ドリーム小説

いくら何でも遅い、遅すぎる。

スクアーロが帰国して既に三日が経ってるというのに、ザンザスからもスクアーロからも連絡が来ない。

え、俺、忘れられてる・・・?

いやいや!だってスクアーロ帰ったら絶対連絡するって言ってた!

ホテルを転々としながらクロームと修行する毎日を送っていたが、何かがおかしいと胸の奥がざわつく。

そういえば、おかしいと言えば・・・。




「最近、あの赤いスーツを着ていないな、執事」

「え?はい。少し発作的にメイド服が着たくなりまして」




・・・気分転換だと思えばいいのか?

メイド服が発作的に着たくなる気持ちはよく分からんが、確かに彼女にはよく似合っている。

ニコリと笑った執事の目の下に隈を不意に発見した。

結構クッキリ見えてるということは、こりゃ随分寝てないな。

今まで全然気付かなかった。

というか、女の人の化粧のテクニック半端ねー・・・。

やっぱ俺が無茶ばかりさせてるから、疲れてるんだよな。




「ティエラを呼ぶか?そうすればもう少し楽になるだろう?」

「ダメです!・・・・・あっ、いえ、ティーに迷惑掛けられませんから」

「だが、」

「それにティーは今、手が放せないと思いますよ?向こうで少し問題があったようですし」

「大丈夫なのか?」

「はい。今朝も様に会いたいとぼやいてたくらいです」




苦笑する執事にホッと息を吐いた。

気の遣い過ぎだったか。

仕事に戻ろうかと逡巡した所で部屋の呼び鈴が鳴った。




「いい。俺が出る。疲れてるんだろ?」




立ち上がろうとした執事を止めて、代わりに客人を出迎えるとホテルマンがそこに立っていた。

丁寧に頭を下げたホテルマンはお届け物ですと、長細い箱を差し出した。

ホテルのフロントに届けられたそれの宛名は確かに俺の名前で、差出人は何とスクアーロだった。

彼に礼を言って部屋に戻ると執事と目が合った。




「届け物ですか?」

「あぁ。問題ない。頼んでたものが届いただけだ」




連絡を待ってはいたが、まさかこんな形で来るとは思わなかったが。

それにしても長いな、これ。

執事に部屋に籠ることを伝え、部屋を閉め切ると早速ダンボールの開封に取り掛かった。

開けてみてビックリした。




「え、剣・・・?」




中に入っていたのはスクアーロが使っている剣とそっくりな物で、他には何も入ってない。

・・・え、説明ぐらいしろよ!何これ?!

俺、得物は剣じゃないし、貰っても困るんだけど。

・・・・・・・ん?

何か傷だらけじゃないか、この剣?

ははは、どこまでリアリティ追及してんの?

まるで本当にスクアーロが使ってたみ、た・・・い・・・・?

・・・え?

ほ、本物じゃねーよな・・・?

そういや、この傷、抉ったような痕にも見えるし、ここ何だか赤黒くなって・・・。

無理無理無理無理!お、俺には本物かどうかなんて分かんねーよ!

そうだ!ティエラなら分かるかも!

俺は慌てて携帯を探して、ティエラに連絡を取った。




『はーい!こちら、管制代理ですー!』




・・・・・・・・だれ?

何かやたらファンシーな女の子が出たんですけど?!

つーか、今、代理って言った?




『あれぇ?そちらも代理ですか?いつものお姉さんじゃないですねー』

「あぁ、そんなものだ」

『じゃあ知らなくて当然ですかね。彼女、失踪したらしいですよー。一週間くらい前に。だから私が代理ですー』




ティエラが失踪?!

呆然とベッドの淵に座り込んだ俺は何事か叫んでる喧しい電話を切った。

執事がこれを知らない、はずがないな・・・。

代理の彼女が言ういつものお姉さんは執事のことだろう。

執事が抱えてたのはこれか?

あんなに寝不足になってまで、俺に隠すことか?

それに、スクアーロの方も解決してない。

もし、あれが本物だとしたら、剣士の魂である剣がなぜここに送られてくる?

スクアーロはどうしてるんだ?

何なんだ・・・、一体、今、何が起こってる?!

山積みの問題に頭を抱えて深く息を吐く。

もうこの際、全部執事に相談してみる、か・・・・・?




「・・・・・出来るわけがない」




ティエラのことであんなに疲れてる彼女にこれ以上負担を掛ける訳にはいかない。

せめてスクアーロの件は俺が何とかしないと・・・。

ぼんやりと視線を上げて、プレゼントの箱を眺める。

箱に張られた配達伝票が目に留まり、何か違和感を覚えた。

・・・ん?スクアーロにしては達筆というか、アイツ日本語書けんの?

大体、差出人住所、並盛なんだけどー?!

完璧、嘘じゃん!!

誰だよ、スクアーロ騙って剣送ってきたの!

これもしかして「スクアーロ誘拐して一緒に並盛にいるから君おいでよ!」ってことかー?!

はい、罠!絶対、罠!!

何、下手打ってんだよスクアーロのバカヤロー!!

つーか、

行 き た く ね ぇ ぇ ぇ!


* ひとやすみ *
・話があちこちに飛んで纏まらん!本当に文章って難しい・・・!
 賽は投げられた。まさにそんな感じ。そろそろかむい編も終盤にさしかかろうとしてます。
 リング編は実質かむい編と後編の二本立てでお送りする予定です。
 はてさて、このどうにもならないオリジ設定、どうなることやら・・・(恐々           (10/12/31)