ドリーム小説

宅配伝票の住所はとんでもない所でした。

何だこれ?!山じゃん、山!!

山を削り取って出来た広大に敷地に大きな巨大施設。

門に掲げられたプレートには生物化学研究所の文字。

並盛にマフィアと関係してるような怪しげな施設があったら、俺が気付いてたはずなんだが。

とにかく中に入ってみるしかない。

堂々と入り口で入館料を払い見学者ですと言えば、ゲストバッジを貰って一般用の見学ブースに連れて行かれた。

つーか、普通に入れちゃうのかよ?!

普通すぎる館内を見て回っていると「関係者以外立ち入り禁止」の扉を発見。

こっそり扉に手を掛けて、鍵を壊して中に侵入した。

警報鳴らなくてよかったー・・・。

最初に見付けた更衣室でロッカーを漁り、どなたかの白衣を拝借する。

ラッキーなことにパス付きだった。

それから我が物顔で研究所内を徘徊して手掛かりを探す。

つーか、案外誰も気付かないものなんだな。




「君、さっきからウロウロしてるけど新人かい?」




ひいぃぃぃぃぃぃぃ!!

ポンと肩を叩かれ、煩い心臓の音を聞きながらゆっくり振り返ると、白衣のお兄さんが首を傾げて立っていた。

どうしていいか分からず反応に困った俺は適当に頷くと彼は苦笑した。




「ここは入り組んでるから分かり難いだろ?研修時に貰ったここの地図はどうしたの?」

「・・・あ、失くしてしまって」

「なるほど。新しい物をあげるから付いておいで」




何だかよく分かんないけど、滅茶苦茶いい人だー、この人。

案内されるまま近くの部屋に入ると地図を手渡され、館内の構成を凡そ把握できた。

彼の言う通り館内は複雑で分かりにくく、確かに地図が無ければ迷子になりそうだ。

そんな地図の中で小さなバツ印が目に付いた。

バツ印の下には第4研究室と書かれている。




「あぁ、そのラボで昔、バイオハザードが起きたらしくて、今も完全立ち入り禁止区域なんだ」




・・・ここだな。

正直勘としか言えないけど、怪しすぎるって。

俺は科学者じゃないからよく分からんが、そんな危険な部屋今も残しとくか、普通?

目的地を定めてお兄さんに礼を言った瞬間、ドカンと派手な爆発音がして地面が揺れた。

次に館内に緊急アラートが鳴り響き、俺達は廊下へ飛び出した。




「何だ?!」

「焦げ臭いな、火事か。さっさと逃げた方が無難だぞ」

「え?あ、君!」




親切なお兄さんに忠告して俺は第4研究室へと走った。

このタイミングで事故とか、見付かったか?!

ラボに続く立ち入り禁止の通路に入ると、鋼鉄で密封された扉が目に入った。

俺、普段より重装備だけど、やっぱこれじゃ抉じ開けられないか。

今の俺の装備と言えば、小型爆弾が三つとナイフが六本、拳銃が一丁にいつもの

鋼鉄が破れないなら、違う場所から入るしかない。

コンクリートの壁を叩きながら通路を戻り、音の変わった場所にナイフで小さな穴を開け小型爆弾を詰めた。

この爆弾には建物が崩れるほどの威力はない、・・・多分。

起爆後、想像以上の破壊具合に驚きながら、砂埃の向こうに部屋を見付けた。




「ビンゴ」




やっぱバイオハザードって嘘だな。

第4研究室は事故など微塵も感じさせなかったが、他の研究室とは完全に別世界だった。

隠されていたのに普通の測量室にしか見えないのが逆に恐ろしく、俺は適当に散乱してる資料を捲って驚いた。




「これは、モスカ?!」




おいおい、これって軍用の何とかって言ってなかったか?!

何でこんな所に・・・?!

奥の部屋に進めば進むほど、怪しげな機械が増える。

動揺してたのもあるが、さっきの火事で避難勧告が出てたから俺はすっかり油断していた。

背後の気配に気付くのが遅れ、音がしてようやく飛び退ると、今いた所を銃弾が突き抜けて行った。

慌てて作業台を盾にしてを構える。

敵は二人、いや一人か?

無鉄砲に撃ち込んでくる奴に心底怯えながら身を小さくする。

お前、何考えてこんな所でバカスカ撃ってんだよ!科学研究室だぞ?!

ひょっこり顔を出して弾が飛んで来る方向を確認し、相手の頭上の電球を撃ってやる。




「ちっ」




奴が割れた破片を浴びてる内に隣の作業台に転げ込んで、再び縮こまって弾幕を避ける。

つーか、舌打ちしたいのは俺の方だっての!

一気に片を付けようと小型爆弾を投げ付けたが、物凄いコントロールで撃ち抜かれ空中で爆破した。

爆風の中、仕込んであったナイフを投げ付けると資料を盾に逃げられる。

小細工は一切効かないか・・・。

互いに気配を窺う間が続き、タイミングを計って俺は飛び出した。

ボロボロの白衣を脱ぎ捨て銃を構えた俺は、同じく飛び出して来た相手の顔を見て死ぬほど驚いた。




「ザンザス?!」

?!」




お前、何でここにいるんだよー?!

思わず撃ちそうになった銃口を跳ね上げ、全く同じような顔をしているザンザスに俺は深く溜め息を吐いた。

マジで怖かったんだぞ、コノヤロー・・・。




「俺をここに呼び出したのはお前か、?」

「俺はスクアーロから剣が送り付けられて来たからここに来ただけだ」

「それは奇遇だな。俺もお前からカス鮫の隊服が送られてきた」




はぁー?!それじゃまるで俺がスクアーロ誘拐したみたいじゃん!!

スクアーロ誘拐して、俺とザンザス呼び出して、犯人は一体何が目的なんだ?

昔とあまり変わらないザンザスにチラリと視線をやる。




「まさかそれ信じてないだろうな、ザンザス」

「馬鹿が。お前がカスを攫う意味がねぇだろうが。まぁお前に殺されりゃ本望だろうとは思ったが」

「相変わらずだな」

「ハッ・・・、そう簡単に変わらねぇよ」




8年ぶりのザンザスは昔のままで、思わず小さく笑うと奴も口の端を上げていた。

久しぶりの再会を楽しんでいた俺達の前後で音がして、咄嗟にを構えた。

自然と後ろは俺、前はザンザスと背中を合わせる形になる。

俺の睨む先から現れた人物に目を丸くする。




「やっと見付けた!勝手に抜け出されては困ります、様!」

「執事?!」




おっ前、よくここが分かったなぁ・・・。

背後のザンザスは執事をジロリと睨み、俺に顎で前を示した。

今まで閉じていた奥の自動ロックの扉が開いており、その先に転々と明かりが燈る。

どうやら先に進めと言ってるらしい。

・・・行くしかないか。

ザンザス、執事と視線を交わし、俺達は奥へと足を進めた。


* ひとやすみ *
・明けましておめでとうございます!本年もどうぞよろしく願います!
 そんな訳であっさり再会。白衣やら背中合わせやら私のやりたいことを詰め込んだ話。笑
 並盛にこんな怪しげな施設がねぇ。へぇー・・・。笑
 はーてさてさて、三人が向かう先には何が待ってるのでしょうね。大詰めです。        (11/01/18)