ドリーム小説

ぶっちゃけ、俺は雲雀恭弥が嫌いだ。

キャラとしての雲雀恭弥はカッコよくて好きだったが、実際この世界に来てから会いたくないキャラ堂々1位になった。

理由はめちゃくちゃ怖いから。

これって当然でしょ?!

ちょっと群れただけで救急車のお世話になるなんて、そんな理不尽なことってない。

だが、現実は俺の思ったようにはいかず、気付けば雲雀一家の一員になっちゃってる始末。

こうして俺の日本での生活が始まった訳だが、世界は無駄に一回転半グルリと回った。

一体誰が想像出来ただろうか。

この俺が恭弥を膝の上に乗せる日が来るなんて!!!!




「恭弥は本当にが好きねぇ」

「わが息子ながら人に懐くとは思ってもなかったよ」




テーブルを挟んで向かい側、夫婦仲良くそんな事を言っている。

実際俺も、世界がひっくり返っても雲雀恭弥を可愛いと思う事なんてないと思ってた。


だから最初は何かのイジメかと思ったんだ。

だって恭弥ってば無言で俺をひたすら見てくるし、一定の間隔を空けて俺の後ろをひたすら付いて来るんだもん。

トイレに行く時もだぞ?!

雲雀の父さん曰く「カルガモの兄弟」だそうだ。

俺からしたら「極端なストーカー被害に遭うOL」の気分だったんだが。

しかもまだ足元が覚束ないからか、よたよたよちよち歩くから俺も気が気でない。

一度だけ恭弥がこけかけたから振り返って助けたら、凄い勢いで手を振り払われた。

だから俺、やっぱ嫌われてるんだと思って「もう二度としない」って言ったら、

恭弥は急に泣きそうな顔をして俺の足に縋り付いて来た。

その時の恭弥の可愛さといったら!!!!

俺はその時初めて、真のツンデレというものを知ったよ!!

まぁ、それ以来、恭弥はいつ何時も俺から離れなくなっちゃった訳だけど。


俺の膝に大人しくちょこんと座っている恭弥に視線を落としてから、テーブルに並べられていく昼食を見る。

何ていうか、このままだと俺ご飯食べれないんですよね、恭弥さん。




「恭弥、はご飯だからあとで遊んでもらいなさい」




雲雀の母さんの一言で一気にむくれる恭弥だったけど、いつもの事だったので膝から大人しく降りてくれた。

あ。足痺れてる。

目の前に並べられた美味しそうな和食に口元が緩む。

日本食ってイタリアじゃ全然食べれなかったから凄く嬉しい。




「いただきます」




パクリとご飯を口に運んで素直に美味しいと口にする。

やっぱ和食はいいねー!!

ニコニコしてる雲雀の母さんがさらに微笑んで口を開いた。




「今、美味しいって誰に言った?」




は?

誰って今俺、ちゃんと雲雀の母さん見て美味しいって言ったよね?

何なの、この会話。

俺は目の前でニコニコしてる雲雀の母さんに素直に思ったことを答えた。




「あなたに」




僅かな間に思わず首を傾げた瞬間、何が起こったのか俺の髪の毛が舞い落ちた。

すごく鋭い音が耳元でヒュッと鳴って、俺は思わず後ろを振り向いて目を見開いた。

何か壁に箸が刺さってるー!!!!




「あなたじゃなくてお母さんでしょ、?」

「うーん。奥さんの菜箸を避けるとはさすが僕の息子だね、




アレ投げたの母さんですかー?!

足の痺れが全身まで回ったように俺は固まってしまった。

だってあれって料理用の長い箸だろ?

箸って壁にあんなに深く突き刺さる物じゃないよね?!

相変わらずニコニコ見てくる母さんと何か変に感心してる父さんに俺はただならぬ物を感じた。




「箸は致命傷を避けられるけど、奥さんのおたまには気を付けた方がいいよ。あれ抉れるから」

「あら。旦那さんはそう言うけどね、この人ったら素手で私のおたま握り潰しちゃうのよ」




バイオレンスな夫婦だな、コンチクショー!!!!

抉ったり、握り潰したり、人間業じゃねぇだろ、それは!

てか、そんなデンジャーでデストロイな一家と一緒に生活していく自信なんて微塵もないです。

それ以後、全くご飯の味がしなかったのは仕方ないよね・・・?!


* ひとやすみ *
・ある種、マフィアよりも怖い家。笑
 ちまっこい恭弥くんはお兄ちゃんにべったり。仲良くカルガモしてます。笑
 でも早く成長してくれないと会話が成り立たない罠。
 とりあえず雲雀家の日常をお届け出来て満足。                     (09/08/02)