ドリーム小説
「人型ロボット?」
「そんな可愛らしい物じゃない。モスカは軍事兵器だ」
導かれるままに先へ進むと製造途中のモスカが並び、執事とザンザスが不思議そうに視線を走らせていた。
どれも失敗作で動きそうにないが、プロトタイプがこんなに作られたと思うとゾッとする。
青い猫型ロボなら笑えるが、モスカとか一体何と戦争する気だよ・・・。
メイド服で資料を漁っていた執事に予測戦闘データを見せてやると、一気に青褪めて息を呑んだ。
「何でこんな物・・・」
「分からないが、この先に進めば発案者に会えるかもな」
「ふざけた思考を持つカス野郎には心当たりがある」
青筋立ててモスカを蹴り飛ばしたザンザスに俺も眉根を寄せる。
おそらく想像してる人物は同じだろう。
軍部にパイプを持ち、莫大な開発費を負担でき、動力源である死ぬ気の炎を知っている人物など限られてくる。
問題は目的だ。
原作から逸れていることから彼に何かがあったのだろうが、俺とザンザスを呼び出す目的がさっぱり見えてこない。
シンと静かな研究室を進みながら、俺達の後ろを付いてくる執事に視線を向けた。
「その格好でここまで来るのは大変だっただろ」
「いえ。避難中の混乱に紛れましたし、まっすぐ燃える穴を辿っていけば着きましたから」
「燃える穴?」
何だそれは?
第4研究室までそんな道なかったはずだし、第一、火なんか点けば警報が・・・。
ん?あれ?火?警報?
ま、まさか、お前・・・!
隣の不良野郎を窺うと奴はあっさりと頷いた。
「ぶち抜いた」
あ の 火 事 は テ メ ー か ! !
・・・まぁそのおかげで誰とも会わずに済んだが、何だこの遣る瀬無い気持ちは?!
白衣着て普通に侵入した俺が馬鹿らしいじゃねーか!!
何とも言えない感情を呑み込んで、俺は深い深い溜め息を吐いた。
「ところでザンザス様、様を探してお一人で日本に渡られたわけではありませんよね?」
おいおい、ザンザスはスクアーロを助けに来たんだからその言い方はおかしくないか?
何だかんだ言いつつ仲良いから助けに来てやったんだろうし。
てか、コイツ今一人だけど、他のヴァリアーはどうしてるんだ?
ザンザスは俺の隣で腹立たしげに舌打ちした。
「あんまりふざけた口利くとカッ消すぞ、女。カス共なら口実通りリングを探してるはずだ」
ん?つまりリングを探す目的でヴァリアーは日本に来たってことか?
あ、あれ?何だか原作通り?
え?あれ?原作と違うことになってるのに、何で原作通り?!
「ザンザス、何でリングを探してるんだ?」
「あぁ?ジジイの命だからだ」
「だよな」
理由は違うのに何でか原作通りの筋書きになってるんですけど?!
怪訝そうなザンザスに一つ頷いて俺は目の前の扉を睨む。
どうやらリングのこともスクアーロ誘拐も全て深い所で繋がってるようだ。
そしてこの先に答えがある。
俺はを握り直して、ザンザスと一緒に最後の扉を蹴破った。
眩しい光に僅かに目を細めたが、だだっ広く何もない部屋で視界に入る物は三つしかない。
床に転がるスクアーロ、それを見下ろす黒いマスクの女が三人、そして奥のデスクに悠々と座るボンゴレ九代目。
「よく来たね、ザンザス、君」
「・・・くそジジイっ」
「予想が外れて欲しかったが」
唸るザンザスの声を聞きながら、俺はスクアーロの胸をジトリと見つめる。
上下してるのを見て一先ず安心したものの、最悪の事態に頭が痛くなった。
九代目とチェルベッロはやっぱグルか。
「我々に従っていただきます」
「消し炭にしてやる!」
「残念ですが、アナタ方に選択の権利はありません」
「うぐ・・・っ」
淡々と喋ったチェルベッロAとBを余所にCがスクアーロを踏みつける。
スクアーロがどうなろうとどうでもいいと、ザンザスはさも愉快そうに言い捨てたが、俺は冷や汗を流した。
・・・お前、それ演技だよな?
九代目は油断できないが、正直俺とザンザス、執事の三人ならこの場は一応どうにかなると思う。
緊張してるのか汗で滑るをもう一度握り直すと、スクアーロが俺に叫んだ。
「ダメだ!!やり合えば後悔するぞぉ!」
「うるせぇ!カスは黙っとけ!」
「こいつは・・・!この女は、ティーだ!」
・・・・・・・・・・・は?
スクアーロを踏み付けるチェルベッロCの体型は確かにティエラに似ているが、目を覆うマスクで顔は分からない。
それに彼女は今行方不明で、こんな所にいるはずがないのだ。
皆の視線を集めたチェルベッロCは静かにマスクを外した。
「久しぶりね、」
鮮やかな笑顔も華やかな声音も間違いなくティエラだった。
お前、そこで、何してる・・・?
スクアーロを踏んだままニコやかに笑う彼女に嫌な予感ばかりが募り、俺は口を動かすだけで何も言葉に出来なかった。
ティエラは銃を取り出すとスクアーロに真っ直ぐ向けた。
「悪いけど従ってもらうわよ、」
「耳を貸すなよ。あの女が居ようと俺とお前ならどうにでもなる」
混乱する俺にザンザスはそう呟いてティエラに銃を向けた。
米神を雫が伝って初めて、俺は自分が物凄く汗を掻いてることに気付いた。
何だ、この寒気は?
止まらない震えを抑え込み、ザンザスの言葉通り九代目にを向けた瞬間、ティエラがなぜか目を閉じた。
「申し訳ありませんが銃を下ろしていただきます、様、ザンザス様」
カチャリと背後から頭に固い物が突き付けられて、俺は目の前が真っ暗になった。
あまりに聞き覚えのありすぎるその声に泣き叫びたかった。
俺とザンザスの後ろには彼女しかいない。
恐る恐る振り返れば、メイド服の執事が俺とザンザスの頭に銃を突き付けてそこに立っていた。
* ひとやすみ *
・うわー!!半泣きでここまで書きました!
状況が二転三転してます。芋虫スクアーロもウチの女王様に踏まれてコロコロ(え
この辺りでようやく解説出来そうですが、詰め込む内容が多すぎて全部書けるかどうか。
かむい編もあと3話くらいかな? (11/01/18)