ドリーム小説
あまりに情報不足だったため、いろいろ調べてみたが、はっきり言ってかなり面倒なことになっていた。
ティエラがやられた相手は、とある王国の巫女の血筋を引くお嬢様で、彼女は裏社会ではかなり有名な人物だった。
通称ファイヤークラッカー。癇癪玉という意味だが、驚くなかれ、彼女は本当に自分中心にしか物事を捕らえない。
世の中には自分とそれ以外しか存在せず、自分の思い通りにならないことはないと思っているらしく、
目的のためなら人が死のうと世界が終ろうと関係ないようだ。
おかげで典型的な箱入り娘で、子どものような無邪気な性格をしている。
そんな子どもに力を与えたらどうなるか。
最悪だ。
特に狂信的な宗教の力を借りた人間は途轍もない力を発揮する。
子どもは時に残酷だ。
見付けた虫の手足を捥いで遊んで息絶えたらポイッだ。
その瞬間から興味は失せる。
今回そんな彼女が欲しかったものはらしい。
つまり、俺。
聞いた噂ではすごく強いマフィアが活躍する架空の話を聞いて胸がときめいちゃったんだとさ。
本物の強いマフィアの首領が見てみたーい!ってことらしい。
それ俺じゃねぇ!と断固として拒否したいが、相手はすでに俺の手足である組織にちょっかい掛けて来ている。
組織の末端に爆弾抱えた人間を飛び込ませたり、あちこち爆破したりして俺が出てくるのを誘っていたらしく、
鬱陶しいハエを追い払うようにティエラが向かったが、ハメられて逆にこちらの手足が捥がれた。
虫ピンでトドメを刺されそうな所を執事が水際で押さえていた。
『様の御手を煩わせてしまい申し訳ありません』
「執事、そんなことよりもなぜ言わなかった」
『・・・貴方をあのようなオツムの軽い小娘の視界に入れたくなかったのです』
電話越しに不愉快そうな声音を聞いて俺は溜め息を吐いた。
全く、こいつらは秘密主義もいいところだ。
それで俺はどうすればいいのだろうか。
『爆弾処理に少々手間取っておりまして私はここを離れることが出来ません。あの軽薄娘を完膚なきまでに
叩き潰すには少々時間が必要です。癇癪玉を地獄に落とす手配は私がしますので、様には時間稼ぎをお願いします』
はいとしか答えられなかった俺は悪くないと思う。
だって執事の言動が怖すぎる・・・!!
時々舌打ちが入るし、忌々しいと言わんばかりのオーラが漂いまくってる。
時間稼ぎをわざわざ俺に頼むってことは多分、単なる時間稼ぎではないのだろう。
何か嫌な予感がする。
『お子ちゃまが面倒な命令を考えないように悩殺してきて下さいませ。問題ありません。様ならヤれます!』
よりによって一番不得意な分野キターーーー!!
あの我儘娘に麗しい様の姿を見せるなど腸が煮えくり返りますが仕方ありませんと執事が変なことを言っている。
『詳細は後ほど説明しますが、我々は馬鹿主催のパーティーの招待状を不正入手しました。そちらに参加願います』
もう何かいろいろ突っ込んじゃダメな感じだが、そこで俺はそいつを足止めすればいいんだな。
あまり難易度の高くないミッションにホッと息を吐いたその瞬間、執事が暴走し始めた。
『こんな時のために前々から衣装も用意していましたが、あぁ!私自ら着替えを手伝いその姿を眺め回したかった!』
え?!何が?!衣装?!
あ、そうか。パーティー用ということはキラキラしいスーツか何かを着ないとダメなのか。
面倒だな・・・。
俺は指示された場所から大きな衣装ケースを引き摺り出し、物騒な招待状を確認した。
日にちと時間と場所、そして・・・
「ちょっと待て。レディースオンリー、だと・・・?」
『どうか御無事で、様!』
ちょっ・・・!!
ぶつりと切れた電話の先に叫ぶ言葉が見つからず、俺は愕然として衣装ケースを落とした。
白い箱から漏れ出したのは黒いシースルーのドレス。
執事、テメェ、前々からって何を考えてこんなもん用意してやがったんだ!!
つまり何か、俺に女装しろっていってんのかーーー?!
無理に決まってるだろうが!
一体、どんな需要があるんだ?!
俺は一気に難易度MAXに跳ね上がった任務に項垂れるしかなかった。
* ひとやすみ *
・はい。つまりそういうことです。兄様潜入時間稼ぎするよー!女装してー!笑
いただいたリクは女体化だったのですが、想像出来ないというより、板につきすぎて
何の面白みもなかったので女装になりました!意図と外れてごめんなさい!
今までのヒーローよりダークな話になってしまいました。女ってえげつない!私って鬼畜!
念のため、この話はフィクションであり、実在の実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません。
気楽に楽しんでいただけたら幸いです! (14/07/20)