ドリーム小説

そこからはもう一体何が起きてどうしたのやら。

とにかく恐怖の連続で泣きそうだった。

スクアーロを助けに来たのに、二階を通り越して一階の鮫プールに放り込まれた俺の方が明らかに助けを求めていた。

考えてみてくれ。

水中で目を開けたら隣に大型の鮫がいるんだぞ?!

大きな声で悲鳴を上げたものの、水中で声は泡になって消えた。


鮫は俺を無視して僅かに赤く滲む水を目指していた。

待て待て、鮫って血に反応するんだよな?

つまり、あそこにスクアーロがいるんじゃ・・・。

やっべー!!待て、鮫!!鮫がスクアーロ喰ったらある意味共食いだろーが!!

俺は必死に鮫を追い掛けて尾ひれを掴むと、鮫が暴れ出した。

巨体で暴れられると振り回されるこっちは堪ったもんじゃない。

ジッとしてろよ、コノヤロー!!

こっちはスクアーロを助けるために命張ってんだぞ!!


何だかだんだん腹が立ってきて、鮫のボディに拳を叩き込むと一層暴れる。

それでもまだ俺を無視してスクアーロの血を目指すので、魚野郎の目にも映る場所に行ってやれば

ギロリと獰猛な目で俺を睨み大口を開けて牙を剥き出してきた。

スクアーロのみならず俺までエサ認定とは贅沢にもほどがあんだよ!

テメェの歯、土産屋に並べんぞ、コラ!

俺は怒りに任せて下顎からアッパーを食らわせる要領で蹴り上げたら、

驚くことに巨体が水面から飛び出すほど吹っ飛んだ。


えぇぇぇぇぇぇ?!

俺、そんなに強く蹴ってねーんだけど?!

頭上を巨体が飛び次の瞬間、瓦礫共々鮫が俺の上へと降ってきた。

自業自得とはいえ巨体に体当たりされた上に瓦礫が頭にいくつか当り、あまりの衝撃に俺はほんのちょっと泣いた。

しかもスクアーロが巻き添え食ったらしく、片腕を鮫に噛まれて水中を漂っていた。

それを見た瞬間、俺は怒りで我を忘れていた。

何をしたのかいまいちよく覚えていないが、多分炎を使ったのだろう。

鮫の頭を吹っ飛ばして、気が付けば辺り一面血の海だった。

鮫は明らかに即死していて悍ましかったが、俺はスクアーロを回収して、

武を出口へ導くチェルベッロの背後から上の階へと登った。




様!お怪我は?!」

「無傷だ。それより早く」




三階の入った穴から外へ出れば、数人の男達と執事が担架と器具を片手に俺を待っていた。

スクアーロを医療スタッフに渡せば、瞬く間に担架に乗せられ、運びながら応急処置を施す。

おー、さすが、執事の用意した医者達だ。

とにかく一刻も早くここから離れないと、チェルベッロに気付かれる。

俺と執事で担架を担いで並中を走り抜けると、驚くことに医療チームも付いて来ていた。

うっそ?!医者じゃ素早く動けないと思ったから俺達で運んでるのに、このスピードに付いて来れるの?!

ギョッとした矢先に、目の前にマイクロバスが停まり、リアゲートが大きく開いて担架を待ち受けていた。

おいおい、救急車もビックリな魔改造しすぎだろこの車・・・。

スクアーロを車内に突っ込んで、黙って俺も乗り込んだ。








***








「げー信じらんねぇ。全二十六ヶ所、骨木っ端じゃん。神経系も麻痺してるし。あの中坊どんだけ悪意の塊よ?」

「素人に頸部の神経系列など分かるはずがない」

「・・・腕、取れた」

「はぁッ?!・・・バカ!よく見ろよ、義手じゃねーか!」




・・・何だこの動物園は。

自由すぎる自称名医達の声を聞きながら、俺は車内で茫然としていた。

はっきり言ってスクアーロの状態は助けられはしたものの、そこまで良くない。

鮫が噛んでいたのは腕だけじゃなかったらしく、血は止まらんし、内部損傷も酷いらしい。

おまけに武の攻撃は相当マズイ所に決まっていたようだ。

それでも俺が治療出来るかと聞けば、奴らは全員速攻で答えた。


『 当然! 』


呆けていた俺の目の前にタオルが差し出され、視線を上げると細目の優男が微笑んで立っていた。

タオルを受け取った所で、自分がびしょ濡れな上に、血塗れなことに気が付いた。




「ボス。その血は貴方のじゃないんですよね?」

「あぁ。俺は怪我一つない。これは鮫の血だろう、多分」




気が付いたら鮫の頭ミンチで多分アレ俺がやったんだろうけど、俺どんだけ人外なことしたわけ?!

水中一面赤く染まったせいで、俺にも色が移ってしまっていた。

曖昧な返事を返せば、細目は難しそうな顔をして、着替えを手渡してきた。

いつもならこれは執事の仕事だが、彼女は今、搬送先の確保に追われている。

それよりも今聞き捨てならない言葉を聞いた。

ボスとか呼ばれるほど俺偉くないんだって!




「・・・俺のことはと呼べ」

「了解しました」




着替え終わった頃、執事が振り返って搬入先を確保したと報告してきた。

不本意ながら俺が経営してるらしい病院を押さえたらしいので、そこへスクアーロは極秘搬送されることになった。


* ひとやすみ *
・何て言うか、水中で炎って使えるんですかね・・・?(根本
 死ぬ気の炎って生命エネルギーだからまぁいいかと書いたんですが、今更不安になった。笑
 そしてまたオリキャラが飛び出した。一応医療チーム6人に名前が付いてますが
 通りすがり程度に思って下さって構いません。私の趣味で少し出張りますが。笑
 スクアーロ救出に動いた兄様。この後、一体どうなるのか、乞うご期待!          (12/05/27)