ドリーム小説

逃げるようにフゥ太を探しに来たのはいいけど、どこにいるんだよ。

まぁ、多分あの騒がしい所なんだろうな。

あんま行きたくないけど、フゥ太迎えに行かなきゃ骸達に捕まって何されるか分かんねーもんな・・・。

森の影から隠れるように窺ってるとフゥ太と綱吉が何か喋ってるのが聞こえた。




「僕・・・もうみんなのところには戻れない。僕・・・骸さんについていく・・・」

「な・・・何言ってんだ・・・?」

兄もいるから平気だもん」

「え」




うえぇぇぇ?!そこで俺の名前出しちゃうー?!

な、何か、俺的に骸の仲間みたいに聞こえたんだけど、そこんトコどうなの?!

何かスッゲー俺の名前に食いついた綱吉達に冷や汗を流していたら、突然甲高い声が聞こえた。




!』




バーズに寄り添ってた黄色い鳥が突然俺の名前を叫び始めた。

誰だよ、俺の名前教え込んだ奴!!

そして恐ろしいことに森に隠れていた俺の方へと飛んできた!!

ギャー!!来るな!!バレるだろ!!

・・・・・・あ、綱吉と目が合った。




さん!!何でここに?!」

、フゥ太を返して」

「出来ない」

「何でだよ、さん!」

「・・・察しろ」




お前なら分かるだろ?

チラリとリボーンに視線をやると円らな瞳がキラリと光ってなるほどなと小さく呟いた。

よかった分かってくれたー。

このままフゥ太返しても罪悪感は消えないから、何としても綱吉に説得してもらわなきゃなんだよ。

理解して貰って嬉しいよ。

ニコリと微笑めば、隼人も分かったと大声を上げた。




「さてはテメェが黒幕だな?!」




何でそうなるー?!

六道骸を操ってるとか何とか言ってる隼人を何とかしろとリボーンを見れば、難しい顔ながらも頷いてくれた。




のマフィア嫌いは有名だからな。骸と手を組んでてもおかしくねぇ」




お前もかー!!!

いやいやいやいや!おかしいだろ?!

フゥ太の話をしてたよね、今?!

何で俺が敵みたいな話になってんの?!

あーもー、コイツらの思考回路が怖すぎる!

・・・・・・・逃げよ。

俺はフゥ太の手を引いて森に引き返そうとして、綱吉を見た。




「敵を見誤るなよ、綱吉」




マ ジ で !!

頼むから俺に向かって来ないでね?

言い逃げ上等とばかりに俺達が走り出すと、綱吉が慌てて追いかけて来た。

ぎゃー!!来るなー!!

途中、骸と千種に遭遇してバトンタッチした俺達は大人しく建物に戻る事にした。

だからそれからそこで起こった戦いについては知らない。






***






それからしばらくして俺はまたあの森にいた。

見下ろした先には意識のない人間ばかりが転がっている。

どうやら綱吉達はランチアを倒して、骸の元に向かったらしい。

フゥ太を残し一人でこんな所に来たには理由がある。




「実は俺、解毒剤持ってんだよねー・・・」




小さな小瓶を片手に俺はランチアの前に立った。

いや、実は千種の手当ての時に拝借してたり?

呻くランチアに無理矢理飲ませると、しばらくして表情が和らいだ。

し、死なねーよな・・・?

口元に手を当て呼気を確認すると安堵して、武に目を移す。

意識はないが、そう酷い怪我でもなさそうだ。

どうやらランチアの鉄球を食らった時に山本のバットが盾になってくれたらしい。

次に酷い有様のM・Mに目を向けて、今更ながら女の恐ろしさに震える。

ビアンキ怖ェェ!!

とにかく口内の全て吐かせて水を含ませてまた吐かせる。

それを何度か繰り返して身なりを整えて、情けなく伸びてるおっさんに目をやる。

・・・バーズはいいか。

てか、お前の鳥何とかしろよ。

未だに俺の肩から離れないんだけどコイツ。

可愛く小首を傾げてる鳥に溜め息を吐いて、爆音の続く一階に視線を向ける。

原作通りならあそこで足止めするために、隼人と千種が戦っているはずだ。

隼人も千種も大丈夫かなぁ・・・。

まぁ、あの近くには恭弥もいるし犬も来るだろうから大丈夫だと思うけど、あいつら皆ボロボロだからなぁ。

すると背後で小さな声が聞こえ、振り返った。




「・・・、」

「ランチア、解毒はしたが動くなよ」




目だけで同意したランチアは苦笑して息を吐いた。

しかし、こんなボロボロで目を覚ますとは中々強靭だな、お前。




「また・・・・、仲間のも、とへ、行けな、かった・・・・」

「馬鹿。来るなってことだ」

「そう、だな。・・・許さ、れる、わけがない・・・」

「違うだろ」




俺はあまりに根暗なランチアに呆れて溜め息を吐いた。

操られた人間はオプションに根暗が付いてくんのか?

お前のせいじゃないだろうよ。

そりゃ罪悪感はあって当たり前だけど、それだけで諦めてる方が罪だ。




「悪いと思うなら謝れ。謝っても足りないなら罪を背負って生きろ」




ホント馬鹿だよ、お前もフゥ太も。

勝手に許される訳がないと思ってんのは、お前達だけなんだよ。

それを判断するのは俺達や被害者であってお前じゃない。

・・・まぁ、いくらそう言ってもお前は納得がいかないんだろーけどな。

悲壮感たっぷりで俯くランチアに俺は呆れ返って、真っ直ぐ視線を向けた。




「自分の人生諦めるくらいで許されると思うなよ」




ストイックなお前には慰めよりもこっちの方が効くだろう。

だから生きろ。

お前が許されたくないのなら俺がいくらでも責めてやるよ。

それでランチアが生きやすくなるのならな。




「ふ、はは、・・・そうだな。死ぬくらいで許されはしないな。俺達が憧れたに言われ、たら、当分生きるしかない、な」

「憧れ?」

「ボ、スがいつも、お前のように強くなれと言って、いたんだ。だか、ら俺は同い年のお前に憧、れた・・・」




俺に憧れるとかどんなだよー?!

そのまま眠ってしまったランチアに小さく息を吐いて、俺は笑った。

お前、綱吉に逢えてよかったなー。

お前がそう思えるようになったのも、全てを包み込んでくれる大空がいたからだぞー。

デッケーなぁ、ボンゴレ]世!

俺は頭上の青空を見上げて、映画館へと足を踏み出した。

さぁ、そろそろ終幕だ。


* ひとやすみ *
・相変わらずトバッチリ人生を謳歌しております。笑
 彼なりにいろいろ考えて骸の傍にいたんですが、またも勘違いされております!
 しかも大体その勘違いを逆方向に説得力ある説明で援護するのがリボ様っていうアレ。笑
 実はよくよく計算してみるとランチアと主人公同い年だったっていうね!           (10/09/15)