ドリーム小説

ディーノが昼食を一緒してくれなくなりました。



お兄ちゃん、泣いてもいいですか・・・?

うわーん!こなくそー!もっかいよく考えるから帰って来て俺のオアシスー!


ようするに自業自得。

あの時、俺はディーノの言葉に対する答えをきっと間違えたのだ。








***








『俺の、知り合いなんだけどさ。陰でへなちょこって言われてて、でも本人はすっごく頑張ってるんだけど

 上手くいかなくて・・・』




え?それって間違いなく俺の事じゃん!!!

なんてことだ・・・・。

俺は弟にまでいらん心配を掛けていたのか。




『ソイツの近くにいる人は気に掛けてくれるんだけど、ホントは嫌われてるかも知れなくて』




え、と、つまり近くにいる人ってディーノの事だよな。

えぇ?!俺嫌われてんのー?!




『兄さんはソイツの事どう思う・・・?』




ショックで寝込みそうです。

俺、もう、ダメかも。

怯えるように俺の顔色を窺うディーノに俺は土下座して謝らなければいけないだろう。

遠回しにもっとしっかりしろよと忠告してくれた弟に、俺は自己分析をきちんとして報いなければならない。

だから俺は自分のダメダメっぷりを自覚してるよー、頑張るよー、と熱弁したのだ。




『ソイツはへなちょこと呼ばれて当然なんだろうな。きっと自分が思ってる以上に努力が必要で、

 近くにいるその人に頼りすぎてるんだ。嫌われても仕方ない』

『・・・ッ!』




自分の事を他人事のように呟く俺は何て馬鹿なんだろうと最後の言葉を吐き捨てた。

ふと視線だけでディーノを追うと、ビクリと身体を揺らして泣きそうな顔をしていた。

あぁ、あぁ、何もお前がそんな顔しなくてもいいんだぞ。

俺はどうにかしようと慌てて付け足した。




『だからソイツは自分で考えて悩んで乗り越えていく努力をもっとして、それでもどうしようもない時だけ

 近くにいるその人の手を少しだけ借りればいいと思う。・・・・・だから、』




だから、俺頑張るよ、の言葉はディーノが続けさせてくれなかった。

ガッタン!と派手に椅子を倒したディーノは目に涙を浮かべてテラスから走り去った。

え?俺が泣かしたの?!

てか何この空気、めっちゃ痛い・・・。

俺の伸ばしたこの右手の行方は一体どこへやればいいのですか、ディーノさん。





***





あれから数日、俺は無い頭で一生懸命考えたけど、やっぱり分かんなくて。

ディーノに言われた事を直すべく、ひたすら努力に励んだ。

俺だってやる時はやるんだぞ。

いくら何でも弟にあんな事言わせてまでビビリ上がってる場合じゃない。

貧相な勇気を搾り出して授業に挑めば、下手糞が無駄に気張ってると危険だとばかりに誰も寄ってこなくなった。

別にいつもの事じゃないか。


・・・ただいっそう酷くなっただけで。

すんと鼻を小さく鳴らして射撃訓練を利用してストレスを発散させる。

弾倉に弾を詰め込み、セイフティを解除、黒い的を見据えて狙い打つ。

ズガンズガンズガンズガン、と四度手が痺れる感覚に眉を顰めて的を見る。

穴が一つ。

・・・・俺、四発撃ったんじゃなかったっけ?

どこ跳んでいったのか知らないが、俺相変わらず下手すぎだろ。

ガクリと肩を落として的から離れ、不意に空を見上げる。

あー、ハトが飛んでるー。

こういう気持ちをどう伝えたらいいのだろう・・・?

あ、あれだ。




「オーマイガー」




そんな俺の馬鹿な呟きは誰かの銃声で掻き消された。

ハトに呟いた時点で痛すぎるぜ・・・。





***





お昼時、最早専用席となっているテラスでパスタを食す。

今日のメニューはボンゴレビアンコ。

・・・・・・・・やってられるか。

うがー!と叫び出したい気持ちをどうにかしようと、俺はフォークで豪快にパスタをかき混ぜて、巻き付けて食べた。

イライラを晴らすように派手に咀嚼すれば、口の中噛んだ・・・。

うぅ。パスタが血の味がするよ。

あまりにも間抜けな自分に溜め息を吐いて、皿に視線を落とす。

あれ、いつの間にかアサリがどこにもいない。

混ぜすぎてパスタの下に隠れてしまったのだろうか。




「出てこいよ」




アサリに呼びかけながらパスタを掻き分け、俺は見付けたアサリをフォークに突き刺して大満足。

おぉ!まさにこれぞ、ボンゴレ。

何だか可愛く見えてきたアサリを目の前に掲げた瞬間だった。

―――ガキィィィィィィン




「ゔぉぉい!いつから俺がお前を狙っていた事に気付いてたぁ?」




し、知らんわぁッ!!!

何?何なのこの状況ー?!

俺、よく分かんないけど、チミっ子の剣をフォークで受け止めてますっ。

アサリ眺めてなかったら俺、首飛んでたよねぇ?!

あ、ありがとう!ボンゴレ!!さすが同盟ファミリー!

てかこの濁声に短いけど銀髪の目つきの悪ーい少年は、まさか・・・。

スクアーロ・・・?

おおおお落ち着け、俺!いや、むしろ落ち着いて下さい、スペルビ君!


* ひとやすみ *
・友達おらず、暇すぎてアサリと戯れる。笑
 主人公ビビリですが、幼少から鍛えられているので意外に強いです。
 まぁお決まりに、本人気付いてませんが。鮫大好きです!!        (09/06/06)