ドリーム小説

玄関を開けたらザンザスが居た。

嘘じゃないんだって!

チャイムが鳴ったから出てみたらそこに暗殺部隊のボスがいた。

嘘みたいな話だけど、ここが父さんの家だから有り得ない話じゃない。

何といってもウチの父さんほどぶっ飛んだ強さの人見たことないし、

異様に原作キャラに好かれてるからおかしくはないと思う。

それでも怖いものは怖い!!




「父さーん!!何か黒くて怖いのが玄関に居た!!」




慌てて父さんの後ろに隠れて客人を盗み見る。

やっぱザンザスだ。本物超怖ぇ!迫力ある。

そして何でかめっちゃ見てくるんだけど?!

案の定、父さんの知り合いらしく、顔を見た途端父さんが小さく笑ってボスを招き入れた。

俺は父さんにくっ付いてザンザスが廊下を歩く光景を眺めていた。

ふと父さんを見上げるとなぜか父さんは目を細めて玄関から外を見ていた。

どうしたんだろ・・・?

そう思ったのも束の間、父さんはすぐに小さく笑って俺の背を促して部屋へと向かった。

ザンザスを追うように二人で付いて行けば、ボスの背中に何か動くものを見つけて俺は目を疑った。




「ねぇ、父さん。あの人、何か付けてない?」

「・・・良く気付いたな。あれは虫だな」




まさかの青虫。

うげぇ、どうすんの?!あんなの付けてていいの暗殺部隊のボスでしょ?!

思わず父さんの服を握り締めていると、何を思ったか父さんが俺を見た。




「お前、何とか出来そうか?」

「む、無理だよ!」

「そうか?ただの虫だぞ?」

「俺は貧弱なの。父さんと一緒にしないで」





無理無理!俺は虫とかダメなんだって!

ブンブンと首を振れば、少し考える素振を見せた父さん。

何か微妙な間が開いて怪訝に思っていると、不意に父さんの纏う空気が変わった。

ずっしりと重い気配に思わず息を殺して身構えた瞬間、ザンザスが声を上げて笑ってニンマリと振り返った。




「ククッ。やっぱテメェのガキだな、




はい??

何の事だと思わず父さんと顔を見合わせて首を傾げるとさらにゲラゲラ笑い出した。

虫の話だと笑いながら言うザンザスにビビる。

え、虫付いてたの知ってたの?!

驚いて背中の虫を見つめてるとザンザスはつまらなさそうに肩を竦めた。




「気にすんな。ジジイん所からついて来てるやつだ。放って置け」




・・・ん??これ青虫の話か??

この辺りで何かがおかしいことに俺は気付いた。

父さんは全くいつも通りで素知らぬ顔をしている。




「全然よくない。ウチにそんなもの連れてくるなよ」

「まぁ、テメェの所の番犬が何とかするだろ」




ここで俺は完全に気付いた。

ザンザスは青虫なんかの話をしていないことに。

虫って何だろ、隠語かな?いい意味じゃなさそうだし、敵のこと・・・?

ウチの番犬って犬もいないけど、敵が来たら真っ先に向かうのは恭弥兄くらい・・・。

その瞬間、頭の中でいろんなピースが嵌まって、外で何かが騒いでる気配にようやく気付いた!

バッと思わず父さんたちを見たけど、二人は何にも変わっていなくて

今まで気付いていなかったのが自分だけだとようやく俺は知った。

思わず顔に血が昇る。

父さんも平然としてるということは虫の話が単純にあの青虫の話ではないと気付いていたんだ!

そう言えばと俺は最初から父さんがおかしかったことを思い出した。

玄関でしばらく外を見ていたあれは敵がいることに気付いてたんだ!!



『・・・良く気付いたな。あれは虫だな』

『お前、何とか出来そうか?』

『ククッ。やっぱテメェのガキだな、



まさか?!父さんもザンザスも俺が外の気配に気付いたと勘違いしてる?!

今度は顔に昇った血が一気に降りる音がした。

過大評価されてるかもしれない事態に混乱する。

気付いた辺りで思わず、多分あの人勘違いしてると震える声で呟くと父さんはチラリと俺を見た。

そして口元を小さく緩めて俺の頭を数回撫でた。

なぜだか無性にホッとして息を吐いた瞬間、父さんの匣のキーンが俊足で駆けて来てザンザスの背中を蹴った。

あまりの事態に声も出なかったが、キーンは背中を蹴った瞬間、あの背中の青虫を咥えて庭に凄い勢いで投げ捨てた。

当のザンザスも驚いていたようだけど、キーンはそのまま素知らぬ顔で走り去った。

走っていった方向がさっき騒がしかった外の方だと気付いた時には、外はもう静かになっていた。

外の気配がもうしない・・・?




「あ。キーンが退治したのかな・・・?」

「・・・違うな。もっと手の早い奴だ」




キーンなら有り得るかも?とか思っていたら、不機嫌そうなザンザスが舌打ちして服を整えて言った。

手が早いってまさか恭弥兄が??

さらに有り得るとげんなりしているとザンザスが同意するように頷いてくれた。

ようやくザンザスと父さんの会話に入れたことに俺は何だか嬉しくなった。

そして俺はザンザスに近付くと小声で白状することにした。




「あのね、俺、本当は父さんみたいに気配に敏感じゃないし、強くもないんだよ」




すると黙って聞いていたザンザスは神妙に頷いた。

そして唸るような声で俺に囁き返してくれた。




「あ゙?奇遇だな。俺もには未だに敵わなくていつも腹が立っている」




まさかそんなことを言ってくれるとは思ってもみなくて驚いた。

でもこの人でも父さんに敵わないと思うくらいなんだ。

俺みたいなひよっ子が胸張ってこの人の息子だと強さを誇れるほどになるのは

遥か先のことだと誰だって分かってるのだと少し気が楽になった。




「じゃあ一緒だね」

「ムカつくことにな」




険しい顔で睨んできても何だかもう怖くはなかった。

昔の父さんの話をせがむと面倒そうにだが、ザンザスは小さい頃の話を語ってくれた。

おまけに俺用に土産の肉を持ってきてくれて、死ぬ気の炎まで見せてくれた!!

俺がスゲースゲー言い過ぎて酔ったザンザスが死ぬ気の炎で肉を燃えカスにして、

バーベキューではなくいろいろ燃やしてキャンプファイヤーが始まった。

焼き鳥だとキーンがザンザスに炎に放り込まれそうになって騒ぎになったり、

恭弥兄が怒って鎮火しにやってきたりいろいろあったけど、楽しかった!!



* ひとやすみ *
・そんな訳で息子視点です。息子は途中でザンザスの意図に気付きました。
 なのに父ちゃんだけは相変わらずスーパー出来るマン。笑
 ザンザスは一貫して外の気配について語っています。一方、兄様はずっと青虫気にしてる。笑
 息子も最初は青虫だと思ってたけど、二人は外の気配の話をしていたと力不足を反省してます。笑
 ちなみにキーンは賢い鶏なので良からぬ物を排除しに来たけどただの青虫かとペッとしてます。笑
 いろいろ詰め込んだので分かり難かったとは思いますが、私は楽しかった!(ドーン!
 また気が向いたら続きますので、お暇の時にでも覗きに来てやって下さいませ!                   (19/05/26)