ドリーム小説

大変な事になった。

どうしたらいいのか全く分からないし、正直何に驚いたらいいのかも分からない。

父さんがマフィアのボスだったこと。

俺がキャバッローネの後継者候補になったこと。

ここがジャンプの人気連載だったリボーンの世界だってこと。

数ヶ月前に、生まれた可愛い弟がディーノだってこと。

さてどれから驚いたらいいですか?

・・・・・・・・・・・・・・。

んなもん全部に決まってらぁ!!

どういう事なんだこれはー!

誰か説明してくれー!!!






***






もちろん誰も説明してくれるわけもなく、俺は筋肉痛の身体を動かして廊下を歩いていた。

あの恐ろしい部下達は随分と俺を気に入っていたが、ダメダメな自分のどこがいいのかさっぱりだ。

やっぱりキャバッローネは温情に溢れ、ヘタレでも好いてくれるほのぼのファミリーらしい。

顔が全然ほのぼのしてないが。

しかし、凄い凄いと喜びながら不可能に近い事をやらせるのはやめてほしい。

普通ハードルは少しずつ上げるもんじゃないのか。

そんな事を思いながら眉根をよせるが、チキンなので嫌だと言えず結局は言われるままに動いてしまうのだ。

あー。そんなもんだよな、俺の人生。

ガックリと肩を落として自室に戻ろうとすると、爆撃が落ちたかのような轟音が耳をつんざいた。

この音はここ最近毎日のように聞こえてきて、屋敷中寝不足になっているという。

俺は完全防音勉強室に閉じ込められていたのであまり聞いたことがなかったんだけど。

・・・・なんて破壊力のある泣き声なんだ、ディーノ。

某音痴代表ジャイ○ンを十倍デストロイでデンジャラスにしたような感覚に足元が覚束ない。

実の所、ディーノとは一度しか会った事がない。

生まれてすぐの皺くちゃな子猿みたいなのを一回見ただけで、その後すぐに母さんが身体を壊してしまったので

母さんにもディーノにも随分会ってないのだ。

久しぶりに会いに行ってみるか。

俺は気合で震源地を目指して足を踏み出した。

はははは。何か脳を揺さ振られるかの様な泣き声に慣れてきたのか、むしろ気持ちよくなってきたぞ。

あ、なんかお花畑が見えるー。

薄っすらと笑いながら目的地まで歩みを進め、母さんの部屋の白い装飾扉を開けた。

中からはわんわんと泣きじゃくる赤ん坊の声と、聞き慣れた優しい声がする。




「ディーノ、お願いよ・・・」

「ひっく、ふっ、あぁ、ぁあああん」

「母さん・・・」

「あら、勉強会は終わったのね、




首を縦に振って母さんの大きなベッドに近付くと、ディーノが大きな口を開けて泣いてるのがよく見える。

よくもまあこんなに大きな声で泣けるものだ。声帯痛めても知らないぞ。

ある意味、凶器のような泣き声に感心していると、母さんが深い溜め息を吐いた。

その目元には隈が出来ており、この拡声器のような弟に手を焼いているのがありありと窺える。

これは何とかしなければ、また母さんが倒れかねないな。

ベッドによじ登り、母さんの腕の小さな弟を代わりに抱き上げた。




「俺がここにいるから」




だから母さんは休んでていい、とでも続きそうなの目に母は目を瞬かせた。

普段から口数が少なく、あまり表情を変えない息子だから、この申し出には少し驚いたのだ。

は母のその表情に眉根を寄せたが、母は逆にヘラリと微笑んだ。




「そう、ね。少しの間、にディーノの事を任せるわね」




ふっと笑ってそのまま母さんはベッドにパタリと倒れた。

え、えええ?!どうしよう・・・っ。

ディーノを抱えてオロオロと母さんの顔を覗き込むと小さな寝息が聞こえた。

こんなやかましい中で寝ちゃうなんて本当に疲れていたんだなぁ。

母さんの少し疲れた寝顔を見た後、飽きもせず、びーびーと泣き続ける弟に視線を落とす。

俺の腕もかなり小さいけど、それよりもっと小さいディーノが腕の中で泣いてる。

そういや、守銭奴の兄しかいなかったから、弟というのは凄く新鮮だ。




「そんなに泣いたら疲れるぞ」




母さん似の顔を歪ませている弟に苦笑して、流れる涙を拭いてやるとピタリとディーノが泣き止んだ。

大きな目をぱちくりさせて手を伸ばす。

小さな小さなその手はまるで色付きかけた紅葉のようだった。

空を切るその手を取るとディーノが俺の親指を握り締めて、ふにゃりと笑った。

・・・・・可愛い。

めちゃくちゃかわいいんですけど。

俺の親指を振り回してきゃっきゃと喜んでいるディーノに目を細める。

コイツがいつか跳ね馬になり、キャバッローネを継ぐ。

こんな小さくて泣き虫がだ。

その時、俺はもういないのかもしれない。だってディーノが跡継いじゃうぐらいだし。

何だか少し寂しく感じていると、腕の中が静かなのに気付いて視線を落とすと小さな寝息が聞こえる。




「ほらやっぱり疲れた」




思わず気が抜けるような顔で寝ているディーノに苦笑して、母さんの隣に寝かせた。

ついでに俺も寝転がり、歪ではあるけれど川の字の完成。

親指を握って離さないディーノの寝顔を見て俺は祈るように呟いた。




「今は俺がお前を守ってやるから、早く強くなって俺を守ってくれ」




そのためにはこの恐ろしい家で生き残ることがまず大前提だけど。

だからどうか、跳ね馬になってボスになったらこのチキンな兄ちゃんを守ってやってな、ディーノ。

じゃないと俺、死んじゃうよ。






***






兄弟仲良く寝てしまったのを眺めていた母はその微笑ましい光景にクスリと笑みを漏らした。

どんなに宥めても泣き止まないディーノがに会うと笑い、自身も滅多に見せない微笑みを

ディーノの前で見せたのが母は心底嬉しかった。

幼くして才能を買われ、マフィアとして厳しい訓練をさせられているは淡々と課題をこなしていると言う。

表情の変化に乏しく、普段冷めたような顔をしているが、その容姿と才能が周りの目を惹き付けてやまない。

どこか人間離れしているような息子を心配していたが、母の杞憂であったようだ。

ディーノに笑いかけたの表情は輝かんばかりの微笑で、それが人に向けられた事に安堵した。

表情に出なくても、心は温かい子なのだと確信した母は、息子達の頭を撫でて嬉しそうに目を細めた。




「私の自慢の息子達。生まれながらにして自分の役目を知っているのね。

 ディーノ、が言ってたように、どうかボスになったお兄様を右腕として守ってあげてね」




どこかと食い違いがあるのだが、母はどこ吹く風。

ニコリと微笑んで息子達と同じように目蓋を閉じた。

その優しい時間は仲良く三人で眠っているのを見付け、羨んで泣き叫んだ父の声が部屋に響くまで続いた。

* ひとやすみ *
・父さんのキャラ、こんなでいいのか・・・?
 小さいディーノさんは天使だろうな、という妄想で出来た作品。
 早く成長しておくれー!                   (09/06/01)