ドリーム小説
傷付いた父さんやディーノを見ていられなかった。
俺の中の憤怒が暴れて抑えられそうになかったから。
そんな中に父さんの悲痛な叫びが部屋に轟いた。
「!そこで何してる?!何故
九世と一緒に・・・っ。まさか、お前ッ!」
そう言った父さんは九代目と同じ顔をしていた。
俺、また信じてもらえてない。
その近くにいたディーノは混乱しているようで、泣きそうになりながら父さんと俺を交互に見る。
聞きたくない。
俺はただ、みんな助けたいだけなんだ。
「少し黙ってくれないか、父さん」
思った以上に冷たい声が出た。
演技をしているから仕方がない事なんだと自分に言い聞かせていると、犯人が嘲笑うように声を発した。
「おいおい。お前が仮に共犯者だとしても引渡し相手が息子だったんなら嵌められたと思うのが当然だろ?
お前が俺を泳がせ、捕まえようとしてる可能性の方がデカイからな。何せ噂に名高い殿だ」
疑り深い奴だな。
取引するはずの九代目がこの場にいるというのに証拠を見せろだって?
でもまぁ、こうなるのはちょっと予想してた。
ゴメン、九代目。
言ってた通りになりそうだ。
俺は決心の息を吐いて、遠慮なく九代目を蹴り飛ばした。
いってェ!!俺まで痛いし!てかうわー!ごめんなさいー!!!!
父さんが俺をめちゃくちゃに非難する。
親不孝者でごめんなさい!んで、多分父さんにもしなきゃならないと思うんだよね・・・。
そうしなきゃいろいろ作戦が狂うんだよ。
俺は持っていた黒いピストルを九代目に突き付けて、犯人を脅す。
鬼みたいだとー?!俺自身が今一番そう思ってるよ!!
取引をしようと言った犯人に少しホッとした時だった。
「!!お前、今自分が何をしているのか分かってるのか?!」
だぁー!!黙ってて欲しかったよ。
時間稼ぎが出来そうだったのに。
俺は新たな時間稼ぎのために父さんを見下ろした。
「黙れと言ったはずだ」
うわーん!!ゴメンよー!!こうしないと父さん殺されちゃうかもしれないから。
俺は父さんの鳩尾に思いっきり蹴りを入れて、気を失わせ銃を向けた。
ディーノが俺を呼ぶ声に涙出そう。
そしてバン!!
ちなみにこれは悪い事をしようと思ってレディの屋敷から持ってきたペイント銃な。
父さん、銃殺体に仕立て上げてゴメン。
「兄さん!兄さん!何で何でだよ!!兄さぁん!!!」
「黙れ、このガキ!」
ガツンと酷い音がして、ディーノの体が倒れ込むのを目撃した瞬間、俺は俺じゃなくなった。
頭から本物の血を流して倒れているディーノに俺の中の何かが爆発した。
俺の言い付け通り、ロマーリオが入って来て俺を呼んだ声がしたが、
ゴメン、俺、止まれそうにない。
気が付けばあの銃剣を握っていて、弾を発砲していた。
どうすれば奴等が動かなくなるのか。
簡単だ。
眉間を一発打ち抜くだけでいい。
俺は怒りを感じながらも、酷く冷静だった。
眉間眉間と単純作業を繰り返すように、一発また一発、マガジンが空になるまでそれを続けた。
「坊ちゃん!もう、敵は全員いません!」
「君」
ロマーリオと九代目の声がようやく聞こえた時、俺は血塗れでさっきの場所から一歩も動いていなかった。
辺りは銃殺された奴等が転がり、その血に塗れる父さんとディーノを見て、俺はあの悪夢を思い出した。
夢の中でレディは俺のせいだと何度もそう言った。
いつでも彼女の言う言葉は正しい。
そして俺はみんなを守り切った。
敵を全員殺して。
「坊ちゃん、ファミリーは全員無事です」
「そうか」
「あの、坊ちゃん」
「ロマーリオ、ディーノを頼む。お前が付いてればアイツは大丈夫だ」
「え?」
その直後、ロマーリオと九代目は意識を失った。
の目に映るのは小さな針、そしてメイド服の彼女だった。
「そのちくわ、吹き矢にもなるのか」
「はい。ちくわは万能です。主の命で迎えに来ました、様」
そして次の瞬間、豪快に扉が開き、執事は姿を隠した。
見られるなと言われてるのだと思う。
扉の先にはどこかで見た顔だと思ったら、ツナの父ちゃんじゃん。
原作キャラとの対面がこんな所だなんて、俺はつくづく運がない。
家光さんは倒れた九代目の姿を見て、俺に怒りの目を向けた。
するとどこからともなく煙幕が張り巡らされ、俺は多分執事に抱えられてその場を脱出した。
ついに降り出した大雨の中、血を洗い流すように俺達は走って路上にあった乗用車に飛び乗った。
これが事件の詳細。
俺は車の中で今後の話を執事に聞かされていたんだけど、あまりに疲れていて全く覚えていなかった。
そして俺は全てに蓋をするように眠りに落ちた。
* ひとやすみ *
・主人公側の真実。
シリアスなのにシリアスにならない罠。これに苦しめられました。
ポイントは黒いピストルだったんではないかと思います(え (09/07/22)