ドリーム小説
骸と綱吉が戦っている映画館に向かっているのだが、よくよく考えたら階段全部潰してるから昇れないんだよね。
まさかあそこへ行けって言うの・・・?
爆音が止まない一階非常階段の方角を見て俺は背筋が凍った。
・・・・・・絶対嫌だ。
隼人と千種の戦いに乱入とか嫌すぎる。
と言う訳で、俺は今、木に登っている。
二階の窓の高さまで来た時、木から建物に飛び移ったのだが、壁を走るパイプがいい感じに足場になっていて
俺はそれを調子に乗って登ってしまったのだ。
おかげでドえらい目に遭っている・・・!
「
パイプ折れたー!!!」
二階の窓割って飛び込むより、屋上まで上がって三階の映画館に降りた方が安全じゃない?
とか、思ったさっきの俺の馬鹿野郎!!
屋上目前で突然パイプが折れて俺は宙に放り出された。
慌てて折れたパイプを掴んだが、壁に沿って直角に折れ曲がったパイプは留め具で辛うじて止まっているものの
ギィギィと揺れていつ落ちてもおかしくない。
どどど、どうしよう?!
俺の握力もそろそろ限界だ・・・!!
その時だった。
頭上のパイプがカンと音を立て、目の前をネジが落ちていった。
・・・・ん?ネジ?
パイプを揺らさないようゆっくり見上げると頭上から分解されたフェンスが降って来ていた。
ギャー!!これは死んだー!!
ガツンとパイプに衝撃が加わった途端に俺の指はパイプから離れ、建物に叩き付けられた。
気が付けば目前に迫る窓ガラス。
慌てて顔を庇えばガシャーンと派手な音を立ててガラスが割れ、俺は窓を割り建物の中へ転がり込んでいた。
コンクリートの床をゴロゴロと転がり、飛び起きる。
ぶ、無事か?!うお、奇跡じゃね?!俺、生きてるー!!
無傷な身体に万歳三唱しようかとした瞬間、俺はようやく室内の視線に気付いた。
「さん?!」
「どうして三階の窓から?!」
も、目的地、着いたみたい・・・・。
どうしよう。
そっと来て見守ってる予定だったのに、俺、超目立ってる。
綱吉と骸、リボーンの痛いほどの視線を浴びて困っていると、血を流して倒れているフゥ太とビアンキが目に入った。
・・・骸、お前、ホント最低。
俺がいない間にフゥ太にまたマインドコントロールを掛けて、ビアンキを刺させたな。
てか、女の子の腹刺すとかマジ有り得ない。
ビアンキの珠のお肌に痕残ったらお前責任取れよコノヤロー!
何だそれ?!羨ましいじゃねーか!
訳の分からない嫉妬を爆発させた俺は骸を睨んだ。
「不愉快だ。誰がこんなことを許した?」
俺、言ったよな?
フゥ太傷付けたら許さないって。
ましてや、ビアンキまで刺して、本当にお嫁に貰うとか言ったら俺本気でブチ切れるかんなー!!!
羨ましすぎるんだよ、コノヤロー!!
目をかっ開いて骸を睨み付ければ、醜い嫉妬に引いたのか骸が一歩後退した。
するとどこからか舌打ちが聞こえ、リボーンが口を開いた。
「、お前、敵じゃねーのか?」
はぁ?!まだ勘違いされてたの、俺ー?!
敵な訳ないじゃん!!
日々慎ましく生きてる俺が敵を作るような生活するはずないでしょ?!
平 穏 が ほ し い ん だ か ら ! !
けっこうヤバイ綱渡りをしてたらしい俺は背筋を震わせ、引き攣る顔で笑って首を振った。
「俺に敵はいない」
暗に敵を作るような危ないことしてませんよーと仄めかせば、リボーンが沈んだ声で相槌を返した。
何、その微妙な反応。
てか、それより、骸に鉄槌を下さねば!!
好き放題やったお仕置きをしてやらねーと気が済まん!!
だから・・・、
「
その馬鹿に現実を教えてやれ、綱吉」
他力本願?
うるせいやーい!!俺には無理に決まってるだろ?!
だから綱吉大明神様!代わりに痛い目見せてやってちょーだい!
不満そうな顔をした骸が目を細めて俺を見る。
「それは僕が彼に劣ると?」
「言っただろう。お前は何も分かっていない」
今のお前は誰かに劣ると言うより、何かおかしいとしか思えないんだよ。
痛い目見ないと分からないなら、無理にでも目を覚まさせるしかないだろ、・・・・・綱吉が!
俺が綱吉に笑いかければ、骸は額に手を当てておかしそうに笑うとオッドアイを鋭利に光らせて立ち上がった。
「まさか僕が直接手を下すことになるとはね」
ソファから立ち上がって降りてきた骸は、瞳に「四」の字を宿すと容赦なく綱吉を槍の柄で突きまくった。
コイツ、恐ろしいー・・・。
一瞬の出来事で見えていなかった綱吉の身体にたくさんの傷が出来る。
・・・俺、あれ受けたんだよなー。
しかも、全部急所を外してある辺り、遊んでるとしか思えない。
「どうか、しましたか?」
ニヤリと笑った骸に俺は血の気が引いた。
コイツ、マジで素で外道を行ってるよ・・・。
呆れながら六道輪廻について話している骸の声を聞いていると、いつの間にかリボーンが隣に立っていた。
二人の会話を補足しながら、リボーンは俺に声を掛けてきた。
「お前、何で骸と一緒にいたんだ?」
何でってここには恭弥がいるし、フゥ太も心配だし、綱吉達も気になるし、骸達も見守りたかったから。
心配事が揃いも揃って黒曜ランドに集結してるから、ここから離れられなかったんだよ。
まぁ俺何もしてねーけど、これでも俺なりに一生懸命考えて動いてたんだ、一応。
出来れば双方鍛えられたらいいなぁって。
あ、これって、つまりそういうことか。
俺はリボーンの問いに対する答えを見付けて苦笑した。
「お前と一緒だ」
止まらない笑いを堪えながらそう言うとリボーンは意外そうな顔をして、なるほどと呟いた。
ようするに、俺はアイツらの家庭教師を気取ってたんだ。
原作知識で回避出来たはずの未来を選んで、発破を掛けて、戦いへの道に誘導した。
自分の弱さを棚に上げて、アイツらを利用した自分が情けなくて笑いが止まらない。
そうなるように仕組んだのは俺なのに、正直敵でも味方でもない立場を取るというのは、かなり辛かった。
アイツらが傷付くのも傷付けるのも黙って見ていなければならない。
家庭教師ってしんどいなぁ。
俺、リボーンを尊敬するよ。
「さあ、次の能力をお見せしましょう」
ふと骸に視線を向けると、奴は綱吉に向かって楽しそうに笑って右目を「一」に変化させた。
骸の幻覚で地面がガラガラと崩れていく中、俺は大きく溜め息を吐いた。
全く、お前は本当に手の掛かる生徒だよ、骸。
* ひとやすみ *
・これ以上ないほどド派手な登場の兄様!
やってたことはただ壁を虫のようによじ登ってただけなのに。笑
そして相変わらず勘違いされてる予感。モテないことを僻んでるだけなんだよ本当は!笑
先生には向かない兄様、リボーンを尊敬!さて、あと2話くらいですいか編は終わるかな? (10/09/24)