ドリーム小説

「テメェ、今更ノコノコ起きてきやがって覚悟は出来てんだろうな、あぁ゙?!」

「黙れ。好き勝手しやがって。お前に後任せた俺が馬鹿みたいだろうが」

「うお゙ぉぉい!お前ら自分のこと棚に上げてキレてんじゃねぇ!」

「「 黙れ、カス鮫! 」」




何とも間抜けな状態だった。

俺とザンザス、スクアーロの三人は三者三様ではあるが、大部屋病室にベッドを並べて入院していた。

病室の掃除と移動を兼ねて、一時的に突っ込まれた大部屋にはヴァリアーの二人がいた。

あれから数日経っているのでさすがに情報が回っており、久々に見た顔に俺は青筋を立てていた。

それはどうやらお互い様だったようで、出会った途端にこうなった。

怪我だらけで見るからに痛そうなザンザスはベッドに寝たまま、俺のベッドを睨んでキレた。

それが冒頭というわけ。

キレながら俺のベッドにリンゴを投げてきたので、俺も見舞いの品であるメロンをザンザスに投げ付けた。

俺は横になったままリンゴを受け取ると、俺とザンザスの間に寝ていたスクアーロがもっともなことを言ったので、

何だか癪に障って俺は怒りのままにリンゴをスクアーロにぶつけた。

どうやら同じ気持ちだったらしく、ザンザスも受け取ったメロンをスクアーロに投げ付けていた。

・・・ったく、ボロボロな男三人がベッド並べて何やってんだか。


ザンザスがキレてるのは、皆と同じで俺が勝手なことしたからだ。

さすがに俺も目が覚めてから皆にこってりじっくりがっつり絞られて反省してる。

だけど、俺がムカついてるのは、ザンザスの馬鹿、雲戦の後、俺の弔い合戦と称して

綱吉達と大空戦を繰り広げた挙句、ボンゴレを乗っ取ると高らかに宣言して返り討ちにあったのだ。

全く、俺がザンザスに後を任せたのは、そんなことをさせるためじゃなかったってのに。

・・・・・・・・・あー!もう、分かってるよ。

俺の怒りがただの八つ当たりだって。

俺が腹を立てているのは、俺の不甲斐無さだ。

ボンゴレを乗っ取るとザンザスに言わせてしまったのは、俺が自分を犠牲に動いたからだ。

俺をこんな風にさせたのは、手を下した綱吉と争奪戦を始めた九代目のせいだと思ったらしい。

本当に俺は大馬鹿者だ。

俺は犠牲者を減らそうと自分を盾に自己満足で動いていたが、

俺が身代わりになったことで誰かが傷付くなんて露とも思っていなかったんだ。




「ぶはぁッ!テメェら何すんだぁ゙?!」

「ウルセェ」

「部屋が一気にフルーツの匂いになったな」

「誰のせいだと思ってんだぁ?!」




リンゴの欠片を頭に乗せたスクアーロがメロンの果汁を滴らせながら怒っていた。

若干微妙な芳香剤のようだなと思っていたら、起き上がっていたザンザスが近くにあったミカンに手を伸ばしていた。

あぁ、腹が減ったんだなー・・・。

ぶつぶつ文句を言うスクアーロの声を聞きながら、ザンザスを見ていたら小さいミカンを一生懸命剥こうとしていた。

だが、ザンザスの手にミカンは小さすぎて、案の定ミカンは汁を撒き散らして潰れた。

こいつ、日常生活においては実はスゲー不器用なんだよなー・・・。

だから何でもかんでも人にやらせようとする。

呆れながら見ていたら短気なザンザスはブチ切れて、ミカンをスクアーロに投げ付けていた。

さすがにスクアーロも予測していたのか、そうはいくかと振り返って自信満々に受け取った。

・・・が、予想以上に潰れていたミカンはスクアーロの手の中でさらに潰れ、果汁をスクアーロの顔に飛び散らした。




「うがぁ!!!」

「・・・・ふん」




かなり痛いのだろう。

目を押さえて呻くスクアーロと、何だか自慢げなザンザスを見て俺は目を瞬いた。

あー・・・、ミカンの汁って沁みるもんな・・・。

てか、ギャーギャー叫んでるヴァリアーを久々に見た気がする。

微妙な匂いにさらにミカンの匂いまで加わっておかしなことになっていた。

部屋を見渡して、鼻を刺激する変な匂いを嗅いで、俺は堪らず噴き出した。




「・・・ぶっ!あっはははははは!」




ピタリと動きを止めて変な顔で二人が俺を見てくるのが分かったが、それでも笑いは治まらなかった。

あぁ、日常が帰って来た。

つーか、何だこれ。俺、いつもこんな変な毎日過ごしてたのかよ。

何だかそれが嬉しくて、おかしくて、胸が暖かくなった。




「スクアーロ、それはさすがに風呂入らないとな」

「この怪我で入れるか!、お前のせいでもあんだからお前が拭け!」

「断る。何が悲しくて男の身体なんか拭かないといけないんだ。ルッスーリアにでも頼め」

「お前は俺をどうしたいんだぁ?!」




スクアーロの何とも言えない表情に我慢していたというのに、ザンザスが肩を揺らしていたのを見たらダメだった。

真紅の瞳と目が合った途端、俺達は声を出して腹を抱えて笑った。

少しばかり傷に響いたが、スクアーロの不満そうな顔には勝てそうにない。

本当に馬鹿だな、俺達。

ボロボロになってベッド並べて何してんだろー。

笑いが止んで、しばらく沈黙が続いた。




「・・・悪かったな」

「・・・全くだ、ドカスが。今度、美味い酒おごれ。それで許してやる」

「安い話だなぁ」




全くだ。

俺達は何だかよく分からない満足感に包まれていた。

部屋の掃除が終わったと執事がやってくるまで、俺の口元は緩みっぱなしだった。


* ひとやすみ *
・最後はやっぱり親しい友人と。兄様の日常にほんわかしていただけたら幸いです!
 本編では触れてなかった事件後の話をちらり。ボスは兄様の、犠牲をなくしたいから
 「あとを頼む」の言葉を、俺の仇をとってくれ「あとを頼む」と受け取っていました。笑
 どこまでも兄様の真逆を行くのがヒーローでございます!さて、次が最終話です!
 といってもおまけ話なんですが。どうぞ気軽に楽しんで下さいませ!           (12/10/30)