ドリーム小説
「ロマーリオ」
「へい。何ですかな、坊ちゃんや?」
お前に一体何があったー?!
どこで仕入れてきた、そんなネタ!
珍妙な口調で話すロマーリオに俺は心底参ってしまった。
そんな俺を不思議そうにロマーリオが書類から顔を上げて見てきた。
「何だそのおかしな言葉は?」
「坊ちゃんが話し方をフレンドリーにしろと仰ったんじゃないでやんすか!」
「言ったが、それは・・・」
明らかに方向性間違ってるぞ、お前・・・・。
一体、何を手本にしたのかと首を傾げて聞けば。
「ミットーコモン」
「は?」
「ん?違うか?ミートコッモウンだったかもしれやせん」
ん?何か聞き覚えがあるような・・・。
いや、まさかまさかまさか。
俺は恐る恐るまだ首を傾げてるロマーリオに声を掛けた。
「水戸黄門?」
「おぉ!それですよ、坊ちゃん!」
ぜってェ、違う!
あのキャストで「やんす」とか言ってる奴いねーだろ?!
どんなにウッカリしてる奴でも言わねえよ!
「坊ちゃんがジャッポーネを好きなのが分かりやした。あのゴローコは最強でやんすな。
ボスのゴローコに従うファミリー二人が何ともクールで。スケサとカクサはいい右腕だ」
「(何か微妙に違わね・・・?)」
「敵を締め上げる時に言う『
この家紋を目の中かっぽじってぶち込んでやる!』てのがまたイイ」
・・・・そんなデンジャーな人達だったっけ?
キラキラ目を輝かせているが根本的にいろいろ間違ってるロマーリオに俺は諦めた。
溜め息と共にその口調だけは止めてくれとだけ言うと、残念そうにしてたが頷いてくれた。
「そうだ、坊ちゃん。ボスがまた土地開発に手を出してるんだが、この資料を見てくれ」
「この前も無駄に・・・。何だコレは」
「テーマは『息子達と遊ぶアトラクション施設』らしい」
「・・・・・。」
あの人はまたー。
何で子供の俺が父さんの尻拭いに奔走させられるんだろう。
資金だって湯水のようにある訳でもないのに、無駄な事ばかりやってくれる。
おかげでなぜかファミリーの奴らが議案の見直しをしてくれとわんさかやって来る。
だから俺、まだ九歳なんだってば!
「こんなもの破棄だ。カジノの経営立て直してからにしろと言っておく」
俺は深く溜め息を吐いて、その他の見直し書類の束に手を付けた。
***
文字の読み過ぎで目がチカチカする。
休憩がてら部屋を飛び出して、当てもなく廊下をウロウロしているとディーノが走って来た。
その後ろから同じ金髪を揺らして母さんもやって来る。
「兄さん、レディがウチに来るんだって!」
「レディ・・・?」
「知らないの?絶対に当たる予言師で、すごい有名なんだ」
大興奮って感じで俺の服に縋り付いてるディーノが、嬉しそうに話す。
掴まれてブンブン振り回された俺のシャツは皺だらけになった。
まぁ、可愛いから許すけどさー。
予言師とはすごい人がいたもんだ。
そんな人がウチに何しに来るんだ?
「ふふ。、レディは私の古い友人なんですよ」
「母さんの?」
「すごいでしょ?!俺、母さんがそんなすごい人と知り合いだなんて全然知らなかった!」
「あなた達に会いたいって言ってたから、私も嬉しくって」
本当に嬉しそうに笑う母さんに俺とディーノは顔を見合わせて目を瞬いた。
俺達も思わず一緒に笑うと、メイドがこちらに歩いてくるのが見えた。
「それで、いついらっしゃるんです?」
「
今日!」
「は?!」
「奥様、お客様がいらっしゃいました」
「あらら、もう着いたみたいよ」
みたいよ、じゃないですよ!
ちょっと、いきなりすぎやしませんか?!
俺は抵抗する暇もなく、ディーノに手をグイグイ引かれて予言師様を出迎えに行く羽目になった。
パタパタと走って行く母さんにディーノも嬉しそうに付いて行って、俺だけが残される。
そんな二人の後を、ゆっくりと歩きながら追う俺は客間の前でディーノに皺だらけにされた服を調えた。
開けっ放しの扉の向こうから聞き慣れない女の人の声がする。
「こんにちは、跳ね馬ディーノ」
「はねうま・・・?」
「えぇ。アナタがドン・キャバッローネの息子。良い跡目になるわ」
「あらあらあら・・・、違うのよレディ。跡目は長子のなのよ」
気まずい雰囲気に足が止まっていた俺をディーノが目敏く見付けて、レディの前に引っ張り出した。
彼女を見た瞬間、俺と彼女は互いに目を見開いた。
赤いドレス、赤い帽子、赤い唇、赤、赤、赤・・・。
何故だか言い知れぬ不安が込み上げた俺にレディは掠れた声で俺に言う。
「ア、ナタは・・・誰、」
これがこの後、俺と深く関わる事になる彼女との出会いだった。
* ひとやすみ *
・ロマーリオ口調変遷史。笑
オリキャラ注意報!今後のキーパーソンになるので外せません。
またまた中途半端ですが、であい編はここで終了。
ちょっぴりヒーローも話が展開していきます!よろしければお付き合いお願いします!(09/07/01)