好きじゃないんだって!

拳を流すように捌き、その手を掴んで背負い投げる。

そのまま後ろ足を使って上段蹴りを後ろにいた奴に入れる。

ふひー・・・。何ていうか、訓練のまんまの型だけど、綺麗にハマッた。




「大丈夫か、お前ら」




見てる方が痛くなるくらいボコられた風紀委員に声を掛けると小さく頷いた。

でもよかったー・・・。

アイツらあれでどうにもならなきゃ、危うく脅しであの白い銃剣出す所だったよ。

俺は懐に忍ばせてある銃剣をこっそり握って安堵の息を吐いた。

その矢先の事だった。




「危ない!!」




そう叫んだ風紀委員に思わず振り返ると投げ飛ばした奴がナイフを俺に向って振り被っていた。

俺は咄嗟に手を顔に翳した。


―――キィィン・・・!!



あ、ぶ・・・あっぶねェー!!

気が付けば懐で掴んでいた銃剣を取り出してナイフを防いでいた。

というか思わず出した銃剣がナイフの位置にあっただけと言うか・・・。

このヤロー!喧嘩に刃物持ち出すなんてルール違反だろ!!




「刃物出すなんて覚悟出来てんだろうな」




刺される覚悟のある奴だけが振りかざしていいもんなんだよ、それは!

俺個人的には危ないから刃物はダメだと思うんだけどね。

俺はソイツの手をテイッ!と叩いて刃物を落として遠くへ蹴った。

風紀委員に刃物を使う反則野郎が多くて俺困っちゃう。


完全に負けた奴等は泣きそうな顔をして俺を見上げている。

おいおい、喧嘩に負けたくらいで泣くなよ。男だろー?

俺は溜め息を吐いて言う。




「お前等、その力をいい方に向けられないのか?力の使い処は暴力だけじゃない。

 この学校を、この並盛町を守ることに使えば感謝されるし、お前等だって町の英雄になれる。

 規範を守らない奴に関しては存分にやれ。俺が許す」




一応、こいつ等も風紀委員だからなー。

辞めたきゃ辞めてくれてもいいけど、委員である限り説教くらいはしとかないと。

うん。俺、委員長っぽい。

思わずニマリと笑うと奴等はキョトンとして「英雄」と呟いた。

ちょっとさすがにその言い回しはダサかったか。

ヒーローのがカッコよかったかなぁ・・・。




「俺達、勘違いしてました・・・。どうせ親の七光りで実力もてんでないヘタレ野郎が、

 風紀委員の名にビビッて軟弱な集団にしようとしてるとばかり思ってました!!!」

「どうか許してください!!!」




えーと、モロその通りだよね・・・?

俺の考えをズバッと直球で言えばそういう事なんだけど、何だかいいように捉えてくれてるから・・・・いっか。

頭を深々と下げてる奴等の顔を上げさせて俺は何でもないフリをして俺の気持ちを述べた。




「お前等が俺を頼ってくれる限り、誰一人見捨てるつもりはない」




うん。コレは最初から決めてたこと。

どんなに怖い顔してても、俺を委員長と呼んでくれるならヘタレだけど俺も頑張る。

そう思って奴等を見たら泣いてた。

驚いて助けを求めるように周りにいた風紀委員達を見れば、なぜか皆泣いてる。

うわー!!男泣き、ムサイ!!




「「「「「 さぁぁん!!! 」」」」」




ギャー!!お前等こっち来んなー!!

そして一気に俺、生け贄。

神に捧げられるように胴上げされた。

馬鹿力で投げるなー!!うぅ!酔う!!酔う!!

見てないで助けて、草壁ー!!!

遠くで俺を見ていた草壁は嬉しそうにニッコリ笑っただけだった。

俺を助けるのがお前の仕事だろ、副委員長ー!!!!


* ひとやすみ *
・風紀委員攻略戦的な話。笑
 勘違いが勘違いを呼んだ!!ヘタレのビビリは事実ですよー。笑
 たまに主人公がカッコいい事言います。本人必死すぎて気付いてませんが。笑(09/08/15)