最弱ヒーロー

未来予想図の結末！― 1 ―

世の中は悲劇と絶望で満ち溢れている。

知らぬ間にマフィアの息子に転生したり、やたらと物騒な事件に巻き込まれたり、弟や友人達が恐ろしく仲悪かったり、

気が付いたら自分が悪役に回っていたり・・・。

つーか、これで何度目よ、俺・・・。

気が付いたら弟が敵って、もうホント神様どうなってんの？！

確かに白蘭のアホが気になってミルフィオーレの手伝いしてたけど、何でボンゴレと喧嘩しちゃうわけ？！

何ていうかあれはもう喧嘩ってレベルを超えてる。

ボンゴレ本部壊滅、１０世、死去。

それに伴い、ボンゴレ残党狩りが開始された。

それで何が起こったかって？

ボンゴレとミルフィオーレの全面戦争だよ！

綱吉亡き後、ボンゴレは１０年バズーカを使って十年前の綱吉達を呼び寄せたらしい。

どうやってかというと、正一が十年前の自分にバズーカを使わせて、こちらに送り込んだらしい。

ありえねぇだろ？！

何でミルフィオーレの部隊長である正一がボンゴレに寝返ってんだよ！

むしろ、何で寝返るなら俺もつれていかねぇんだよ！！



こ　わ　い　ん　だ　よ　、　こ　こ　！　！



不満なら腐るほどあるぜ！

ミルフィオーレが誇るあの変人集団は何をトチ狂ったか、真６弔花とか名乗って環境破壊や人身傷害を繰り返している。

白蘭のアホは相変わらず秘密主義で、ニコニコ笑って７弔花だったらよかったのにと俺のこと見やがるし・・・！

この前なんかちょっと俺が出掛けてる間にチョイスとかいう正一と白蘭が嵌まってた遊びを

チビ綱吉達と現実でして来たらしい。

んでミルフィオーレのもう一人のボスだったユニに、集めたアルコバレーノのおしゃぶり持って逃げられて、

現在慌てて総出で捜索中。

ホント、馬鹿じゃねぇの？！




「・・・で、何この状況？」




真６弔花の桔梗の様子を少し離れた所から見ていたら、若い了平やランボ達が戦い始めた上に恭弥まで出て来た。

わー！マジで恭弥が子どもになってるー！懐かしいなー！

あ、ザクロとブルーベルまでゾロゾロとヴァリアー引っ提げて集まって来やがった。

何なの、ここ、怪獣大決戦会場か何かなの？

おまけにこの感じ、間違いなくアイツもいるな。

違和感を探すように目を細めれば、周囲は面白いくらい幻覚だらけだった。

つーか、桔梗達、幻覚のザンザス達と楽しげに喋ってて、可哀相すぎて見てるこっちが悲しくなってくる。

ベルやルッスーリア達が破裂したり、ザンザスが喰われたりしてるように見えてるらしいが、

幻覚に騙されて宙を見ながら三人で高笑いしてる桔梗達が俺は憐れでならない。

骸の幻術ハンパねーもんなぁ・・・。




「ミーの師匠復讐者の牢獄から出所しちゃいましたー」




幻覚のネタバレしてる中、おかしなカエルが間延びした声で喋っている。

あれが骸の秘蔵っ子か。あの骸がブツブツ文句言いながらも傍にいるんだから相当な実力者だな、あのカエル。




「しかし、酷い場所だな・・・」




いきり立っている若い恭弥に、舌舐めずりするザンザス、不敵に笑う骸に、真っ向から挑む桔梗達。

恐ろしい。恐ろしすぎる・・・！

これだけ離れた木々の中から見てるのに、奴らの殺気で肌が粟立っている。

もーやだ。怖い、俺、帰る。

そう俺が尻尾を巻いて逃げようと戦場に背を向けた時だった。

眩い光と轟音と共に雷を身体に纏った２メートルを超す大男が現れた。

何だあの雷男は・・・？

奴は物凄いエネルギーを発しているようで、膨らんだ熱が爆発を起してここまで爆風を運んでくる。




「白蘭、か・・・？」




いや、顔はそっくりだが何か違う。

そもそもあれは人間か？

まぁ白蘭が関係してるのは間違いないだろうが、勘だがあれはあそこにいるけど、あそこにはいない。

俺もよく分からんが、白蘭自身がまだここにいないということは、

つまりあの雷男が突然現れて皆の間を闊歩してるのには何か意味があるということだ。

警戒しながら観察していると、気の短い奴らが攻撃を始めた。

ベルのナイフが雷男の身体をすり抜け、レヴィの電撃もすり抜けた。

物理攻撃と炎での攻撃が効かないとなると、もっと大きな炎でということらしい。

若い隼人、了平、バジルが連携複合攻撃を放った瞬間、雷男は今度は違う反応を見せた。

物凄い衝突音と煙を巻き上げて爆風が吹き荒れた。

雷男の頭上に円型ドーム・・・、バリアか・・・？

めり込むように収縮を繰り返すドームに俺は血の気が引いた。

何か、あれはヤバい・・・！

隼人の猫が吹き飛んだ次の瞬間、ドームから複数の光が放射された。

光が当たったブルーベルは一瞬で炎を吸われて干乾び、光に当たらずとも近くにいる皆も炎を吸われている。

・・・馬鹿野郎が！修羅開匣とかいうのは、身体に埋め込んである匣と同化することで成り立ってる。

炎を吸い上げるアレとは最悪に相性が悪い。

何か知ってる風だった桔梗達だったが、ここからは距離があって普通に喋られると何を言ってるかまでは分からなかった。

今、ザクロが叫ぶまでは。




「バーローこれがゴーストの覚醒かよ！！こうなっちまったら敵も味方もねえ・・・全滅だ！！！」




ゴースト・・・？！

何か聞き捨てならない言葉が聞こえてきた！！

ヤダ！！無理！！オバケ怖い・・・ッ！！