ドリーム小説
前回までのあらすじは、マフィアに追われる父さんが攫われ、何故か俺も誘拐された。
マフィアの本拠地に乗り込んだはいいが、気まぐれなボスさんによって俺はテストを受ける事になった。
・・・・って何だコレー??
今一状況が分からない。
あの場で殺されなかったのだから俺に用事があるのだろうが、なぜにテスト・・・?
分からない。まさかこれがイタリア流の拷問なんだろうか?
俺は目の前のマフィアのおっさんから穴が開くほどの視線を感じているのだが、見ない方向でいく。
だってマフィアだぜ?目が合ったら銃でズドン!とかだったら怖すぎる!
ひたすら無視を決め込んでいたら、ついに声が掛けられた。
「これを受けるという事はもう後戻りは出来ませんよ?」
人質取っといて後戻りも糞もないだろーが!
大体やらなきゃ気まぐれなボスとやらが父さんに何するか分かんねえし。
広く何もない部屋にマフィアのおっさんの声がやけに響く。
試験と称し連れて来られた部屋は無機質で、窓もなく、天井も壁もひたすら遠い牢獄のような部屋だった。
そんな部屋に俺とおっさん、それからここに連れて来た若いマフィアの兄ちゃんの三人だけが存在している。
「その歳で本当にお父上を助けようと?」
「当たり前だろ。それに歳は関係ない」
「そうですか。様がお決めになったのならもう何も言いません」
父さんを助けたいと思うのに年齢なんて関係ないだろ、普通。
誰だってそう思うはずなのに、一体このおっさんは何言ってんだ?
イタリア人の考える事ってよく分からん。
って俺もイタリア人だったよ。
そんなこんなで始まったテストは筆記だった。
下手糞なイタリア語で問題を解いていく。
最初は小学生レベルの問題で命かかってるのであっさり解いた。
こんなテストなら何とかなりそうだ。
・・・・・・・・・・・・なーんて思った俺が馬鹿でした。
三歳児相手に容赦ねー!!
恐ろしい速さでレベルが上がっていく恐怖っていったら・・・っ!
ふざけんな!俺まだ三ちゃいだぞー?!(三歳)
涙を堪えておっさんの与える課題を片っ端から解いた。
途中、変な問題も混じってて、銃の構造とか人体の急所とか意味不明な問題もあったけど
分かんねーから適当に答えといた。
適当な答えが多くなってきて本気で泣きそうになった頃、テストが終了した。
俺、何か分かった気がする。
これ絶対、精神的に俺を痛めつけるためのものだろ?
「・・・様にはやるだけ無駄だったようですね」
グサリ。
今のが一番効いたぜ、おっさん・・・。
テストの結果を見ながらそう呟いた言葉は、暗に俺の成績の悪さを嘆いていて・・・。
そんな残念そうに肩落とすなよ、俺だって傷付くんだぞー。
悲しくなった俺が俯いていると視界に黒い革靴が入って思わず顔を上げればおっさんが目の前にいた。
そして頭をわし掴まれてグウォングウォン振り回された。
ギャアァァァァァァ!!!
成績悪かったのは謝りますから、俺の頭なんてすぐに握り潰せるっていう主張は止ーめーてー!
目が合ったおっさんはニタリと意地の悪い顔で笑っていてゾッとした。
マフィア怖えぇー!!
おっさんの手から命からがら逃げて「これくらい何ともない」と何度も呟いて自己暗示をかけた。
だってそうしないとこの先俺、試験とやら生き残れる気がしねーもん!
ガタンと音がして振り返れば、唯一の出入り口から黒スーツがわらわらと入ってきた。
若いマフィアの兄ちゃんが黒スーツ四人を部屋に招き入れて、代わりにおっさんが出て行く。
またピッタリと塞がれた扉は、まるで俺の行く末を塞ぐ壁のようで気が重くなるばかりだ。
しかも何だかすっごく嫌な予感がする・・・。
「次の試験は、我々との体術試験です」
で・す・よ・ねー!!
ふざけんなー!!こちとら超一般人の三歳児、しかも中身はウルトラハイパー系チキン野郎なんだぞー?!
うわーん!怖いよ、無理だよ、死んじゃうよー。
気まぐれなボスさんよ、アンタ俺殺す気なのか・・・?
「・・・止めておいた方がいいんじゃないか?」
「命令ですので」
「無駄な事を」
無駄も無駄無駄。
だって俺、一発KOされる自信あるもん!
大体チビッ子相手に大人四人もつけるなんてサイテーだ。
マフィアのくせに!・・・あれ?マフィアだから、か?
何だかんだ言ってみたけど、引く気はないようで。
ゴクリと唾を飲み込んだのを合図に、黒スーツ達が俺に向って走ってきた。
ギャー!こっち来んなー!!
* ひとやすみ *
・怖すぎて正常な思考が働いていない模様。笑
謎な展開に首を捻りつつも言い出せず、もう少し一緒に巻き込まれてやって下さい。(09/05/30)