ドリーム小説

有り得ない。有り得ない・・・!

幽霊とか祟られる、呪われる、憑りつかれる!!

ゴーストってなんだよ?!

白蘭の馬鹿、龍だけじゃなく、自分そっくりのオバケまで飼ってんのか?!

何なのアイツ、馬鹿なの?!ヘンタイなの?!

しかも炎を吸うゴーストとか、どんだけ現代仕様?!

・・・・・・ん、今、何か引っ掛かったような?

あ!馬鹿、クローム!ゴーストが炎を吸う光を乱射してる所にそんな突っ込むな・・・!

俺が混乱してる間に、いつの間にか現れた若いクロームがゴースト近くの危険ゾーンに突っ込んでいた。

一本の光の延長線上にクロームがいると気付いた時、俺は思わず飛び出していた。




「ここは危険です。よくここまで生き延びてきましたねクローム・・・いや凪」

「・・・骸・・・様・・・」




・・・信 じ ら ん ね ぇ ! 信じらんねぇ!!

いや、クロームが無事だから別にいいけどさ、俺がカッコよくクローム助けに飛び込んだのに

骸の奴、俺を無視してクロームを抱き寄せて良いトコ取りしやがった・・・!!!

この俺の伸ばした手をどうしてくれんだ?!




「おやおやこんな時に気を失うなんて困った娘ですね・・・そう思いませんか、?」

「お前、分かっててやってるだろ。性格悪いな」

「師匠の性格なんて生まれる前から歪んでますー」




骸とクロームに向かってきた光をカエル頭の骸の弟子がおかしな匣で受け止めながら、酷いことを言ってる。

あの匣の顔、ベルか・・・?

うーん、やっぱコイツ術士としての才能に溢れまくってるな。

フランというらしいこのカエルがせっかく壁になってくれてるので、近くで謎の光を観察してみる。

おー、やっぱこの光、すげー勢いで炎を吸い上げてる。

ヘロヘロになっていくフランに合わせて、器用にも被り物のカエルが萎んでいく。

てか、吸い上げた炎ってどこいったんだろ?

やっぱ本体の雷男の所か?

んー、でもなー、何でかアイツが纏ってる炎は一定量の密度なんだよなー。

現代的なゴーストだから吸い上げた炎を有効活用してると思ったんだが、巻き上げた炎と出力が全く釣り合ってない。

やっぱあれはただの超常現象で、呪いの類なのかも。

骸も見極めるべく、ボンゴレ匣のD・スペードの魔レンズを使っていた。




「これは・・・」

「手を出すなよ、骸」




魔レンズを使っている骸に俺は諭すように言った。

真剣な顔で俺を見た骸に一つ頷いて、例のゴーストを見る。

あんな幽霊に手を出したら間違いなく呪われる・・・!!

障らぬ神に祟りなしと言うだろう?

骸は一つ溜め息を吐いて、げっそりしているフランを助けながら呟いた。




「・・・、その白い隊服を着てるのが気に入らないですが、貴方もあれが邪魔だと思ってるとみていいんですね?」

「あぁ」




何言ってんの?確かに俺はミルフィオーレの隊服着てるけど、お前らの敵になったなんて一言も言ってねーよ!

つーか、この格好の俺を見て、何でか白蘭と並び立つボスみたいに思ってるみたいだけど、俺はただの保護者なの!

俺だってゴーストはあの世に帰ってほしいし、成仏してほしいの!




「・・・なら仕方ありませんね。あれはに任せます」




・・・・・・・・ッ?!

えぇー?!なんでそうなるのーッ?!

あれは迷惑以外の何者でもないから、一緒に成仏させましょうって話じゃなかったー?!

救いを求めてフランを見れば、わざとらしくヘロヘロしながらもハッキリとした視線を俺に向けていた。

・・・あー・・・やっちゃって下さいーって幻聴すら聞こえる気がするー・・・。

何だろう、この無駄に期待されたアウェー感・・・。

うぅ、弟分に頼まれて、カエルに期待されて、何もせずに逃げるなんて俺には出来ねえよ・・・。

ゴーストの光線を避けながら俺は奴に向き直った。

幽霊を成仏させるには・・・。




「あれしかない、か」




そんな師弟揃ってキラキラした目を向けるなよ。

古今東西、オバケにはお祓いか、お供え物かって決まってるんだよ!

俺にはお祓いは出来ねぇし、ここは供物を差し出すしかねぇだろ。

これで、鎮まりたまえー。




「・・・すまない、頼む」




俺はリングを匣に填め込んで炎を注入して相棒を呼び出した。

世界の平和の為、生贄になっておくれ、キーンさん・・・!!

デカい翼を広げて現れた鶏に骸とフランが目を瞬いている。

だよなー、だって超デカい鶏だもん。

俺の声掛けに一瞬振り返ったキーンは、ジッと俺の目を見た後に鋭く鳴いた。

キュァンと何とも言えない声を上げたキーンは、尖った爪を土に食い込ませて強く地を蹴った。

とんでもないスピードで動き出した相棒に、骸達は目を見開いて驚いていた。




、今の鳥は・・・」

「速すぎて目で追えませんでしたー」




すげー速さだよな、俺も今ちょっと言葉が出ない・・・。

拝み倒して見送ったキーンは残像すら残さない速さで地を蹴り、雷男とは逆の方向へ走り出して森へ消えた。

身体をいきなりトップスピードで動かすあの技は、キーンの得意技である“逃げ足”だ。

ア イ ツ 、 逃 げ や が っ た ・ ・ ・ !


* ひとやすみ *
・キーンさん再び登場!この相棒を出すためにこの未来編を書いたのですよ!笑
 そしたら短編どころか中編に・・・。毎度のことながら計画性の無さに辟易します。
 十年経っても兄様落ち着きねー!というか、酷くなってる気が・・・。笑
 はてさて、どうなるどうする、お兄様?!                   (13/10/25)