ドリーム小説

「戦い方を教えてくれ・・・?」




真剣な顔をしてると思ったら、突然ジュニアがそんなことを言い出した。

あまりにビックリして呆けていたら神妙に頷かれた。

え、いや、そういうの嫌だったんじゃないの、お前?

そう言って茶化すわけにもいかない表情で口を噤んでいるとバツが悪そうに俯いた。




「今でも戦いとかすきじゃないけど、でもなにかを守ろうとするなら努力はいると思って・・・」




あぁ・・・。このところ妙な質問が多かったのはそれでか。

いろんなことを聞いてくるから、子どもってそういうものだと思って

淡々と答えてたんだけど、こんなことを考えていたらしい。

でもさ、ジュニアは十分強いんだけどこれ以上必要か?

渋い顔をしてたのか俺の顔を読んで、ジュニアは言い募る。




「銃がうてても、強くても、それが守れるってことじゃないでしょ・・・?」




何となく分かった気がする。

確かにジュニアの強さは何だろ、必殺の強さというか、

相手を確実に仕留める動きなんだよな・・・。

俺としては懐かしい感覚なんだけど、ジュニアは仕留めるんじゃなく

殺さずに相手を封じる動きを知りたいってことなのかな?

真剣な眼差しで見上げてくる子どもに昔の自分が重なる。

・・・そんな時期があったよなぁ。懐かしいなぁ。

ふと緊張が解けて小さく笑うとジュニアの頭を撫でた。




「ぅわっ」

「・・・それは生半可な覚悟じゃ出来ないぞ?」




そうなのだ。

俺も昔通った道ではあるけれど、しんどいし、怖いし、心折れそうになった。

相手を傷付けずに封じる動きというものは、相手より強くなければそんな余裕は生まれない。

幼い頃、キャバッローネで全力で人殺しの方法を叩き込まれた。

それが当たり前だと思っている大人から教えられるんだ。

小さな子どもなら普通はその環境に馴染んで受容する。

ただ俺の場合、前世の心が邪魔をして受け付けなかった。

だから辛かった。

だから無駄に傷付けない方法を身に付けるために努力した。

人より一歩先を目指したことに後悔はないが、そんなしんどいことをこの子が体験すると思うと安易に勧められなかった。

ジッと見つめていると、息を呑んだジュニアだったが、握った手に力を込めて俺を見た。




「あたり前に人が死ぬ世界の方が怖いから」




それは奇しくも俺と同じ理由だった。

思わず目を見開いた俺はジュニアの感性が俺と同じだったことに衝撃を受けた。

この子はそこら辺にいる普通の子どもと変わらない。

いくら人体の急所や拳銃の扱いに長けていても、感性は普通の子どもだった。

俺も経験してるから分かる。

きっと毎日が地獄だったに違いない。

よくこんな小さな子が今まで精神を壊さずに生き延びてこられたと心底思う。

俺は思わずジュニアをギュッと抱き締める。




「・・・強くなろうか。誰かを守るために」

「うんっ」




ニパッと笑った息子の頭を撫でて俺達は一緒に強くなることを誓った。







***









大事な人を守るためにはまず危険に近付かないことが一番である。

・・・が、しかし。

金がないゆえいろいろ面倒なことをしなければいけなかったのです。はい。

いつも通りお仕事探して付いて来たらこんなことに。




「紛争地帯に来たらどうしたらいいの?」




ごめん。

おかしいなぁ、何でか紛争に巻き込まれた。

とりあえず生き残ることが先決だけど、俺達関係ないから逃げるべきだよね?

うん。逃げよう。

まさかこんな国境線でドンパチやってるとは思わないじゃん。

まぁ、これくらいの紛争なら余裕・・・!




「ゔおぉおい!もっと歯ごたえのある奴いねぇのかぁ?!」




・・・とか、思ってた時期がありました!

何でお前がここにいるんだよ、スクアーロ!!

必要以上の大惨事な現場に呆然とするジュニアを隠しながら俺は心底怯えていた。

脱出ミッションこれ難易度MAXヤバくない?!

ここしばらく俺は誰にも連絡取ってないし、むしろ探されてるのを理解してるんだけど、

ようやく少しは慣れてきた息子をあの危険生物達にまだ会わせるつもりねーよ!

というか、黙って消えたこと怒られるのヤダよ俺!

まさかこの紛争にヴァリアーが関わってるとか思わないだろ?!

