ドリーム小説

「何でー?!俺も行く!」

「また今度な」




なんだ、なんだー?

屋敷の廊下のど真ん中で、父さんとディーノが大きな声で言い合っていた。

普段から子供に激甘な父さんだから、これは珍しい。

足を止める事無く廊下を進むと、不貞腐れたディーノが俺に気付いて飛び付いて来た。

弟の強烈体当たりを根性で受け止めて、不機嫌そうに俯くディーノに首を傾げる。

一体、何があったんだ?

疑問のままに父さんに視線を向けると、困ったように笑って答えてくれた。




「ボンゴレに行きたいんだそうだ」

「・・・それは、無理だろう」

「いやだ!俺も行く!」

「さっきからこの通りで」




いやいやいやいや。

いくら同盟関係にあると言っても、ボンゴレも歴史あるマフィアだ。

こんなチビ連れて、遊びに来ましたー!が通るのはキャバッローネくらいだって。

ウチだって未だに俺が本拠地に出入り出来るのが不思議なくらいなのに。

肩を竦めて苦笑する父さんに同意しながら、頬を膨らまして拗ねているディーノに溜め息を吐く。

不満ありありな顔をしているディーノは全く諦める気配がなく、父さんも俺も困ってしまう。

むしろ、そんな怖い人ばっかな所なんか行かなくていいよ。




九世[ノーノ]がディーノを呼んだ時か、お前がファミリー入りしたら連れてってやるからな」

「俺も行くんだ!」




・・・・・・困った。

何でそんなにボンゴレなんかに行きたいのか、ディーノはものすごく今行く事に拘っている。

父さんの立場からしたら、いくら自分の子供でもそんな無茶は出来ないだろうし。

あぁ、父さん、ものすごく泣きそうなその顔どうにかならない?

俺は深く溜め息を吐いてディーノの頭を撫で、諌めるように呟いた。




「ディーノ」

「・・・・・、わかった、諦める」

「・・・・・の言葉だと聞き分けよくなるのは、何だか父さんとても複雑だぞ」




相変わらずよく分かんない父さんは置いといてー。

まだ少し不機嫌なディーノを撫で回してやる。

こうすると何故かディーノ喜ぶんだよなー。

くすぐったそうに笑いを漏らしたディーノに、安心して俺も薄く笑う。




兄さん、ボンゴレでまた俺のライバル増やして来ないでよ?」

「?」




何だそれは?

どうして俺がディーノのライバルを作るのかさっぱりわかんねー。

ていうか、その言い方じゃまるで俺がボンゴレに行くみたいじゃん。

あ。と、間抜けな声を出した父さんを見れば今思い出したとばかりに口を開いた。




「そうだった。九世[ノーノ]を連れて来いって言われたのを伝えに来たんだった」

兄さんが行くから俺も行きたかったのに」

「・・・・・・・・・・・・・・・・は?」




何ですとぉー?!







***







俺の人生という物はどこまでも不運で悲惨な物らしい。

俺、今、ボンゴレの本拠地に乗り込んでます。



「弁当持って行こうなー」と何故か遠足気分の父さんを隣に、俺はマフィアの視線を全身に浴びながら歩いている。

穴が開きそうなくらいの視線を完全に無視して、俺はただ真っ直ぐだけを見る。

目を合わせたらズドン、目を合わせたらズドン・・・・。

呪文のように唱えていると、一段と厳重な警護の部屋に辿り着いた。


あぁ、この扉の向こうにあの九代目がいるんだ。

いくらあの優しいお爺さんだと分かっていても、相手はマフィアだ。

気を抜くと・・・ってコラ!父さん勝手に扉開けるなー!

まだ心の準備がー!!




「やぁ。きみが君かい?私はティモッテオ。会えて嬉しいよ」

「・・・・俺もです」




うん。ホント、嬉しいよ?

嬉しいんだけど、偉い人に何の用事で呼ばれたか分かんないと怖いじゃん!

ようやく会えた何人目かの原作キャラ。

そして、最後の原作キャラになるかもしんねー・・・。


俺は近付いてくる九代目に怯えながらそんな事を思った。

俺の身長に合わせてしゃがみ込んだ九代目がほんわかと笑って俺の頭を撫で、俺はホッと息を吐いた。

そうだよな、あの九代目がいきなり襲ってきたりしないよな。

心が平静を取り戻した所で、ようやく目を九代目に向ける事が出来た。

俺が知ってる時よりももっと若いおじさんって感じだけど、目や人相は変わってない。




「きみの父上がね、は天才だとか、カッコいいとか、可愛いとか、それはもうしつこいくらい

 きみの自慢話を私に聞かせてね」




余所のウチで何してんだ、アンター!!

もうホント申し訳なくて、俺は思わず父さんを睨んだけど、相変わらずニコニコしたままだった。




「・・・だが、その自慢話も言い得て妙だと会って実感したよ」




落とすように呟いた九代目に首を傾げた直後、何やら嫌な感じが背筋を走った。

何だ?!と、思わず辺りを見渡すが何もなく、気のせいだったかと視線を戻した。



それからニコニコ顔の九代目といくつか他愛ない話をして、まだ話があると言う父さんを残して俺は一人、部屋を出た。

九代目が俺を呼んだのは本当に会ってみたかっただけらしく、離れで時間を潰していてくれと言われて肩の荷が下りた。

パタンと閉じた扉に息を吐いて、視線を上げると警護をしていた強面のおじさん達と目が合った。




「・・・・・・・」

「・・・・・・・」




もしかしなくても、こっちの方が危険だったかもしれない・・・・。


うわーん!父さん、一人にしないでー!!!


* ひとやすみ *
 ・出ましたドン・ボンゴレ!
  ウチの9世は結構なやり手ですよー。笑
  今回は弟君お留守番です。さてさてどうなるやら・・・。(遠い目・・(09/06/19)