ドリーム小説

兄さん!人助けもいいけど、ほどほどにしてくれなきゃ困るんだって!」

「・・・何の事だ?」

「テメェはまたそうやってシラを切る!さっきが情けを掛けた女と野郎の事だぁ!」




お昼時、珍しく弁当持参で学校に来たので屋上にいるのだが、何で俺怒られてんの?

よく分からないけど、ディーノとスクアーロが頬を膨らまして俺を睨んでる。

めちゃくちゃ困るくらいに、可愛いんだコレが。


気が付けば、いつの間にかスクアーロが昼食に入ってくる事が多くなっていた。

今日も当然のように一緒にいる訳だけど、もう一度「何の事だ」と首を傾げれば物凄く睨まれた。

さすがに怖かったので記憶を掘り起こす。


女と野郎って俺に話しかけようなんて奇特な奴そうそう・・・あ。もしかしてアレか?

俺は昼食を食べる二人の前で、訳あって穴の開いた本を読んでいる。

ちなみに弁当はない。

つまり俺、空腹。

そうなったのは俺のせいなんだけどさ。

多分それを怒ってるんだろう。




***




俺は久々の弁当にルンルン気分で鞄を振り回し、待ち合わせの屋上へ向っていた。

特殊設計の校舎のため屋上への階段は入り組んだ所にある。

面倒だったので近道に花壇を横切り、実験室の窓を潜り抜け、訓練場の脇道を通って先を急いだ。


相変わらず耳が痛くなるような発砲音と、独特な火薬の臭いに気を取られていると小石に蹴躓いた。

俺はこけると思い、反射的に手に持っていた鞄を手放した。

体勢を崩しながら俺は向かいに女の子が歩いて来ているのを見た。

ついでにその後ろに弟君と鮫っ子も。

同時に何かおかしな発砲音が聞こえたがそれ所じゃない!

女の子にカッコ悪い所を見られてたまるか!


俺は前屈みの姿勢を無理やり後ろに仰け反り、足を根性で前に踏み出した。

何とか踏み止まって顔を上げた瞬間、悲鳴を上げて腰を抜かした女の子、目を見開く弟と鮫、木っ端微塵の俺の鞄。


な、な、何が起きたの?!てか俺の弁当がー!!


思い付く限りの予想を立てたが、どう考えても俺がブン投げた鞄が女の子に直撃したとしか思えない。

うわー!やべぇ!てかゴメンよー!!




「大丈夫か?」




肩をまだ震わせている女の子に俺は走り寄って怯えさせないよう視線を合わせてそう聞いた。

その子は俺を見て目を見開いていた。

俺みたいな嫌われ者となんか関わりたくないだろうが、今はそうも言ってられない。

失礼ながらようやく落ち着いたその子の肩を抱いて立ち上がらせる。

どうやら怪我はないようだ。




「あ、あの様!助けてくださってありがとうございました!」

「・・・本当に大丈夫か?」




この子は頭を強く打ったのではないだろうか・・・?

あの鞄の底敷き、鉄板だし。

そうに違いない。君に鞄を投げた張本人だぞ、俺。

俺は無意識に彼女の頭に手を伸ばし、たんこぶが出来て無いか確認した。

一通り撫でたが無傷のようで、俺は安心して彼女を見ると今度は真っ赤になっていて驚いた。

まさか打ち所悪く発熱とか?!




兄さん!!何やってんだよ!!」

「ゔお゙ぉぉい!テメェはまた見境なく!!」

「とにかく兄さんが一緒だとその子また倒れるから!」




駆け寄ってきて怒鳴り散らすディーノとスクアーロの言葉に俺は反省する。

そうだよな、俺、加害者だもんな。彼女のトラウマなのかも。

俺は辺りを見渡して俺の代わりに彼女を治療室に連れて行ってくれる奴を探した。

すると訓練所の入り口付近にいた奴が顔を真っ青にして立っていた。




「おいお前」

「ひぃッ・・!」

「お前も大丈夫か?」




怯えていた彼は目をまん丸にして俺を見ている。

ちょうどいいとばかりに彼女を治療室に連れて行ってくれと頼んだら快くOKしてくれた。

最後に彼は深々と頭を下げてなぜか俺に礼を言った。

いや、俺はただ顔色が悪かったから休む事を進めただけなんだが。





***





俺は木っ端微塵の鞄からまだ無事そうな本だけを取り出して今に至る訳だが、やっぱ怒られてるのは俺が情けないせいか。

文句を言いながら弁当を頬張るディーノと、眉間に皺を寄せてパンに齧り付くスクアーロに目が合わせられない。

俺はある意味推理小説のような穴開きの日本純文学に視線を落としたまま、チクチク刺さる視線をかわす。


それにしても腹減った。

本には何かが貫通したような穴開いてるし、弁当は壊れて中身は鞄と共に地面に散らばってたし、最悪だ。

ふと風に運ばれ甘い匂いが鼻をくすぐった。

辺りを見渡せばスクアーロのパンが目に付いた。

あれは!イチゴのクリームサンドデニッシュ!!




「スクアーロ、お前、甘いの好きなのか・・・?」




物凄い意外な組み合わせに驚きの声を上げれば、スクアーロがパンを齧りながら目を瞬いた。

それを丁寧に飲み込んでスクアーロは淡々と答える。

てか、お前顔にクリーム付いてっぞ。




「別に好きでも嫌いでもねぇ。腹の足しになればそれでいいからなぁ」

「そうか」




確認は取った。

そして俺は誘惑に負けた。

俺はスクアーロのパンを掴む腕を握り、そのまま口元に運んだ。

おー!この濃厚な生クリームにイチゴの酸味!やっぱうめぇ!!




「な!!な、何すんだぁ、ッ!」

「わー!兄さん!」

「?」




俺はクリーム一つ残すまいと口に付いたクリームを舐め取った。

やっぱ美味いなぁ、生クリーム。俺の癒しだ。




「あーもー!俺の弁当残り全部あげるから!」

「腹が減ってるなら先に言えぇ!!コレもやる!」

「?」

「「 だから誰彼構わずそういう事するなー!!! 」」

「??」




よく分からないが、イチゴのクリームサンドデニッシュをゲット!

ディーノの弁当は多いから二人に分けてやろうとしたが断られた。

てか、何でまた年下二人に怒られてんの、俺・・・?


* ひとやすみ *
 ・主人公天然爆発。笑
  ある意味最強ですが、どうやら甘い物がお好きなようです。私も初めて知った・・。
  てか、イタリア風のお弁当って何が入ってるんだろー?               (09/07/01)