ドリーム小説
現在敵対勢力は俺達ヴァリアー組、綱吉原作組、そして九代目チェルベッロ組の三つに分かれている。
まぁ、いろいろ裏がありそうだし、正確に分けたら三つ以上になるだろう。
親馬鹿の九代目が何を思って争奪戦を始めたのかも、執事達が不本意ながらシトに従ってる理由も、
根本にあるのはどうやらある人物が係わっているかららしい。
正直、俺はシトが一番怪しいと思っている。
ただでさえ自称神様で危険人物極まりないのに、未だにこいつの目的が見えてこない。
一体、俺達を引っ掻き回して何がしたいんだ・・・?
答えの出ない問題に深く溜め息を吐いて、俺は雨で顔に張り付いた髪を掻き上げた。
「シュールな画・・・」
「秒殺だね」
「・・・それは、どうかな」
「んなことばっか言ってるから、いつもレヴィに睨まれんだぞぉ、」
雷の戦闘エリア内のレヴィとランボを見て呟いたベルとマーモンに否で返せば、なぜかスクアーロに呆れた視線で返された。
いやいや、お前もよくレヴィに睨まれてるじゃん。
一日というのは本当に早い。
気が付けば夜が更け、並中の屋上に七本の避雷針が聳えるエレットゥリコサーキットが姿を現した。
俺はまだ整理の付かない気持ちを抱えたまま、こうして雷の守護者対決を見守っている。
計ったような雷雨に体温を奪われながらもう一度濡れた髪を掻き上げた瞬間、空が眩しく光って避雷針に雷が落ちた。
・・・あーあー、ランボ焦げちゃったよ。
導体の上に立っていたランボは電気ショックを浴びて大泣きしている。
泣いてる場合じゃないぞ、ランボ。
普通なら即死もありえる状況で、電気を通す皮膚を持つお前を妬んでる奴が目の前にいるんだぞ!
案の定、表情を一転させたレヴィは先手必勝とばかりに、泣いてるランボを蹴り倒した。
青褪めて叫んでる綱吉達に視線をやっている間にどうやらランボが十年バズーカを撃ったようだ。
十年後で食べていたらしい餃子を咀嚼しながら煙の中で大人ランボが立ち上がった。
「ゔお゙ぉい!何だありゃあ?!部外者がいるぜぇ!」
「あれは十年バズーカによって呼び出された十年後のランボだ」
「へー面白いじゃん」
「初めて見たよ」
十年後の世界に行ってみたいと嬉しそうに騒ぐベルとマーモンは素直に可愛いんだが、
その背後でレヴィと大人ランボの戦いが繰り広げられてる光景は何だか酷く違和感があった。
バズーカのおかげで十年分成長したとはいえ、闇に生きるレヴィとは年季が違っているせいか、
あっという間にランボが傘の餌食となり串刺しになった。
「お前は徹底的に殺す。切り刻んで焼き肉にしてやる」
「げー!レヴィの奴、絶対ボスの影響受けてるって」
「確かに焼き肉って所がそれっぽいね」
・・・な、何だろう?この綱吉サイドとの緊迫感の差は?
ケラケラ笑ってるベルとマーモンを見てると、何だか俺、幼稚園児の引率でもしてる気になってきた。
すると、まるでデジャヴ。
大人ランボが泣きながら十年バズーカを自分に向けて撃ったのだ。
もくもくと広がる爆煙の中から発せられる気配に、笑ってた二人も一瞬で警戒態勢を取った。
二十年後のランボか・・・。
俺と同い年のはずだが、目の前のランボはがたいが良く精悍な顔付きの男前で完全に俺負けてる・・・。
筋肉の付き難い自分の身体を見下ろして俺はすんと鼻を鳴らした。
「あなた達にまた会えるとは、懐かしい・・・。何て懐かしい面々・・・。ですがさん、あなたはやはり・・・。
いや、それよりもどうして何も言ってくれなかったんですか」
・・・・・・・は?
突然二十年後のランボに名指しされて呆けた。
いやいや、未来のことなんて俺に分かるわけないだろうが。
困惑してる俺を余所に激しい雷雨の中、レヴィとランボが三度目の衝突をした。
あぁ、才能の差がここで出たな。
ランボがレヴィを圧倒して勝負の行方は僅かな時間で引っ繰り返された。
・・・だけど、この勝負は経過時間が勝敗を左右するからな。
するとやっぱり原作通りランボは元の姿に戻り、自分で呼び込んだ電圧に耐え切れず、焼け焦げて気を失った。
倒れるランボを足蹴にして、レヴィは電撃を纏わせた傘を振り上げた。
「とどめだ。死ね」
傘がランボに突き刺さる前に大きな音を立てて避雷針が倒れ、レヴィはそれを避けて後ろに跳び退った。
全ての避雷針が折れるという不自然な事態によくよく観察してみれば、細い部分が熱で溶けている。
そしてその原因はもちろん・・・。
「目の前で大事な仲間を失ったら・・・死んでも死にきれねえ」
・・・うー、敵ながらカッコいいじゃねーか、綱吉さま!
ヴァリアー側にいるのに何だかワクワクしてる俺は多分ダメ守護者だろう。
・・・でも。
いえー!綱吉、もっとやっちまえー!!
* ひとやすみ *
・今回は完全に傍観者の立場です。いえー!とか言ってる場合じゃねーよ、兄様!笑
遠足気分で楽しんでるベルとマーモンもかなり場違いですケド。笑
十年バズーカを出すと兄様に使わせてみたくなるんですが、そうなると完全番外です。
いずれそっちも書いてみたいなー。 (11/06/12)