ドリーム小説
「これ以上の譲歩は出来ない。以上だ」
「ま、待って下さい!社長!」
えー、秋真っ盛りの今現在、皆様いかがお過ごしでしょうか?
俺は今、高層ビル数十階フロアにて会議という名の異種格闘技戦のおかげで瀕死寸前まできてます。
うわーん!!俺、社長とか無理!
こんな針の筵みたいな会議もうヤダー!!
物凄い緊張感から逃げるように会議室を出ると、後ろに執事と草壁、その他役員がわらわら着いて来た。
つ、ついて来るなよー!
エレベーターのボタンを連打して飛び乗ると、振り返ると役員達の目、目、目。
うぅ!これ以上、俺にはどうしようもないんだって!
「決定事項だ」
なげやりでそう言うと、スルリと乗り込んできた執事と草壁が閉扉のボタンを押して、エレベーターは降下し始めた。
狭い空間に見知った三人だけになると、俺は一つ溜め息を吐いてワックスで撫で付けられてる髪に手を伸ばした。
会議に出るならそれらしくと言われてスーツを着たは良いが、どう見ても七五三なんだけど?!
せめて髪型だけでもパリッと決めたくて右側の前髪を残してオールバックとかしてみたけど、俺やっぱ浮いてるらしい。
だよなー、こんなチグハグ社長、俺もヤダもん!
あぁ、擦れ違う人達の視線がすっごく痛い・・・。
エレベーターを降りて人混みに紛れて安堵の息を吐くと不意に騒音が耳から遠退いた。
―――はやく、
・・・・え?
音だけが全て消え、澄んだアルトの声が鼓膜を叩いて、俺は思わず足を止めた。
どうやら音がない世界にいるのは俺だけらしい。
周りは特に変化もなく変わらず忙しなく歩き続けている。
―――早く、僕の所へおいで、。
名前を呼ばれて辺りを見渡してみたが、それらしい知り合いは見当らなかった。
怪訝そうに声を掛けてきた執事の声で、騒音が一気に俺の元へ帰って来た。
何だったんだ、今のは・・・?
その不思議現象に首を傾げた瞬間、ドゴォォン!と派手な爆発音が聞こえ足元がグラリと揺れた。
悲鳴の上がったエントランスを足早に抜けて、ガラス張りの壁を見上げると駅方面で爆煙が上がっていた。
「草壁、お前は社内を。執事は俺と来い」
「「はい」」
何でか分かんないけど行かなきゃいけない気がして執事と共にビルを飛び出した。
駅で爆発とか爆破テロか?!
逃げる人の波を逆走して何度も続く轟音を頼りに角を曲がると、そこにいた思わぬ人達に驚いて足を止めた。
はぁ?!お前らこんな所で何してんの?!
何だか凶悪な顔したスクアーロとディーノ、それにボロボロの綱吉達に新顔バジルが大暴れしていた。
さっきの爆発やら轟音はお前らか!!
てか、これってバジルがボンゴレリング持って来た原作筋じゃね?
怪我してる綱吉を余所に話し込むスクアーロとディーノに小さく息を吐いて、俺は二人を止めに歩き出した。
「お前をここでぶっ殺すのも悪くない。だが同盟ファミリーとやりあったとなると上がうるせえ。
今日のところは大人しく・・・・・・帰るわきゃねぇぞぉ!!」
「ぎゃっ」
「手を放せ!!」
一触即発な雰囲気の中、スクアーロが綱吉の髪をわし掴み、怒ったディーノが鞭を振るった。
あ、こら!何してんだ!!
俺が二人の間に飛び込むのと同時に、スクアーロが仕込み火薬を放って爆煙が上がる。
煙で見えない間に綱吉を解放させ、俺はスクアーロに説教する。
「もう少し周りに配慮しろよ、スクアーロ」
「?!」
「話は後だ。とりあえずここから離れるぞ。執事!」
「お任せ下さい」
煙で何も見えないが、近くにいるだろう執事に声を掛けるとすぐさま返事が返ってきた。
原作の邪魔する気はなかったんだけど、今スクアーロ捕まえとかなきゃすぐイタリアにとんぼ返りしちゃうだろ?
とにかくスクアーロと話がしたかった。
だってお前がここにいるってことはアイツが目を覚ましたってことだ。
ゆっくりと煙が晴れるとディーノとその他大勢の驚いた顔が俺達を迎えてくれた。
うぅ。やっぱ注目されんのはヤダなぁ・・・。
「兄さん?!」
「貴様とに免じてこいつらの命はあずけといてやる」
スクアーロの楽しげな声を聞きながら、俺は綱吉が落としたリングボックスを拾い上げ、中身を確かめた。
これがハーフボンゴレリングかぁ。
偽物とか言われても分っかんねーな・・・。
てか、もしここでこのリングをスクアーロに渡さなければ、争奪戦を遅らせることが出来るんじゃないの?
いや、まぁザンザスが十代目ポジションを狙ってるならいずれ起きるだろうけどさ。
ジーっと観察していると執事が足が確保出来たと俺を呼んだ。
俺はよくよく考えて、何だか不思議な顔で俺を見てくる一同に視線を向けた。
「悪いがこれは俺が預かる」
「あぁっ、ボンゴレリングが・・・」
これ偽物だし俺が持って行ってもボンゴレ側には問題ない、はず。
とりあえず今は逃げるが勝ちだ。
バジルの悲鳴のような声を背後に俺達はその場を離れた。
***
執事に案内されるまま近くのホテルに手間なく入ると、スクアーロは隊服のボタンを外してソファに腰掛けた。
俺は慣れない髪形を崩して、すぐさま口を開いた。
「それで、お前がここにいるってことは、ザンザスが起きたんだな」
スクアーロは目を丸くしているが、別にそんなに驚く事じゃない。
俺がそれを知ってるのは原作知識だし、それに最近ヴァリアーが派手に動き出したと連絡を受けてたからな。
硬い表情で頷いたスクアーロに俺は本題を切り出した。
「ザンザスは何のためにお前をここに送り込んで来たんだ?」
正直な所、俺は原作通りザンザスが次期ボンゴレボスの座を奪いに来たとは思えなかった。
だって、ゆりかごで俺を庇って悪役演じるような奴だぜー?
わざわざ日本の幼き十代目候補を消しにスクアーロを送り込んできたとは思えない。
というか、思いたくない。
俺の問いに分からない方がおかしいとばかりに、スクアーロは呆れた顔をした。
「・・・本当に分かんねーのかぁ、?」
「あぁ」
「ゔお゙ぉぉい!!テメェがクソボスに吹き込んだんだろーがよ!」
「?」
「俺はジャッポーネにいるを探してこいって言われてここまで来たんだぁ!」
・・・・・・・・は?
心底分からないという顔をしてたのが悪かったのか、スクアーロは不機嫌そうに顔を歪めた。
え?何?俺を探して日本フラフラしてたの、お前・・・?
* ひとやすみ *
・お待たせいたしましたー!!ついに新編始動です!!
リング編でヒーロー完結予定なので、ごちゃごちゃ弄りたくるでしょうが
お付き合いいただけると嬉しいです!!ようするにオリジナル入ります!ご注意下さいな!
久しぶりにヴァリアー書けてワクワクしてます!さーて、はじまりはじまり! (10/11/10)