ドリーム小説

後々よーく考えたんだけどさ、俺って何だか相当テンパってたらしい。

九代目の裏にまだ誰かがいたり、執事やシトがかなり怪しい動きをしてたり、モスカがいたりして。

雷の対決をまるで漫画の中だとばかりに傍観してたのがその証拠だろう。

ホテルに戻る最中にそのことに気付いて愕然とした。

そして俺は今、中山外科医院にいる。




「ランボ・・・」




白い病室のベッドで横たわるランボを見下ろしながら俺は小さく呟いた。

雷の熱で気管をやられたのか呼吸器を使う痛々しい姿のランボに俺は謝るしか出来なかった。

何を言ってもいい訳にしかならないけど、お前をこんな風にする気はなかったんだ。

俺は深夜の病室で深く溜め息を吐いて、ベッドの傍の椅子に腰掛けた。




「なぁランボ、やっぱおかしいよな。争奪戦なんかのためにお前やみんなが傷付くなんて」




未来のために努力することは何もおかしなことじゃない。

だけど今を犠牲にしてまで不確定な未来のために動くのは俺は違うと思う。

より良い未来ってのは、充実した今を積み重ねた結果でしかないんじゃないのか?

そう思えば思うほど俺の中で燻ぶってた思いがでかくなる。




「お前も何で自分がこうなったのか本当のこと知りたいよな」




この争奪戦、俺やザンザスを含め当事者達は誰一人、この裏を操る人間を知らない。

こんな馬鹿げた話はない。

何でこんなことになってるのか俺には知る権利があるはずだ。




「俺が黒幕をつきとめる」




そうだ、これは本当の黒幕の存在を知っている俺にしか出来ないことだ。

もう怖いだの何だの言ってられない。

ちんたらしてるとザンザスがinモスカだ!

決意を新たに立ち上がると病室の扉が開いた。




「奈々さん」

くん!ランボくんのお見舞いに来てくれたの?もしかしてこの怪我のこと何か知ってるの?」

「・・・・ランボの傘に雷が落ちて、転げ落ちたんだ」




か、かなり苦しい言い訳だと思うが、嘘ではない。

正確には「ランボにレヴィの傘の雷が落ちて、暴行され転げ回って意識を落とされた」だが。

眠ってるイーピンを背負い、荷物片手に腰に手を当てた奈々さんは目を細めて頬を膨らました。




くんが言うならそういうことにしといてあげるけど、どうして男の子ってすぐ女の子を除け者にするのかしら!」




いや、女の子って・・・。

中学生の母親とは思えない奈々さんに苦笑しながら、俺は後を任せて病院をあとにした。







***






まず最初に謝っておく。

ごめん、隼人。俺、争奪戦、見に行けねー。

なぜってそりゃ、こんなチャンス今しかねーもん。

現在、嵐の争奪戦開始5分前。

ホテルはほぼスッカラカンで、執事も仕事を押し付けられて出て行ったのを確認している。

こんなの俺に黒幕の手掛かりを探せと言ってるようなもんだ。




「そんな訳で、俺は今九代目がいたフロアに来ております」




例の薬品フロアには案の定警備の人間が立っていたが、そこは穏便に眠ってもらい、

俺は悠々と九代目の部屋の前へと向かった。

ん?潜入中なのに俺が何だか余裕そうに見える?

いや、だってこのフロア、全く人の気配がしないんだもん。

どうやら九代目はすでに場所を移したようで、最小限の警備しかここにはいないようだ。

少々拍子抜けしつつ俺は執事の部屋から借りてきたマスターキーで部屋の鍵を開けた。

部屋の中はまるでザンザスが使っていた時から誰も入っていないかのように元に戻されていた。

だが、本当に僅かだがそこかしこに手が加えられた形跡が残っている。

机の上のペンやインク瓶は一見乱雑に置いてあるように見えるが、ペン先がキレイすぎるし、

インク瓶の液垂れもワザとなのか不自然に途切れている。

ペン先を拭く癖は執事のものだが、その痕跡があるということはどうやら癖そのものに気付いていないらしい。

というより、大体この部屋に執事が入ったこと自体おかしいのだ。

ザンザスは執事に裏切り者のレッテルを貼って以来、この部屋に入れることを拒んでいたはずだからな。

ある程度、手掛かりを探しまくったが目ぼしい物は見付からず、俺は思わず溜め息交じりに呟いた。




「執事の癖を覚えるほど、一緒にいたのにな・・・」




監視のため付けられた彼女達だが、俺への態度はこれまでと変わることはなかった。

むしろ時々親愛の情すら感じることがあるくらいだ。

なのに一体どうして彼女達は俺の元へ帰って来ないのだろう。




「なら彼女達を君に返してあげようか?」




掛けられた声に俺は臨戦態勢をとり、すぐさま振り返った。

ソファに足を組んで座るシトの姿に俺は冷や汗を掻く。

無人なのを理由に油断してたのもあるが、こんなに近くにいるのに全く気配がしなかった・・・。

神だからと言われれば終わりだが、何か釈然としない。

俺は唾を飲み込み、警戒しながら質問の意図が分からないと聞き直した。




「だからー、君が“あの人”を追ってここまで来れたご褒美に彼女達を返してあげようかって言ってるんだ」




ニッコリと笑ったシトの顔になぜだか俺は金縛りにあったかのように身動きが取れなくなった。


* ひとやすみ *
・久しぶりの更新です。そして嵐の争奪戦期待してた方、申し訳ない!!
 影の薄い綱吉側と唯一絡める争奪戦だったのに、何ていうかゴメン。笑
 とことん原作主人公達と縁のないヒーローです。嫌いじゃないのにおかしいなぁ。
 さぁゴタゴタしてきました。もう少しゴタゴタに巻き込まれてやって下さいな!      (11/08/12)