ドリーム小説

数年ぶりにに逢った。

昔から無駄に整った顔していたが、歳を重ねて深みが出たのか美しさに数倍磨きが掛かってた。

スーツと髪型のせいかも知れないがあれじゃ歩く災害・・・、いや、犯罪だ。

俺は飛行機から見える景色に目を向けながら、アイツの周囲に同情した。

と別れた後、俺はすぐにヴァリアー本部に連絡を入れてイタリアに飛んだ。

機内で着陸態勢に入るとのアナウンスを聞きながら、俺は頭痛の種に思いを馳せる。

今、門外顧問のリングが動く意味がどこにある?

後継者について九代目と敵対している訳でもないだろうが。

オカマの話によると九代目も家光の行動に異を唱えてるらしいし、何を焦ってるんだ?

・・・誰が糸を引いてやがる?

門外顧問自身のパフォーマンスか、本人は違うと言っていたがの可能性も否定できない。

クソボスだって・・・、いや、アイツの頭にゃ今はのことしかねぇ。

第三者ってこともなくはないが、今んトコ一番怪しいのはやはり九代目か。

チェルベッロだか何だか知らないが、胡散臭すぎるぞぉ。

問題なくイタリアに到着すると、簡単なチェックを受けて空港を出た。

タクシーを拾って本部に戻ろうとして、すぐに異変に気付いた。

俺をつけてる車がいやがる・・・。

車が通れない細い路地へ曲がって背後を振り返る。




「ゔぉぉい!俺に何の用だぁ?!」

「スペルビ・スクアーロ。悪いけど一緒に来てもらうよ。九代目が待ってる」

「誰だ、貴様はぁ!」




角から現れた男は燃えるような赤毛に青い瞳を持ち、どこか不思議な雰囲気を纏っていた。

大通りに止まった車の扉を開けると、男は丸められた汚い紙切れを俺に投げて寄越した。




「僕の名前はシト。どうする?来る?来ない?」




肩を竦めた男を警戒したまま紙切れに視線を落として思わず目を見開いた。

死炎印が煌々と燃えるその紙には『九代目直属チェルベッロ機関長 シト』と九代目の字で記されてあった。

コイツがあの怪しげな機関の・・・?

これはどう考えても罠だな。

だが、コイツの人を馬鹿にしたような目が気に食わねぇ。

着いて行って、逆にコイツを喰ってやる。

奴の面白がるような視線を鼻で笑い、俺は車に乗り込んだ。







***






「疲れている所済まないね、スクアーロ君。報告は受けているよ。リングを回収してくれたそうだね」

「この状況でおいそれと渡すつもりはねぇぞぉ!」

「あぁ、君が持っていてくれて構わないよ」




何考えてやがるんだ、このジジイは・・・?

シトという男に案内された部屋には本当に九代目がいた。

部屋の窓は締め切られ、空気が悪いのかどことなく変な臭いがしてる気がする。

つーか、何であの赤髪野郎はここで寛いでんだぁ?!

ワインを次から次へと試飲して遊んでるシトを睨むと九代目が俺の視線を辿って声を上げた。




「あぁ。実は君を呼んだのは私というより彼の方なんだよ」

「あ゙ぁ?!大体チェルベッロってのは何なんだ?!要するにただの何でも機関じゃねぇか!」

「そう、そんな感じ。契約があるから僕はここにいる」

「契約だと・・・?おい、お前ら何を企んでる?」

「まぁ、ワインでも飲んで落ち着きなよ」




シトはボトルを掴んで空いているソファに座ると空のグラスをテーブルに置いた。

そして俺の目の前で奴はボトルに白い粉を流し入れ、そのままワインを三つのグラスに注いだ。

コイツ・・・!!堂々と薬入れやがった・・・!!!

俺の視線に気付いたシトは目で笑い、グラスを指で押して俺の前に置いた。




「毒じゃないよ。九代目の健康を気遣っての漢方ってとこ。飲む?飲まない?」

「飲むわけねぇだろ!」

「残念。君も顔色悪いから飲んだ方がいいのに」

「私はいただこう」




九代目はそう言うとあっさりとワインを飲み干し、シトもそれを見て満足そうに己のグラスを飲み干した。

一体、何なんだコイツらは?!

クソッ・・・!理解不能すぎてだんだん頭が痛くなってきた。




「スクアーロ君。私はボンゴレのためにしか動かない」

「・・・ッこの気違い野郎と組むのがボンゴレのためだと?!じゃあ門外顧問の暴走に身に覚えはないんだな?!」

「あぁ、それ仕組んだのは僕」

「ふざけ・・・っ?!」




立ち上がった瞬間に視界が歪んで、膝が折れた。

クラクラする頭を押えながら俺を見下ろす九代目とシトを睨む。

クソッ!俺は何も飲んでないのに何故?!




「遅効性だけど強烈。流石ヴァリアー、クジラ一頭動けなくなるはずなのにな。君がサメだからかな?」

「な、んで」

「言ったでしょ?飲んだ方がいいのにって」




ボトルを振るシトに思わず目を見開く。

まさか、あの粉は中和剤?!

俺は一体どこで・・・。




「この部屋に焚き染めてある香だよ。今君にヴァリアーに戻られると困るんだ」

「リ、ングが・・・ね・・・らいか・・・?」

「リングなんてどうでもいいよ。僕が欲しいのは。悪いけど餌にさせてもらうよ」

「!!」




思考が拡散して何も考えられない。

白じむ視界が眠気を誘い、目蓋に重りが付いているように閉じていく。

俺は深く沈んでいく意識の中、小さく呟いた。

・・・・・・・来るな、


* ひとやすみ *
・あーあ。また出ちゃいましたよ、オリキャラ。中々目に痛い色合いのシトです。
 まぁかなり怪しげですが、今後の活躍に期待ということで。笑
 赤髪と書くと何だか某海賊漫画の四皇を思い出すけど、そんなカッコいいものじゃないな。
 そしていきなり鮫がピンチです!誰か助けてあげる人がいてくれるといいんですけど・・・。
 そろそろ話発展しないとやばいですよねー。がんばろ。                     (10/12/31)