ドリーム小説

俺だって友達を見捨てるほど人間腐ってねー。

だが、事件のことを執事に伝えるわけにもいかず、こっそりホテルを抜け出すことにした。

完全武装した今の気分はスパイ大作戦!

誰にも見付かることなく外へと抜け出すことに成功し、俄然やる気を出して振り返った瞬間、あっさり人に見付かった。

何でこんな所にいるんだよ、お前?!

買出し中だったのか、偶然出会ったロマーリオは目を丸くして俺を見ていた。




様!少しでいいから話を聞いて下さい!」




土下座しそうな勢いでロマーリオに縋り付かれた俺は、その迫力ありすぎる男の泣き顔に思わず頷いてしまった。

こ、怖すぎるよ、お前の顔!

そうして俺はロマーリオにドナドナよろしく車に連行されたのだった。

ごめん、スクアーロ、俺、辿り着けないかもしれない・・・。




「出過ぎた真似は承知の上ですが、どうかボスと話をしてやって下さい・・・!」

「話?何か話す様なことがあるか?」

「・・・ボスは、様がスペルビ・スクアーロと現れたこと、リングを奪って行ったことを気に病んでいます」




うえぇぇぇぇ?!

もしかして、俺、綱吉サイドにヴァリアーと組んでリング狙ってる奴的な位置付けされてんの?!

つーか、何で皆、いつも俺のこと真っ当に評価してくれないわけ?!

ちゃんとあの時のことや、俺達を嵌めようとしてる奴がいることとかディーノに話してやりたいけど時間が無い。

俺がうんうん唸ってる間に気が付けば、並中に着いていた。

え、ディーノ、並中にいるの・・・?

ロマーリオに案内されるまま屋上に行けば、ディーノと恭弥、それから部下が数名そこにいた。

あー!!そうだった!ディーノって恭弥の家庭教師じゃん!

ザンザスがリング狙ってないから争奪戦はないと思ってたけど、綱吉サイドは原作通りなんだっけ?!

一心不乱に戦ってる弟達を眺めてるとヒバードがパタパタ飛んできて俺の肩に止まった。




、おかえり』

「「 兄さん?! 」」




小首を傾げてさえずるヒバードの背を指で撫でてやると、ボロボロのディーノと恭弥が振り返って動きを止めた。

うおっ・・・何か嫌な予感がする・・・。

二人はそっくりに目を細めると、互いに向けてた武器を俺へと向けた。

ギャー!!二人がかりかよ!!




「どうして兄さんがリングを持って行ったんだ!」

「どうして家に帰ってこないの、兄さん!」

「ツナ達見捨ててヴァリアーに行ったりしないよな!」

「絶対連絡だけはするって言ったよね!」

「「 聞いてるの、兄さん?! 」」




ちょ、ちょっと待てよ!

そんないっぺんに話されても聞き取れないから!

怒ってるのは分かるけど、そんな本気で攻撃してこないで!

ディーノの鞭を恭弥のトンファーで受け止め、恭弥の蹴りを片手で捌いてディーノを避ける。

ううう、やばい、二人は処理出来そうにない・・・!

反撃したいけど、肩にヒバードがいて上手く動けん。

というか、修行の成果か、恭弥の動きが鋭くなってる。

あぁ、もう、無理!

鳥ちゃん、悪いんだけど、向こう行っててくれる?

必死な視線に怯えたのか、ヒバードは小さく鳴いて肩から飛び立った。

鞭相手に遠距離は不利、ディーノの鞭なら避けるより軌道を変えた方がいいか。

思うや否やを鞭の先にぶっ放して軌道を変え、その隙に一気に懐に飛び込んだ。

驚くディーノの利き腕を掴んで足を払って、走り来る恭弥にディーノをぶん投げた。

二人いっぺんに扉に叩きつけられて、ようやく弟達の怒涛の攻撃が止んだ。




「いってぇ・・・」

「く、う、ちょっと、早くどいてくれる」

がなければやばかったな」

「「・・・・・・」」




な、なんだよ、その目は・・・!

何だか二人にものすごーく睨まれてる俺は咳払いして、すっ転んでるディーノと恭弥に視線を向けた。




「悪いが、全部説明してる時間が無い」

「・・・兄さん、これだけ答えてくれ。兄さんは今回の事件に関係してるのか?」

「ディーノ・・・」




昨日までの俺なら関係ないと即答してたけど、スクアーロが誘拐されて俺にアレが届けられたってことは

おそらく関係ないとは言い切れないだろうなぁ。

真剣な目で俺を見るディーノに申し訳なく思いながら、俺は溜め息交じりに答えた。




「・・・関係なくはなさそうだ。偽リング奪った所で問題はないと思っていたんだがな」

「偽物って知って?!」

「あぁ。ディーノ、悪いが恭弥を頼む。俺が見れたらよかったんだが、こっちも事情がある」




ディーノは納得のいかない顔をしていたが、渋々頷いてくれてホッとした。

やべー。結構時間経ってる。

腕時計から視線を上げると不貞腐れた表情の恭弥がいた。




「ちゃんと説明してくれる?この人が来たのと何か関係あるの?」

「恭弥、今はディーノと修行するんだ」

「いやだ。修行は兄さんからしか受けない」

「俺は無理だと言っただろう。お前の我儘に付き合ってる暇はない」

「やだ」




恭弥の隣をすり抜けようとしたが、扉を塞がれて俺は目の前の弟を見た。

こんな聞き分けのない恭弥を見たのは初めてだ。

正直、構ってあげたいが、スクアーロの命が掛かってる今、ここで引く訳にはいかない。

つーか、もう死んでたらどうしよう・・・。




「いい加減にしろよ、恭弥。俺と戦いたいのなら、まずディーノを倒してから言いに来い」




焦りと不安から物凄く低い声が出た。

というか、俺と恭弥の邪魔した挙句スクアーロにまで手を出した奴を許してなるものか!

イライラしながら不意に恭弥に視線を向けると一歩後ろに下がられた。

え、何で?!

時計に視線を落として俺は泣く泣く恭弥の横をすり抜け逃走した。

うわーん!恭弥に嫌われたー!!


* ひとやすみ *
・久しぶりの恭弥くんでした。主人公うっかり綱吉側の存在忘れてました。笑
 身の回りで何だか原作と違うことが起こるもんだから、まさかこっちが原作通りに
 進んでるとは思っていなかったようです。そしてやっぱり兄様最強!笑
 敵に八つ当たりした兄様に怯える弟。今年最後もやっぱり不憫な勘違いで締め括りましょう!
 素敵な1年ありがとうございました!来年もよろしくです!では、よいお年をお過ごし下さいませ!   (10/12/31)