ドリーム小説
「え?ホントに?わぁ!弟とお兄ちゃんがいっぺんに出来るなんてすごいわ!」
「ほらね」
ほらね、じゃねーッ!!!
どうもです。
というか、むしろこの様子だと改め雲雀になりそうです。
家の近くの公園だと思ってたのに、どうやら俺はあのちくわ執事に日本の公園にポイ捨てされたらしい。
そこで出会った優しくてカッコいいお兄さんに慰められた俺は誘拐よろしく大きな日本屋敷に連れて来られた訳だ。
表札はやっぱり雲雀。
そして待ち構えていたように玄関に立っていた目の前の元気ハツラツなお姉さんは俺を見て嬉しそうにそうのたまった。
言った通りだっただろう?と自慢げに微笑むお兄さんに内心ツッ込んだ俺は絶対間違っていない。
この若夫婦がおかしいんだ。
「あぁ、そうだわ。、弟を紹介しなくちゃね」
弟ってアレか?!アレだよな?!
動揺しまくってる俺を余所に、お姉さんは俺の手を引いて問答無用に廊下を歩く。
待って待って待って待って!!
俺、まだあんなおっかないのに会う心の準備出来てないって!!!
俺の心の叫びは誰にも届かぬまま、襖は大きく開かれた。
部屋の真ん中に立っていたそれに俺は数回目を瞬く。
「弟の恭弥だよ」
大きな目でジッと俺達を見上げるその姿に俺はそっかと納得した。
そういや、まだ生まれて間もないはずだもんな。
頭の中にトンファー振り回してるイメージばっかあったから、小さい雲雀恭弥なんて全く想像してなかった。
黒い髪に黒い大きな瞳で見上げる1歳くらいの子供の前に背中を押されて歩み出る。
うわー。思ってた以上にぷにぷにふにゃふにゃだー。
「恭弥、お兄ちゃんのだよ」
母親の声が聞こえてるのか、いないのか、雲雀恭弥は目を逸らさずただひたすらに俺を見上げてる。
え、獲物を狙うハンターの目にしか見えない・・・!
てか、部屋の真ん中で何してたんだろ、コイツ。
「恭弥はね、まだ足元が覚束ないから家族以外の前であんまり歩かないの」
「プライドだけは凄く高くてね」
どんな子供だよそれー?!
何と言うか、雲雀恭弥の原点を見たようで俺は何とも言えない気持ちでチミっ子を見下ろした。
てか、まだ睨んでるよこの子!!
「人見知りするし、ちょっと変な子だけど慣れたら面白いわよ」
「僕はなら大丈夫だと思うけど」
自分の子供に言いたい放題の夫婦を放って、俺は目を合わせるようにしゃがみ込んだ。
相変わらずガン見の雲雀恭弥にビクビクしながら手を伸ばすと頭に触らせてくれた。
わー、まだ髪の毛やらかい。
ディーノにもこんな時代があったよなー。
あ・・・。
吸い込まれるような黒い瞳と目が合って、この子はディーノじゃないんだと思わず手を引いた。
小さい雲雀恭弥にディーノを重ねるなんて俺、馬鹿だ。
そんなことしちゃダメだ。
ディーノにも雲雀恭弥にも失礼だろう。
宙を彷徨うような手に何か温かい物が触れ、視線を落とすとそれは小さな子供の手で。
驚くように目の前の雲雀恭弥を見れば、変わらず大きな目を瞬かせて俺を見ていた。
「・・・・俺、お前の兄さんになっていいのか?」
何となくそう聞いていた。
まだ言葉もはっきりと喋れないだろう子供に聞いたって仕方ないんだけど。
ふとそんな事を思った時、赤ん坊独特の声が耳に届いた。
「にー」
・・・・・・・は?
何か今、コイツ鳴かなかった・・・・・?
呆然と雲雀夫婦をギギギと振り返ると、二人ともポカンと口が開いている。
「にー、にい」
何だこれ!!!めっちゃ可愛いんですけど!!!!
急に俺の手をぎゅうっと掴んで仔猫みたいに「にーにー」鳴いて・・・、違う、言ってる。
ま、さか、「にー」って「おにーちゃん」ってこと・・・?
「恭弥が人見知りしないなんて」
「よっぽどお兄ちゃんが嬉しかったんじゃないかい?」
楽しそうに好き勝手言ってる夫婦を余所に、俺は握られてる手の暖かさが無性に嬉しくて小さな子供を抱き上げた。
顔を覗き込めば隠れるように額を俺の胸に擦り付ける。
うわー、何か俺、母猫にでもなった気分なんですけど。
「これからよろしくな、恭弥」
そう腕の中の小さいのに呟けば、小さい手が俺の服を掴んだ。
嫌がって泣かれないのが、めちゃくちゃ嬉しい。
嬉しいんだけどさ、思い出しちゃったんだよねー・・・。
俺の服、まだ血塗れなんだよね、恭弥くん・・・・。
* ひとやすみ *
・というわけで、2章始まります!!
恭弥くんのキャラがふわふわして手間取りましたが、よろしければ読んでやって下さい!
何でか相変わらず好かれる主人公。年下キラーの名を欲しいままにしています。笑 (09/07/31)