ドリーム小説

さんの隠し子事件発覚から未だ落ち着かない並盛だが、最近よくさんと手を繋いで歩くジュニアの姿が見られる。

ジュニアと呼ばれるその子は、見るからにさんにそっくりで並んで歩くと親子にしか見えない。

噂が噂を呼び引っ切り無しに来客があるようだけど、ジュニアに表情はない。

たださんといる時だけは表情が明るくなるのが分かるので、きっと本来は明るい子なのだと思う。

年齢は恐らく5歳くらいで、母親はどうも他界しているらしい。

そして雲雀さん曰く、普通の子どもではないそうだ。




「そりゃそうだろーな!雲雀とあれだけ組手できる子どもなんてそういねーよ!ハハッ!」

「あれが普通の5歳児とか世も末だぜ?!さすが血は争えねぇっつうか・・・」




目の前で雲雀さんとジュニアの格闘戦を眺めていた山本と獄寺くんが呆然と言う。

確かにあれはもう子どもの動きじゃないよね・・・。

手加減してるとはいえ雲雀さんの攻撃を避けた上に、きちんと反撃の手も出してる辺りがすごすぎる。

だんだん雲雀さんが嬉しげに難度を上げてるのが良い証拠だろう。

ディーノさんが言ってたけど、さんもジュニアの存在を知ったのは半年前だったそうだ。

半年そこらであの動きが身に付くとは思えない。

つまりあの動きはそれ以前からのもので、母親のいないあの子は一体どういう環境にいたのか、

どう考えても良い想像は出来ない。




「恭弥。あまりそいつを苛めてくれるなよ」

「父さん!」




さんが顔を出すとジュニアはパッと表情を変えて飛び出して行った。

跳び付いてきたジュニアの肩を宥めるように叩くと、不機嫌そうな雲雀さんを見た。




「兄さんはジュニアを甘やかしすぎだよ」

「そうか?だけどこいつは普通の子だからお前を満足させるような動きはできないと思うが・・・」




普通って何だろう・・・?

思わず山本と獄寺くんの顔を見てみんなで首を傾げた。

どんどん機嫌が悪くなる雲雀さんにさんは仕方なさそうに笑ってジュニアを俺達の方に来させた。




「俺が相手してやるから、そう怒るなよ恭弥」

「言ったね、兄さん」




極悪に笑った雲雀さんを見て俺達はジュニアを連れて少し離れた。

今までのスピードが止まって見えるほど、超高速でぶつかり合う雲雀兄弟を眺めながらジュニアを隣りに座らせる。

見れば見るほど小さいさんだけど、この子は一体どういう子だろう。




「ボンゴレ十代目の沢田綱吉、さん。その右腕の獄寺隼人さん、時雨蒼燕流の山本武さん・・・」

「お?」

「あぁ?!」

「父さんってどんな人?」




キョトンと無垢な目で見られて考える。

俺達にとってのさんかぁ。




「店の常連、だな!」

「・・・世界最強の男」

「優しい人だよ」




俺がそういうと獄寺くんが猛烈に反対してきたけど、俺はそう思う。

あの人ほど不器用で優しい人はいないと思う。

そうジュニアに語れば、彼はそっかと小さく呟いてへにゃりと笑った。

初めて見せた表情に俺達は驚いたけど、逆に俺も聞いてみたくなった。




「君にとってのさんってどんな人?」




ジュニアは少し考えるように、戦いに没頭する彼を見つめる。

少しだけ険の取れた彼はどこか大人びた表情で呟いた。




「父さんはすごい人だよ。おれをあの地獄からつれ出してくれた」




・・・あぁ。何ていうか、この子は「普通」の子だ。

おかしな環境を「地獄」と言える普通の感性の持ち主だ。

今になってさんが普通と評した意味が分かった。

なら、俺達は特別な扱いをする必要はないな。

一人の男として、知り合いの子どもとして、普通に接すればいい。

俺はにっこり笑って頷くと話を続けた。




さんの伝説、たくさんあるんだけど聞きたい?」

「ききたいっ!」










***











「父さん父さん!綱兄たちがつよくなるために敵になって戦ったって本当?!」

「・・・おい、綱吉?」

「綱兄って何・・・?」




ジュニアの言葉でピタッと動きを止めたさんと雲雀さん。

どちらも相当機嫌が悪そうで今すぐ逃げろと超直感が警鐘をガンガン鳴らしている!

嬉々として雲雀伝説を語った俺達三人は冷や汗を掻きながら後ずさる。

やばいやばいやばいぃぃぃ!




「すごいなぁ!父さんマジ尊敬するよ!」

「・・・そうか?」




ジュニアすげぇ!さんの目から怒りが消えたよ!

というか、こっち睨んでる雲雀さんも何とかしてぇ!!




「何変な呼び方させてるの、君達。咬み殺すよ?」

「・・・ほ、ほほほら!雲雀さんにもアレ聞いてみたら?!」




こえぇぇぇ!!

起死回生の一手としてジュニアを必死で促すと、彼はおずおずと雲雀さんを見上げて言った。




「・・・恭弥兄ってよんでいい?」




あざとい!!

でもさんを盾にしながら窺う様子は本当に避けようのない可愛さでどうしようもない。

だって小さいさんがおねだりしてるんだよ?!

案の定、雲雀さんは雷に撃たれたかのように動かない。

ギギギと壊れたおもちゃのような動きをした雲雀さんはぎこちなく背を向けた。




「・・・勝手にしなよ」




嬉しそうにはにかむジュニアを微笑ましそうに撫でるさんを見て、ちゃんと親子なんだと感じた。

この後、少しずつ心を開いていくジュニアはみんなのアイドルとなるのだが、

ロールと同じようにちくわでジュニアを餌付けしようとするのは間違っていると誰か雲雀さんに言ってあげて欲しい。


* ひとやすみ *
・他者から見た親子。ジュニアにはいろいろあるのですが兄様には懐いてる様子。
 雲雀兄弟はチビッ子に翻弄されてます。それはもうゴロンゴロンと!笑
 ここから少し過去に遡って何があったのか進めていきたいと思います!
 ちまちま亀更新ですが、またお暇があればぜひ遊びに来て下さいませ!          (18/05/26)