ドリーム小説
「大変だ、坊ちゃん!ボスが倒れた!」
「父さんが?!」
俺は持っていた書類を放り投げて、すぐさま父さんの部屋に走った。
頼むから無事で居てくれ!!
俺の仕事が増えるッ!!!
「父さん!」
「・・・・か」
思ったより事態は深刻なようで父さんは青い顔で俺を見た。
いつもの馬鹿みたいな笑顔が酷い顔色のせいで儚く見えた。
これマジで大丈夫なの?!
うろたえるしか出来ない俺の手を弱弱しく握り、父さんは笑った。
「、俺はもうダメだ・・・。あぁ、死ぬ前に美味いカニが食べたかった」
「縁起でもないこと言うなよっ」
「ボス、
五月病じゃ死にません」
は・・・?
なんじゃそりゃー!!!
五月はとっくに過ぎたっての!
あーもー、心配して損したー・・・。
睨むように父さんを見たら、拗ねたように頬を膨らませていた。
言っとくけど、全っ然可愛くねーからな!
「あ。そうだ。お前に家庭教師を付けるからな」
「は・・・?」
「
九世が手配してくれて、凄い人が来るぞー!」
ものすごく、ものすごく嫌な予感がするのは気のせいですか・・・?
家庭教師で思い出すのはあの黒いヒットマンで・・・。
まさか、まさか、まさか、まさか、まさか。
「なんとあのリボーンだ!」
ちーん。俺、終わった。
リボーンが来る・・・!
俺、復活どころか再起不能。
何で、何で?!来んの早すぎない?!てか、俺じゃなくディーノのかてきょーだろ?!
それから父さんが何だか嬉しそうにいろいろ話してたけど、右から左へ全てスルー。
ロマーリオが呆然とした俺に気付いてくれたようで、父さんに飲み物をと適当に理由付けて俺を追い出してくれた。
部屋の扉を閉め、深く溜め息を吐いた。
何か分かんないけど、このままの流れだとマズくないか・・・?
チリチリと胸の奥で何かが燻ぶるように揺らめいてる気がする。
「あ、兄さん」
「ディーノ」
ゆっくりと歩いてくるディーノが父さんに飲み物を持ってきたようで、俺が外に出た理由がなくなった。
溢さないように慎重になっているディーノは声まで小さくなっている。
何してるの?と首を傾げて見て来た弟に何て返そうかと迷ってた時、医者の声が聞こえた。
おっと、ちゃんと扉閉めてなかったのか。
「ボス、様にあのような嘘を申し上げてよろしかったのですか?」
「(嘘・・・?)」
扉を閉めようとした俺の手はそこで止まり、俺とディーノは隠れて話に耳を傾けた。
ロマーリオも困惑したような声でその先を続ける。
「急に最強のヒットマンまで呼んで、一体何を考えているんだ、ボス?」
「・・・・おそらく俺の病気はこれからさらに悪化する。その前にに継いで貰おうと思ってな」
「何を弱気な!」
衝撃を受けた。
雷が落ちてもこうはならない気がする。
バクバクとうるさい心臓が危険を知らせているように感じた。
俺がキャバッローネのボスに・・・・?
違うだろ。ボスになるのはディーノだ。
「まだ幼いが、には才能がある。だからリボーンを付けたんだ。お前達をそう待たせはしない」
俺はクルリと扉に背を向けた。
父さんはやっぱり何かの病気で、俺に跡を継がせようとしていて、それはリボーンが来る時で。
焦る気持ちと同じように早くなる足取りにディーノが小走りで付いて来る。
「兄さん!あれって兄さんがボスになるってことだよな?!すごい!」
手放しで喜んでいるディーノの声に自然と足が止まった。
違うんだ、ディーノ。
ボスになるのは俺じゃない。
お前なんだよ。
「俺は・・・、継いではいけないんだ」
「え?」
俺がボスになればこの物語は終わる。
この世界に俺がいる時点で話は変わってるのかもしれないけど、俺にとっては物語でも何でもなくれっきとした人生だ。
だけど、それだけは、跡を継ぐ事だけはやってはいけない事のように思えた。
俺が知り得る限りでこの疑問に答えをくれる人は、彼女しかいなかった。
頼む。
俺を、助けてくれ・・・。
***
「そうね。あんたがボスになればこの世界はリボーンの世界ではなくなるわ。
だけどそれでも世界は回るし、誰もを責めたりしない。あんたの選択肢にハズレはないのよ」
気が付けば俺の目の前にレディがいた。
俺がレディの元に行ったのか、レディが俺を連れ去ったのか、それすらも覚えていない。
自分の人生の責任を自分で取れば誰も文句は言いやしないのよ、と目を細めて笑うレディに考える。
つまり、もし俺がボスになっても間違いではない、と言うことだろうか。
だけど、その先の未来に起こる事は保障しないと。
でも、それって誰がどの未来を選んでも同じじゃないだろうか?
ようするに、未来に絶対はないって事か・・・・。
「その通り」
何も言っていない俺の考えが分かっているようにレディは片目を瞑って俺を指差し、そう言った。
何だか少しホッとした。
つまり俺は俺の好きなように生きていいんだ。
「俺にはボスは向いてない」
うん。キャバッローネの十代目はやっぱディーノでなきゃダメだろ?
それに俺はただのヘタレのチキン野郎だ。
俺がそう決意して視線を上げるとレディは小さく笑って頬杖をついた。
「そう。が手伝ってくれと言うのなら、私は手でも足でも貸してあげるわよ?」
うわー。俺ってば最強の味方を手に入れた気がする。
これ以上の強者、他にいる?
「協力してくれるか?」
「力及ぶ限り」
だけどこの時の俺はまだ、まさかあんな事を引き起こすなんて微塵も知らなかったんだ。
* ひとやすみ *
・ここから先は私の表現力不足により、客観視で話が進みます。
おそらく最初は意味不明でしょうが、お付き合いいただけると光栄です。
うぅ、頑張れ主人公!! (09/07/17)