ジュニアを連れてここを通過するのは無理があるか。

どうしたものかと頭を抱えていると、暴力の塊であるスクアーロに震えていたジュニアが何かを呟いた。




「十年後スクアーロ・・・?!それって・・・」




十年後・・・?

というか、何、スクアーロまで知ってんの?!

そこまで考えた時、強烈な殺気がばら撒かれた。




「誰だぁ?!そこに隠れていやがるのは?!」




やっべー・・・!!

銃弾が撃ち込まれて転がって逃げた俺はすぐさま行動を起こす。




「ジュニア、俺が囮になる。一度街に戻れ。昨日泊まったホテルで落ち合おう」




不安そうな顔をしていたジュニアだったが、頷くと背を向けて走り出した。

さて、俺もまだスクアーロに会うつもりねぇんだよな。

どうしたものかと辺りを見渡して落ちてたゴミの入った紙袋に目を止めた。

これだ!




「何がいるかと思えば、とびきり頭のイカレたカス野郎が出て来たぜぇ!テメェふざけてんのか、あ゙ぁ?!」

「・・・・・・」




そうでしょうとも!おかしくて悪かったな!

顔バレしたくなかったんだもん、仕方ないよね?!

そこに落ちてた紙袋を頭から被って登場してみたら、すっげー怒られた。

視界稼ぐために穴開けてみたけど見難いし、何かこの中食べ物臭いし最悪だけど仕方ない!

武器はその辺で拾ったマシンガンしかないけど、逃げるだけなら何とかならないかなぁ。

スクアーロの背後で未だ攻撃し合う前線が見える。

砲撃されたのか車や瓦礫が飛び散っているのを見ていろいろ作戦を考える。




「まぁいい!死ねぇ!」




一気に肉薄してくるスクアーロを銃弾の雨で足止めする。

ひたすら狙って打ち込むが身軽なスクアーロは剣で弾いたり避けたり掠りもしない。

まぁ分かっててやってるんだけどさ。




「ド下手くそがぁ!オロすぞ紙袋野郎ォ!」




グシャっと嫌な音がして紙袋の端を斬られるも、眼前に銃身を向けると余裕を見せて奴は離れた。

スクアーロは俺で遊んでいる。

ニヤニヤとこっちを見ているスクアーロを見ながら、俺は頃合いを見計らう。

お前は俺がとんでもなく銃の扱いが下手くそだと思ってるんだろうけど、悪いな。

今回の狙いはお前じゃないんだ。

十分に距離を取った俺は最後の仕上げとばかりに銃を構えた。

銃身が向けられた方向がスクアーロ自身じゃなかったことに気付いたやつは、その方向を見て表情を消した。




「ゔぉい、まさかっ?!」




そのまさかだよ。

スクアーロの真横に位置する場所に横倒しになった車があった。

俺はずっと燃料タンクを狙ってガソリンが漏れ出すのを待っていた。

そこに火花を散らせばどうなるか馬鹿でも分かる。

俺は最後に撒き散らかされてる金属に向かって銃弾を放った。

ドカーンと爆発炎上した熱風と砂塵に紛れて俺は踵を返した。

これくらいでスクアーロがどうにかなるとか思ってないけど、

俺の勝利条件はスクアーロの気を逸らして逃げることだから問題なし!

こうして俺は無事に身バレせずに死線を潜り抜けた。










「父さん!」



ホテルに戻った俺をジュニアは満面の笑みで迎えてくれた。

互いに無事を確認してホッとした。

ニコニコと部屋へ先導するジュニアの背中を見つめながら思案する。

危機は乗り越えたけど、まだ問題が残っているよな……。

部屋に戻ってシャワーを浴びたいのはやまやまだけど、その前に解決しておきたいことがある。

無邪気に笑う息子の姿を冷静に観察しながら考える。

・・・なぁ、ジュニアよ。

お前どうして並盛や恭弥、スクアーロを知ってた?

確かに今のスクアーロは十年後スクアーロだよ。

だけどそれはいつから数えて十年後だ?

十年後なんて言葉は原作を知らなければ出てくるはずもないんだよ・・・。

俺は部屋に入って扉を閉めると振り返った息子にポツリと呟いた。




「ジュニア、お前は一体誰だ・・・?」


* ひとやすみ *
・ちょっと詰め込んだので長め。紙袋からのシリアル。ごめん。笑
 とりあえず山場なのでいろいろ言いたいことあるけど口噤んどく。
 じめじめと暑い季節ですので皆様体調には十分気を付けて下さいませ。
 ついでにちょこっとまた遊びに来て下さると嬉しいです!次回乞うご期待!            (18/07/08)