ドリーム小説

恭弥はを見返すために自力で犯人を見つけ出し、倒すことを誓っていた。

朝早くから家を飛び出して向かった先は黒曜中。

形振り構っていられなくなった彼は直接学校に乗り込んで首謀者を割り出そうとしていた。

学校に着いてみれば、並中と同じようにガラの悪い連中が校門前をウロウロしている。

とにかく彼らはタイミングが悪かった。

犯人が見付からず兄にまで心配されて、恭弥の苛立ちは限界にまで達していた。

これ幸いと楽しげに黒曜生を咬み殺し、辛うじて情報を手にした恭弥は時刻を確かめて元来た道を戻る。

犯人の目星は付いた。

だが、とりあえず登校時刻なので一度並中に戻って仕事をこなそうとする恭弥はどこまでも風紀委員だった。



並中の周りを見回る風紀委員達を見ながら恭弥は顔を歪めた。

登校してくる生徒の数が少ない。

登校時間が過ぎればすぐにでも黒曜センターへ向かうつもりだが、からの連絡が一向に来ない。

渡したい物があると言っていたことを思い出したが、とにかくまずは連絡が取れなければ乗り込む口実が作れない。

そんなことを考えていると例の赤ん坊とよく分からない草食動物沢田綱吉の姿が目に入った。




「やっぱ不良同士のケンカなのかな・・・」

「ちがうよ」

「ちゃおっス」




そう。全ては身に覚えのないことなのだ。

そのおかげで恭弥のプライドは傷付けられ、平穏は乱され続けている。

だが、首謀者も居場所も分かった。




「もちろんふりかかる火の粉は元から絶つけどね」




恭弥の低い声に綱吉が心底怯えた時、恭弥の携帯がけたたましく鳴った。

着信音は並中校歌。

実はこっそりの携帯も同じ着信音にしてあるのだが、常にマナーモードなためは気付いていない。

そしてディスプレイにはその兄の名前。




『恭弥、俺だ。並中の笹川了平がやられた。歯を五本持っていかれてる』

「そう」

『今朝の話覚えてるな?今・・・』




恭弥は容赦なく通話を切って薄く笑った。

もちろん今朝の話は覚えている。

連絡を貰った後は好きにしていいのだ。

口実が出来て機嫌をよくした恭弥は気まぐれで綱吉を呼び止めた。




「君の知り合いじゃなかったっけ。笹川了平・・・・やられたよ」




居場所を教えてやれば血相を変えて走っていった綱吉を見送って、恭弥は隣町へと足を向けた。

あとは草壁に伝言を頼んでおけば問題ないだろう。

恭弥はニヤリと笑って黒曜センターを目指した。






***






黒曜センターに入るとまるで恭弥を導くように次々と黒曜生が襲ってきた。

大して強くもないのに捨て身で向かってくる不良に違和感を覚えながらも恭弥は彼らを深淵に沈める。

首謀者もこの程度の奴なら拍子抜けだと最後の男を殴り捨てて、暗くさびれた一室に悠々と座っている優男を見つめる。




「君がイタズラの首謀者?」

「そんなところですかね。そして君の街の新しい秩序」




一方、骸もあのの弟だという雲雀恭弥を観察していた。

ここまで来た事やの物言いを考慮した上で、骸に油断は微塵も無い。

だけど、どう見てもの弟には役不足だった。

万一に備え、海外から季節外れの桜まで取り寄せたのに、と骸は気を落とした。




「んー?汗がふきだしていますがどうかなさいましたか?」

「黙れ」

「せっかく心配してあげてるのに。ほらしっかりしてくださいよ。僕はこっちですよ」




一体この暗闇で何が起こっているのか。

正面に居たはずの骸の気配が瞬時に移動し、恭弥はハッと振り返る。

それより何より、さっきから止まらない汗と震えは一体何なのか。

クフフフと独特な笑い声を漏らす骸を睨むように見れば、楽しそうな声が返ってきた。




「本当に苦手なんですね、桜」




答え合せをするように明るくなった部屋の天井を埋め尽くす桜が恭弥の視界に飛び込んできた。

ひらりと舞い散る花弁を見た瞬間、恭弥の膝がガクリと折れた。

崩れ落ちる間に脳裏に浮んだのは兄の顔だった。

力の入らない恭弥を容赦なくいたぶる骸はそのあまりの呆気なさを嘲笑った。




「その程度での弟を名乗るとは片腹痛い」

「!!!」

「なぜを知っているのか?って顔ですね。当然でしょう?彼は僕の兄のような存在ですからね。

 したがって、弟の君はもう用済みです」




恭弥の髪を掴んでいた骸は手を離して床に這い蹲らせるとやれやれと肩を竦めた。

どうしてはコレを気に入っていたのか、と。

悔しげに見上げてくる恭弥に骸はおや?と薄く笑った。




「もしかして桜さえなければと思ってますか?それは勘違いですよ」




そんな物、在ろうが無かろうが関係ない。

僕の力の前では君は倒される運命なのだ。

の弟には、僕がなるから君はいらない。

ニヤリと口元を歪めた骸は転がる恭弥を見下ろして、足を蹴り降ろした。


* ひとやすみ *
・さらっと行きますよ。さらっと。
 いやしかし、こうやって見ると骸悪どい…。まぁ恭弥の方がいっぱい咬み殺してますが。笑
 多分兄ちゃん独り占めしやがってコノヤロー!って事なんだと思います。
 それでもやっぱりかなり一方的な恨みなんですけどね。                        (10/08/26)