ドリーム小説
まるで何事もなかったかのような静かな夜。
先程まで布団の中で怯えていた綱吉はいつの間にか眠りに落ちたようで、部屋に小さな寝息が聞こえる。
本当に全てが夢であったらどんなによかったか。
小さく溜め息を吐いた赤ん坊の背後に人が寄ってくる気配がした。
「最悪の事態だな」
「・・・全くだ」
リボーンの背後に立った家光はベッドの上の塊に視線を向けて同じように溜め息を吐くと部屋の扉を閉めた。
二人は音を立てないように階段を降り、人のいないリビングへと向かった。
月明かりが照らす中、家光は眉間に皺を寄せる。
ヴァリアーにが入ったなどという報告は受けていない。
ましてやチェルベッロ機関や九代目が争奪戦を容認するなど理解出来ないことだらけなのだ。
「一体何を考えているんだろうな」
「分からねぇが、が向こうに就いたおかげで天と地ほどあった戦力差がさらに広がったな」
「・・・あの頃からは何を考えているか分からない子だったが、とにかく頭がキレる。彼がなぜヴァリアーに
いるのかは分からんが、俺はこれからバジルと情報収集に向かう。あとは頼んだ、友よ」
「あぁ」
こっそりと家を出て行く家光の背を見送ってリボーンは部屋へと戻っていった。
***
「まだ震えが止まらない。逃げ出したいよ・・・」
「ツナ!」
学校へ向かう途中、走り寄ってくる山本に綱吉は驚いた。
昨晩から震えが止まらない綱吉と同じように山本も落ち着かないらしく学校へ来たらしい。
ただし、山本の場合ワクワクしてだそうだ。
精神構造の違いに落ち込む綱吉に山本はいつものカラリとした笑顔を向けた。
「大丈夫だって・・・一人じゃねーんだぜ、ツナ。みんなで勝とーぜ」
「ったりめーだ!!あんな奴らにボンゴレをまかせられるか!」
「獄寺君!!」
ダンボールを抱えて突然現れた獄寺は不敵に笑って「勝つのはオレ達です!」と言い切った。
いつもの根拠の無い盛り上がりに巻き込まれ綱吉は顔を引き攣らせたが、
彼らに言われると不思議とそうなるかもしれないと思えた。
気が付くとずっと止まらなかった指先の震えが止まっていた。
「にしても、何でがヴァリアーにいんだよ!」
「や、やっぱりさんもこっち関係の人だったんだー!!」
「んー。指輪が欲しかっただけじゃね?」
「んな訳あるか!アイツ、確かって呼ばれてるらしいぜ。どっかで聞いたことあんだが、くそ!思い出せねー」
「何だ獄寺、の裏の顔知ってんのか?」
「リボーン!」
振り向いた三人にリボーンはブロック塀の上からちゃおッスと挨拶をした。
驚く三人を無視してリボーンは話を続ける。
「と言えばずっと行方知れずだった伝説のヒットマンだ」
「で、伝説ー?!」
「あぁ。何せ“かたしろ”を起こした張本人だからな」
「・・・っ!」
リボーンの言葉に息を呑んだ獄寺に皆の視線が集まる。
獄寺にはかたしろと言う言葉に聞き覚えがあった。
まだシャマルが獄寺の家に出入りしてた頃、たった十一歳の子供が九代目を誘拐した犯人を皆殺しにして助けたとか。
顔色悪くそう説明した獄寺に綱吉と山本も思わずゴクリと咽喉を鳴らす。
「はっきり言ってはザンザスよりも強い」
そして俺よりも・・・。
リボーンはそんな言葉を呑み込んで悲鳴を上げる綱吉に視線を向けた。
正直、が何を考えてヴァリアーに付いたかさっぱり理解出来ないが、
綱吉達に勝ってもらうしかないことだけは確かなのだ。
「に関しては雲雀とディーノにも聞いてみねーとな」
「ん?ヒバリ?」
「何でヒバリさんとディーノさんに聞くんだよ?」
不思議そうに首を傾げる三人にリボーンはキョトンと目を瞬いた。
面白そうだからずっと黙っていたのだが、気が付けばそのこと自体忘れていた。
表情に出さず心内でニヤリと笑ったリボーンはサラッと答えた。
「知らねーのか?はディーノの実兄で、今は雲雀の義兄だぞ?」
「「「 ええええええええええぇっ?! 」」」
驚愕のユニゾンにリボーンは満足気に笑った。
さらにディーノも雲雀もにメロメロのお兄ちゃんっ子だと付け加えると三人は顔を引き攣らせた。
「ヒバリさん、ディーノさんと修行してるはずだけど、・・・ど、どうなってるんだろう?」
「「・・・・・・・・・・」」
しばらくの間、何とも言えない顔をして黙り込んだ三人はリボーンの「遅刻すんぞ」の一言で正気に戻ったのだった。
* ひとやすみ *
・お、お久しぶりです!放置してすいませんでした!
さていよいよ争奪戦へ入ります!最後なので長くなりそうなのは間違いないんですが、
編を分けるかまだ迷ってます・・・。まぁ進めながら考えるとしますー(え
散らかしてきた伏線どこまで回収できるか謎ですが、新編も頑張りますのでよろしく願いますー! (11/04/22)